6年目の3.11東北塩釜沖の船カレイ釣行[前編]東北カレイ遠征ガイド編
神奈川在住の山口充さんが今年も東北へ。3月10日は塩釜沖でカレイ釣りを楽しみ、3月11日当日は宮城沿岸を巡った。
前編は仙台湾のカレイ釣りのリポート。関東地方などからの遠征アングラーが手持ちのタックルでカレイ釣りを楽しむケースをイメージし、カワハギ竿、ライトゲームロッドでカレイ釣りをするとどうなるのか?を検証した。
行くぜ、東北。2017春
3月11日、毎年東北でこの日を迎えている。少しずつ変わる街並みを見ていると古き良き時代の思い出が薄れていく感じも否めないが、復興が進んで居るという証でもあり、「これでいいんだ」と6年目を迎えた震災の日に思い出を胸に仕舞う事が出来る様になってきた。そして今年も東北へ。
3月9日の夜、横浜を出発。10日にマガレイの実釣、11日に女川で午後2時46分を迎え、12日に国道6号で福島を経由して戻るというスケジュールを組んだ。近県はもとより、特に関東エリアから東北へどうしたら足を運んで頂けるかが、復興が進んで行く今後のテーマの一つと思っている。
昨年は初めて宮城県塩釜港にて公益財団法人日本釣振興会の「船釣り・親子釣り教室」を開催。震災以来、本来の「遊び、レジャー」として初めて船釣りをする方々や全く釣りが初めての方々、ファミリーにも体験して頂ける様にとイベントを行った。
好評で問い合わせも多く、今年も開催の予定。釣りの基本から魚の持ち帰りの方法、料理までをレクチャーする企画である。少しずつ行政も動き始めてこれからという感じだ。
今回の釣りはカレイのメッカである宮城県沖・大型魚礁のマガレイ釣りを色々な方面からテストしてみた。
これは本来、東北カレイ釣りはスペシャリストも多く、竿、仕掛けなど最新のタックルで武装した方々も多い。震災前は関東で言えばカワハギ釣り以上に竿のラインナップが存在し、仕掛け類は関東のアングラーには判り辛い部分がある。
今後、関東から東北へ遠征をするアングラーの疑問を踏まえて、北のアングラーの皆様には「当たり前」で恐縮だが、その辺も軽く触れながら進めて行きたいと思う。
関東方面のアングラーにも選びやすい竿、リールをセレクトしてみる
関東方面からも沢山のアングラに来てほしいが、カレイ用の竿は関東では滅多に見る事が無いのが現状である。ネットなどでも注文出来るが、竿の調子やフィーリングを見ない事には数万円する竿を買うのはちょっと怖い。
年に数回大会に出る、通い込むというので無ければ、まずは汎用性のあるタックルを考えたほうが得策である。先に触れたが、「カレイ」の竿の種類は関東のカワハギ以上に種類があった。これは大手メーカー以外にも船宿オリジナルが存在していて、メーカーに特注し販売している物が多かったという事である。
素材もメーカー系の物なので申し分なく、細かい仕様、調子などの味付けはオリジナルならではの拘りが入っていた。今で言う所のソルトウォーターのジギングロッドと同じだ。
東京湾の操作系の釣り物の中で竿の長さが1.8~2.1mとすると、「カワハギ竿」と「ライトタックルロッド」が当てはまり、すでにお持ちの方も多いと思う。
カンドコロとしては、東北カレイ竿はカーボン純度が高いものが多く、特に大型魚礁用のカレイ竿は、水深が深く竿に掛かる負荷も多い所で細かいアタリを取るために硬めの物がよく使われる。カレイ釣りでは細かい小突きを行い、更に数釣りのためには多点掛けを狙う操作も必要なので、操作性も重視されている。
東北と言っても様々なポイントがあるが、この大型魚礁用ロッドはマガレイをメインとした数釣り、手返しを重視した竿である。また、他のエリアでは浅い釣り場も多く、大型魚礁用の竿はタイプによっては硬めに振れてしまう。その様なポイントには「喰わせ調子」が用意されていて使い分けている。
また、「調子」の表示で8:2や7:3などがあるが、同じ表記でもカワハギ竿とカレイ竿では曲がりが違うので参考までに。
リールに関してはカワハギに使っているような小型両軸リールをそのまま流用可能。カンドコロとしては巻きスピードの関係。出来れば高速で無い方が良いと思う。
40~50メートルの水深でカレイが数枚掛かると負荷が半端ではなく、ハード目の竿と相まって手に掛かる負担が大きくなってしまう。更にリールのギヤやクラッチ等にもかなり負荷が掛かるので、長い目で見ると耐久性の問題も出てくるだろう。ハンドルも握れるタイプがお勧め。
ラインはPEの1号前後なので関東のカワハギ釣りと全く同じ。正しラインキャパは高切れ対策の為に少し多めに巻いておいた方が良いだろう。
という事で、選ぶとするとカワハギ竿とライトタックルロッドということになる。そこで今回のポイント「大型魚礁」を想定してカレイ専用竿と比較してみることに。
例)「カワハギ竿1.8~2.1m、小型両軸リール、PE1号」の場合
この設定で使うと良い面は
①・・早い細かい小突きになる。活性が高い場合に合っている。
②・・アタリが金属的に出るためアタリを取りやすい。
③・・合わせやすい、掛けやすい。
④・・細かい操作がしやすい。
少しネックなのが、「スローに小突く場合は自分でコントロールしなければならない」ところ。
⑤・・喰わせる部分が竿に無いので喰わせの間をサミングしながらリールと竿を積極的に操作する。
⑥・・多点掛けを狙う場合、オモリ40号と水深の影響で竿の曲がり、タメが無くなってしまう為バラしやすい。
⑦・・ウネリ、波の大きさなどコンデションに影響されやすい。
例)「ライトタックルロッド2m前後(硬め7:3調子)、小型両軸リール、PE1号」の場合
ライトタックルロッドを使った際の良い面は・・
①・・竿の曲がりを利用出来てカレイ竿の小突きのテンポに似ている。
②・・オモリ負荷、水深に対しても正規の調子が崩れず喰わせの間が取りやすい。
③・・多点掛けに対しても竿がしっかり曲がり、上げて来る事が出来る。
④・・竿尻が少し長い物が多い為、お子様、ビギナー、女性でも抱えてしっかりと竿を持つ事が出来る。
少しネックな部分が・・
⑤・・カーボン純度がやや少ない為に細かいアタリが取り辛い時がある。この点は極細PE等で対応できる。
⑥・・合わせがカレイ竿に対して効き辛いので、確り竿を立てて乗せる様にする。
⑦・・細かい操作、小突きがし辛い。
⑧・・6対4だと更に小突きが遅くなる(ただし、コンデションと釣り場によっては有効なことも)
という感じだが、ネガな部分はテクニックや経験で調整出来る範囲。ハリの形状やセッティングなどにも影響されるので「使い慣れた」道具を使ってセッティングすると良いだろう。
仕掛けなどの設定は実釣しながら行う事にする。試行錯誤。昔、釣りの楽しさの一つにこんな事も沢山あった。現在では釣法が出来上がっている物が殆どだが、組み合わせたり、作ってみたり、これも醍醐味の一つだと思っている。
東北道で塩釜へ。福島からは雪に
3月9日、10時に横浜を出発。途中、東京板橋で弟と合流。自分、石井ちか江さん、弟の3人で塩釜へ向かう。ヤマリア東日本営業所の工藤雄介さんとは現地で合流する予定だ。
首都高速から浦和インターで東北道。何時もの慣れた道を選択したのだが、ナビが常磐道方面へ指示。常磐道が亘理まで全通し、仙台東部道路に直結している為であった。利府塩釜が目的地のインターの場合、距離が東北道経由よりも約30キロ短い。また雪も少ないエリアがあるのでお勧めではあるのだが、「夜食」を楽しみに夕食を最小限にしたので、SA、PAのスナックコーナーやレストランが深夜営業しているかが判らないと辛い。ということで東北道を選択した。
掲示板には月山、磐越道方面はチェーン規制が出ていたが、仙台までの規制はなく順調に北上。「近いね」と約400キロの道のりも、昨年、車で片道1400キロの九州遠征を数回行ったメンバーだけに麻痺しているが、都内の交通渋滞や帰省、休日の渋滞に比べたらストレス無く走る事が出来る。
栃木を抜けて「小腹が空いてきたね」と夜食スポットは安達太良SAに。到着すると小雪が舞い始め「冷えてきたね。あだたらラーメンで暖まろう」と店内へ。ここで悲劇が起きる。何時も24時間営業しているお約束のスナックコーナーがリニューアルの為に終っているのだ!「ありえない」と愕然としながらお待ちかねの夜食タイムがトイレ休憩となった次第。ウルトラマンの自動販売機で飲み物を購入。「シュワッ・・」という声を聴き国見SAで無事に夜食にありついた。
宮城県に入ると雪も収まり、約4時間半で塩釜の船宿「えびす屋」さんに到着。工藤さんも合流してえびす屋のみなさんにご挨拶しながら、代表の伊藤栄明さんに状況を聞いてみると「ここ数週間前はイシガレイの大型がポツポツ上がってたんだよ」との事。マガレイも依然として型が良い様なので楽しみだ。
しかし、伊藤栄明さんは「塩竃神社帆手祭り」で神輿を担ぐとの事で舵を持てない様だ。これは毎年3月10日に行われているお祭りで、塩竃市内を練り歩き、最後は202段の階段を一トンの神輿を担ぎ登って行くという自分も大好きなお祭り。伊藤さんが担ぐという筋肉痛必至なレアな展開でそちらも楽しみ。下船後神輿を追っていく事にした。塩釜まがき港に移動し、午前5時30分に朝焼けの港から出船した。
実釣開始!やはり型がいい
航程約50分でポイントの大型漁礁に到着。ヤマリアの工藤さんから「これ試してみて下さい」と仕掛けを手渡された。ヤマシタ製のカレイ仕掛けだ。「北カレイ仕掛け」という商品で小型スネーク天秤の遊動タイプ。マシュマロボールというソフトな集魚ボールが付いているのが特徴。
東北のカレイ仕掛けの特徴でもあるのがハリを交換出来るシステム。この仕掛けは幹糸から枝の部分が自動ハリス止めになっている。標準に付いている針は丸セイゴタイプだが、近年流行しつつある「フッ素加工」されおり、滑りを良くし刺さり特性を向上させた物だ。号数は12~15号、ハリ数は2本と3本。まずは3本バリの12号からスタートする。
自分は毎回宮城のカレイ釣りにはマルキユーの「パワーイソメ」のハードを使用しているが、今回はソフトタイプを使い、ハードとの吸い込み、手返し等を比較することにした。青イソメを使うメンバーにはマルキユーの「投げ釣りパウダー」を使ってもらう。配られる餌にまぶしてある木屑を一旦洗いパウダーを掛ける。集魚効果もあり滑り止めにもなる優れ物だ。
スタートすると直ぐに弟、石井さんにヒット。一旦竿を立てて一枚目を掛け再び底に。そのまま2枚目を狙う。すると引きが大きくなった。このカレイ釣りも大好きな石井さん。震災前、横浜から月に数回通った事もあり、その甲斐あって茨城鹿島地域では300人出場の大会で優勝した経験もある。確りと掛けて上げて来る「引きが強いね」と良型マガレイのダブルで嬉しそうだ。
弟にもヒット。工藤さんにもアタリがあった様だ。上がってくるマガレイは全て30~35センチオーバーのクラス。肉厚で美味しそうな魚体。「いいね」と弟も久し振りのカレイ釣りを楽しんでいる。工藤さんもマガレイがヒット。その後、追釣した所でインプレッションを聞いてみると、「アタリが出る所が決まっていて、アタリ始めると連発する感じ」、「良型が多い」、「マシュマロボールも飲み込んでいる」、「乗っても離してしまう時が多い」、「アタリは伝わるが掛からない」等の声が聴かれた。
海のコンディションが第一だが、仕掛けの面から考えてみると状況が見えてくる。ハリサイズが1ランク大きく、形状が吸い込みやすい丸セイゴタイプ、天秤が遊動タイプであるという点だ。
ハリスはフロロでというだけで硬さ等の詳細が判らないが、この仕掛けについて言える事は「ハリは軸とハリ先までが狭い吸い込みタイプ」、「魚の大きさによって針のサイズをセッティング」、「天秤は違和感が少ない遊動タイプ」、「仕掛けの長さが遊動部分を除いて80センチ、伸びた状態で95センチ(2本針タイプは仕掛け部分が55センチ)」、「ハリス長さが3.5センチ」、という事は大型魚礁用としては「喰わせ重視」の設定といえる。
「確りと喰わせて良型が釣れ」て「マシュマロボールを飲み込んでいる」、という所からは仕掛けの食い込みの効能が出ている部分で、ハリがワンランク大きくても間を確りと取れば喰わせられているという事になる。
「乗っても離してしまう」、「アタリは伝わるが掛からない」という点はハリサイズ、長めの仕掛けという部分で掛け損じている可能性も考えられるが、「掛ける仕掛け」ではないのでこの仕掛けの狙いが出ている部分。その様な事から「マコガレイ」に対しては非常に有効な印象だ。
弟、石井さんが使っている竿は「大型魚礁」に合った「小突き」モデルなのでハッキリと同じ意見を聞けたのは面白い。対して工藤さんには自分の「かかり」タイプの竿をお貸しした。
調子は7対3でやや曲がり込むタイプながら、カーボン純度が高くスローな小突きが出来るタイプ。水深が浅い時にも有効な喰わせ調子の竿で、工藤さんは確りと乗せて良型を上げて来ていた。長めの仕掛けとのマッチも良好な様で、竿の長さも2人より長い2.0メートル。「大型狙い」や、「枚数を選んで目方勝負の大会」、「喰い渋りや底荒れ時」、「波のある時」等には効果的だろう。
使い方や効能を理解してアレンジするのが石井さん。喰わせの間を長めに取るため船の揺れに対応し、リールのクラッチを切ってサミングでラインの出し入れをコントロール。すると自信たっぷりに「大きいよ」と軽く「タモとカメラを用意しろ」という無言のサインが出る。
ほぼフルストロークしている竿をよそに「カレイで何料理作ろうかな」と石井さん。「すみません、集中してください」と自分。時折突っ込んだり、ラインが出されながらロッドコントロール。余裕が有るのかないのか判らないが、過去に冷やかして自分を含めて数十人痛い目に合っているので静観していると、魚影が見えた。「デカッ」。41センチと38センチの「マガレイ」のダブル。余計な事言わなくて良かった。
弟は別のアプローチを始めていた。誘ってから喰わせる間を長く取っている。ハリのサイズが大きくても25~30センチクラスが掛かるのを確認。時折、「やられた」と悔しがっているので「どうした?」と聞くと「多分マガレイじゃない」との事。本来なら好みの竿、仕掛けにチェンジでやりたい所だろうがそこはお仕事。
石井さんに「奴のアタリ沢山あるよ」と伝えるとその数分後、石井さんがヒット。明らかに引きが違う。上げたのは「イシガレイ」。面白くなってきた。更にマガレイ、イシガレイをメンバーは追加。面白くなってきた。天候悪化が予想されていたので、釣りの撮影、カタログショットなどを先にしていたが、ここで自分も参戦。ライトタックルロッドを使ってトライしてみる。
ライトタックルロッドと仕掛けの組み合わせとカワハギ竿との比較
タックルによる比較をスタート。仕掛けはメンバーと同じヤマシタ製の「北カレイ仕掛け」を使い、餌はマルキユーのパワーイソメソフト。リールは小型両軸、道糸はPEの1号。
今回、私が使用した竿がタカミヤポイント製ライトタックル用ロッド。硬めの7対3調子「伝衛門丸・舷天・LIGHT-GR・TYPE73-HM」というタイプで、1.95メートルの長さがある。メーカーのオモリ負荷表示は20~80号と幅広く書いてあるが、30~60号あたりがベストマッチ。
前回「釣りビジョン」のロケで来た時には同じポイントタカミヤ製のカワハギ竿「伝衛門丸・舷天・KAWAHAHI-GR 180-MH」という8対2調子の物で行った。両方ともブランクスに拘っている製品でカーボンの巻き方が独特。カワハギ竿との比較も行っていたので違いもお伝えしたいと思う。
7:3調子で軟らかく、自然に食わせやすい反面、細かい操作には向かない面も
8:2調子の感度重視ロッド。感度はビンビンだが、ラインを操作して食わせる必要がある
3本バリにパワーイソメのカラーを3種類別々に付けて色の反応も見る事にする。投入して小突きを開始。やや先の方から曲がる7:3調子なので大型魚礁用のカレイ竿の様に速い小突きは出来ないが、元々硬さがあるタイプなので程良いペースで小突く事が出来た。
暫く小突いているとアタリ。ワンテンポ止めて喰わせてから竿を立てていくと重さが乗り、引きが伝わってくる。ここが活性のバロメーターで、食いが悪いとこの時点で掛からず「喰わせの間」の時間を長めに取る事になる。この時間は活性が上がっている様で無事ヒット。更に軽く小突き続けてアタリが大きくなった所で更に聞き合せるとビッグファイトに。
巻き始めると確りと乗った様で竿が綺麗に曲がり魚の大きい引きに対応できた。50メートル近い水深でこの曲がって「タメ」の効く調子は、特に大型が多い昨今のシーズンには非常に心強い。上がってきたのは35センチクラスのダブル。肉厚の見るからにパワーがありそうな魚体だ。
数回順調にマガレイを上げた所で、弟の言っていた「イシガレイ」らしきアタリがあったので誘いの小突きを数回入れ、その後、スローで細かい小突きに変更。今までの半分の高さと、先バリの誘いは余り効かないイメージにする。
ヤマリアのカレイ仕掛けが遊動天秤で長めの仕様なので、それを活かし、数回このパターンで誘って先バリが浮く位に竿を立てて聞いてみる。この時、アタリが無いのに小突き以外の重みを感じたら、違和感を与えない様にそっと海底にオモリを戻し、重みを感じない部分までの優しい小突きを入れる。
マガレイとは違いジックリと喰ってくるのがマコガレイ、マガレイとマコの中間がイシガレイの可能性が高い。そして重みが乗ったままなので聞き合せるとヒット。途中の引きは明らかにマガレイでは無い。上がってきたのはイシガレイ。この時の優しいソフトな小突きもこの竿の調子だと行いやすい。この部分は硬めの大型魚礁用の竿を使うベテランがテクニックでカバーしている所だ。
時間が経つと潮が緩んだのか、少し活性が下がってアタリの出方が変わった。少しこの竿と仕掛けのマッチングが合わなくなってきた。流石にカーボン純度が高い大型魚礁用カレイ竿は細かいアタリも捉えやすく、細かいアタリから直ぐに喰わせの間を作る操作に移行できる。この瞬間がカギで、活性が無いとこの時点で違和感を与えてしまうと中々追い食いしてこない。一発で操作したい部分なのだ。
軟らかい竿は元々、船の揺れでも曲がり重さが乗ってからアタリが出る。その方が違和感を与えないのでは?という所だが、カレイ釣りのテクニックはここに有り、微妙な重さを早めに感じ取り、クラッチ操作に移りながら喰わせに移行。横で見ていても乗ったか乗っていないか判断し辛く、釣り人だけに感触が伝わる。
カワハギ竿使用時はこの部分は早く掴む事が出来る。ただし竿としての喰わせの部分が殆ど無く、食い込ませる前に無理に引っ張ってしまう方向になってしまうので、常にリールのクラッチは切ってサミングでラインテンションの調整を行う操作が必要になる。
活性の高い時ならば積極的なリール操作とロッドワークを楽しむ事も出来て、「この味付けも有りだな」という感じだった。もう一つカワハギ竿使用時の注意点としては、水深分の負荷とカレイの重さが竿の先方向、フロントヘビーになり、手首にかなり負担が掛かる。小突き続け、枚数を重ねていくと疲れが出やすい。ただ最初の時はこのカワハギ竿でも十分に楽しむことが出来るだろう。
自分は大型魚礁で多く使われている仕掛長が65センチのオーナー社の仕掛けに変更。ハリはお馴染みの「剣剛カレイ」。11~15号の針があるが、まずは仕掛けセットに付いている11号で行ってみる。天秤は固定式である。
ここでのカンドコロは天秤の遊動分は竿の柔らかさで補い、吸い込みは小バリで良くしながらも「掛けるハリ形状」のセッティングにした。これが少し渋った状況にベストマッチ。アタリが伝わり易くなり、硬い竿ならあと少し吸い込みが欲しい展開になる所でも乗せて掛けやすい。
仕掛けの仕様は硬めのハリスで長さも2.5センチと短く、仕掛長さも65センチなので、近年スタンダードな1.8メートルの竿でも誘いはかなり効く仕掛け。喰い渋りで止めたい時に動いてしまいがちなので、カミツブシオモリが付いている。これは状況によって外して使えるので便利だ。
これを使い次々とヒット。ほぼダブル、時折トリプルという展開だが、型が良いだけに注意が必要。また短めのハリスが有効な時は手返しの面でも有利で、ハリが飲まれても口の近くにハリがあるで外しやすく、大会等で手返しが重要な時にも有効な設定。マガレイトーナメント仕様と言って良い仕掛けである。枚数勝負の時は小バリで大きいサイズも狙えた方が枚数アップに繋がる。ここに針の形状が深く関わってきている。そしてハリスとのマッチングも探る。
非常に奥が深く、元宮城県レーサーの自分はこういう事が大好きで楽しい。震災前は東北のベテランの皆様にどんどん聞いて仲良くさせて頂いた。またそんな時代が来ることを本当に心から願っている。
後半戦は喰いが戻り、イシガレイ、マガレイが次々にヒット。石井さんは41センチを筆頭に40アップを8枚。時折40~35センチをトリプルと絶好調。マシュマロボールのセットも色々と試し、仕掛け長さを変更したりと楽しんだ様だ。
自分はこの日、青イソメは全く使わず全てマルキユーパワーイソメ。ソフトとハードを上手く組み合わせるのも良いだろう。青イソメと全く変わらない釣果であった。
午前11時30分、風が強くなり早上がりであったが、石井さんが40枚を超え、楽しい釣りとなった。とにかく型が良い。これからはマコガレイにも期待したい。
過去、宮城沖で52センチのマコガレイを上げたのが5月であった。まさにこれから花見ガレイの季節。宮城、岩手では復興庁も協賛する大会が数回行われる予定だ。地元東北の皆様、そして関東からのアングラーもどんどん参加して頂きたい。自分も微力ながら「釣りで復興」を後押し出来ればと思う。
今回は関東の多くのアングラーが持っているであろう竿と大型魚礁のカレイ釣りの勘所の面からレポートしてみた。これからが楽しみである。
[後編・3月11日の模様へと続きます]
[船宿データ]えびす屋(宮城県塩釜まがき港)
カレイ乗合・・・午前5:30 出船 大型魚礁で狙います。餌付き8,000円
本塩釜駅近くの店舗で受け付けしてから港へ。
■住所:宮城県塩竈市海岸通14-16
■TEL :022-362-2220
■FAX :022-362-2490
[詳細はこちら]
横浜市在住のライター&フォトグラファー。元2輪レーサーで、「宮城ササニシキレーシングチーム」を結成するなど、宮城や東北にも縁がある。現在は大好きな釣りと魚を求めて各地を旅するのが楽しみ。ヤマシタ・アドバイザリースタッフ、マリア・フィールドスタッフ。ブログShisen
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※取材・テキスト/山口 充
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