[シーバス入門ガイド 9]ルアーの重心移動システムって?
シーバスの初歩を東北の巨匠こと村岡博之さんが解説していくシリーズ。今回はシーバスルアーの多くに採用され、キャスタビリティ、遠投性の向上に重要な役割を果たしている重心移動システムについて。
ウエイトを移動→固定する技術が続々と開発されている
遠投性を武器とするプラスチックルアーの多くに組み込まれている重心移動システム。一般的に、よく飛ぶルアーは後方重心、よく泳ぐルアーは前方重心というのが基本なのだが、重心移動システムではキャスト時は後方重心で、リーリングを始めると前方重心になるいいとこ取りのシステム。
以前はボディに空間を作り、球状のウエイトを入れただけのものも多かったが、それだとウエイトが暴れて飛行姿勢やスイミングが不安定になるため、マグネットやワイヤーなどでウエイトを操作するシステムが主流になってきた。
今から30年ほど前に重心移動システムの世界を変えたのが、タックルハウス社の「K-TENシステム(マグネット装着全自動重心移動システム)」。これは前方にマグネットを装着し、キャスト時は慣性で後方重心、着水後は前方にウエイトを固定することで安定した遊泳姿勢を可能にした(特許技術)
そのほかでも、ウエイト移動を確実に作動させるため、前後にポケット部分を作ったり、後方にバネを装着して着水後にウエイトを前方に動かすルアーが登場。K-TENシステムとは逆に、ボディ内に金属を装着し、ウエイト自体を着磁(磁気を持たせる)する技術も生まれた。
最近多くなった「ワイヤー方式」は前後にワイヤーを通してウエイトを移動させているタイプ。ワイヤー(シャフト)を通すことで前後の重心移動がスムーズかつ安定する。ワイヤー系の中でも、クッションを付けてウエイト移動の衝撃を抑えたり、磁力、物理的な構造でスイム時にウエイトを前方に安定させるものなど、様々な機構を搭載したアイテムが出ている。
新しい技術が次々と登場している重心移動システム。シャロー用ミノーなどであればマグネット技術などを使わなくてもそれほど差がないと言われることも多いが、使用条件やターゲットに合わせて上手に活用したい。近年のルアーは素材、システムの多様化が進んでおり、同じような技術であっても樹脂やワイヤー、ウエイト等々、バリエーション豊かになっている。
※解説/村岡博之