[連載]常笑upcoming fishing!☆第11回 船釣りの釣り座と釣り方の関係~後編~
連載:針生秀一さん 第11回 船釣りの釣り座と釣り方の関係~後編~
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※この記事は2014年3月にプレミアムメルマガで配信したものです。
※前回の「立て釣り」に続き、今回は「横流し」の流し釣りの例から、様々なケースについて解説していきます。
茨城や千葉外房などのヒラメ釣りが盛んなところに行くと、片舷の左右交互に風を当てて流す、いわゆる横流しでヒラメを釣っています。これはミヨシ、トモなどの席による有利不利が少なく、左右同等のチャンスがある公平な釣り方です。
これで大切なのはマメな底の取り直しで仕掛けの位置を保つこと。ヒラメの居るポイントを広く流していくので、底ダチを確実に掴むことが重要です。
船下に道糸が入っていく潮先側になったときが、最初に新しいところに入るので基本的に有利ですが、風の具合によっては釣りづらいときもあります。船の上下や風を受けての振れにあわせて、オモリが底に着いたり離れたりする位置を基本にキープしましょう。また、普段は横流しのエリアでも、風が強いときや夏のヒラメでは、潮流し、いわゆる縦流しで釣ることもありますよ。
仙台湾でのワラサなどのジギングで、秋のメロウドパターンと呼ばれる釣りでも、横流しで釣ることが多いです。この場合、道糸が払い出す側がアクションを伝えやすく、釣りやすく感じます。船下に切り込む側はアクションが緩和されるので、それを計算して大きくシャープなアクションで組み立てましょう。この釣りでも左右交互に流し替えるので、それに合わせてアクションを考えましょう。
カレイ釣りの流し方も船によって個性が出るところ。仙台湾のマガレイ、田代・網地島、金華山方面でのマコガレイ、志津川湾そして岩手・三陸沿岸のマコ、ヒガレイなど、地区によって流し方に微妙な違いがあります。
三陸沿岸の各湾でのカレイ釣りでは、養殖筏の間を流していくこともありますね。ゆっくりじっくりと練るように流していて、筏などを目標に見ていると、斜め後ろ方向に下がっていったり、少しずつ前に行くように、ゆっくり立てていっているのがわかります。親潮海域は黒潮域に較べて流れが緩いのですが、この潮にゆっくり乗せて下がるような流し方がマコガレイ釣りにマッチするのです。
潮に乗せて下がり気味な流しでは、トモが有利な条件といえます。風が強めだったり、湾口などで潮が複雑で、船を引っ張るように流したりするときは、船の振り幅が大きくなるので、安定して誘える胴の間が釣りやすく、確実に底を取って誘うことが重要です。ミヨシ側で振れ幅が大きいのを、竿の操作で誘いをコントロールできれば、これを有利な条件に変えられます。
仙台湾のカレイ釣りで、風が出てくると同時にアタリが多くなって、食いが活発になったと感じることがあります。これは風で、船の振り、流しの幅が大きくなって、広く探れるようになったことも大きい。ミヨシでは多少釣りづらくなりますが、最も広く探れることになります。確実に誘えば良い釣果を導き出すことができるでしょう。
マコガレイは筏のカカリ釣りでもよく釣られています。エサが落ちてくる筏の下から大きく移動せず居着いている魚が多いため、カカリ釣りでは筏の根元に船を着けることがほとんど。
このことを考えれば、船の潮下のトモ側が有利となる確率が高い。しかし風や潮で、筏の位置、筏から落ちるエサが集まるところがズレることもあるので、トモが絶対有利とは限らないのです。座席によっては、小船の5mも離れていない間隔で大きく差が出たりしますね。
一人にばかり釣れていると、自分はアタリが取れていないのか?とあせりが出て、聞き上げが多くなったり、小突き過ぎ、動かし過ぎになったりしますが、ここで落ち着き、まずは近くに居るであろうカレイに、自分の仕掛けを注目させることです。
ゆっくり大きくシャクリ上げ、フワッと落とすなど、ここにもエサがあることを誘い示すのです。そこで細かく小突きを入れ、一旦止める。これで動くエサに注目してきたカレイに、食いつく間を与えるのです。つまりカワハギ釣りでのタタキ、たるませを底釣りにイメージした釣り方です。これで一枚釣って、カレイにこっちを向かせればしめたもの。寄せ、食わせの誘いの組み立てを考えて釣っていきましょう。
2週にわたって釣り座について、さわりの概要を述べてみました。釣り物、ポイント、海の状況、船長の立て方など条件は様々です。また機会があれば、釣行記ででも記してみたいと思います。
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※取材テキスト・写真提供/針生秀一