釣行記

東北の有名アングラーらによる釣行リポート!最新の釣況情報、テクニックをカバー!!

イカジギングin仙台湾

編集部 2021年8月10日 更新

8月11日、スルメイカをメタルジグで狙う「イカジギング」の釣行会が仙台湾で行われた。ライトタックルで1杯1杯を釣り上げるためイカのアタリが取りやすく、手返しよく釣れれば多点式のイカ釣り仕掛け以上の釣果を上げることも可能。しかしながら、取材日の仙台湾は状況が渋く、苦戦を強いられた‥。※2012年8月掲載の記事です。

KOMO社製イカ専用メタルジグ「烏賊JIG-EVO」。今回は乗船者全員がM.Tannno Factoryオリジナルカラーを使用。限定品は42g、56g、70gの3サイズ

例年であればスルメイカは盛期のはずだが…

第一海友丸は網地島沖のポイントに到着すると、さっそく集魚灯を焚き始めた。イカを集めながら釣り開始

日本海側でライトタックルのイカ釣りが人気急上昇中だ。メタルジグを使ったジギングスタイルの他にも、鉛スッテゲームやイカメタルなどと呼ばれる釣り方があり、日本海各地の遊漁船に広まっている。

ターゲットはスルメイカやヤリイカ、ケンサキイカ(アカイカ)などのツツイカ類全般。繊細なタックルと高感度な細糸を使うことでイカ釣りのゲーム性が高まり、また、テクニック次第で比較的簡単にたくさん釣れる点も、人気の一因になっている。

この日の釣行会は、菊田釣センター仙台店(現トップレンジ)の丹野さんが中心となり開催。イカジギングに詳しいKOMO代表の薦田さんも招いて、講習会的な側面も含めた釣行となった。実はシーズン初期の7月にも同様の釣行会を行っていて、2度目の開催となる今回は、(例年なら)ハイシーズンである8月に爆釣を目論んだワケだが、どういうわけか今シーズンは仙台湾のイカは絶不調。出船前から厳しい釣りになることが予想された。

上)京都からやってきたKOMO代表の薦田真司さんは、日本海を中心とした各地でイカジギングを実釣テスト中。タックルは船エギング用や一つテンヤ用などのライトなものを使用した。下)菊田釣センター仙台店の丹野正文店長は、M.Tannno Factoryオリジナルのマダイジギング専用ロッド「RANGE STICK 71Sti」を使用。標準負荷15~60g、細糸に対応し、適度な長さがあるためアクションをつけやすい

夕方5時、丹野さんと二人三脚で仙台湾の新しい釣り物を開拓してきた、瀬戸船長の操船する第一海友丸にて出船。網地島沖の水深60~70mラインで釣り始めると、中層から底にかけてイカらしき反応はあるものの、なかなか釣れて来ない。船長によれば今年の仙台湾はイカのエサになるカタクチイワシが少ないそうで、ベイトの反応があってもプランクトン類が主体。イカの群れも薄く、どこの釣り船も軒並み苦戦しているとのことだった。

イカジギングに必要な道具立てについて、タックルはスピニング、ベイトどちらでもOKだが、薦田さんの経験ではスピニングの方が操作しやすいとのこと。ロッドはライトゲーム用。適度な軟らかさがある方がイカを乗せやすく、ライトジギング用、タチウオ用からティップランのエギング用や一つテンヤ用などを流用できる。

ラインはPE0.6~1.0号にリーダー3号前後と、高強度ラインを使用した細糸設定。このタックルシステムがイカの微妙なアタリを乗せることを可能にし、また、ラインが細いため70gくらいのジグでも十分深い水深に対応できる。

ジグを底まで落としたら、まずは底から中層までを広く探る。細かいレンジを探りやすいのもこの釣法の利点であり、狙いダナが決まればそこを集中的に攻める。

アクションは2、3回ほどジャークして、数秒ステイさせることの繰り返し。ジャークでアピールし、寄ってきたイカに食わせるイメージ。使用したイカジグは、シャクったときにしっかりヒラを打ち、フォール中はイカが乗りやすい横向きの姿勢を維持するように設計してあるそうだ。

活性が高いときであれば、イカが乗ると食い上げたようにフッと軽くなったり、ドンッと重みがかかるものだが、この日はチョンチョンとジグに触るようなアタリが中心でかなり渋かった。イカの数自体が少ないので勢いで乗らず、じっくりジグを見られてしまうような状況。そんなイカに何とかノリ気を起こさせるため、大きめのアクションでしっかりアピールをかけた方が有効なようだった。

釣り始めからしばらくはなかなかアタリの無い渋い状況で、最初に釣れてきたのはサバだった(写真左)。船中1杯目の本命スルメイカ(写真右)。ここから単発で上がり始めた
沖漬けのタレをクーラー等に入れ、釣りたてのスルメイカをINすれば爆ウマ沖漬けの出来上がり!
基本のアクション。2、3回ほどワンピッチジャークの要領でシャクり、続けて数秒ほど止めて漂わせると、横向きのステイ姿勢にイカが乗ってくることが多い。最初は底から広く探り、狙い棚が絞れたら集中的に攻めればOK
丹野さんもバッチリ本命をキャッチ!群れは薄いものの、釣れてくるのは丸々とした良型ばかりだった
厳しい条件の中で釣ったイカに満足。底付近で乗ったという人もいたが、大部分は水深30mほどの中層での釣果だった
薦田さんも仙台湾のスルメイカにご対面。「スルメイカはどちらかと言えば釣りやすいイカのはずなんだけど、こんなに渋かったのは初めてですよ」
[PR]

実釣性は高く、激シブでも何とか釣れてきた

この日はウネリも高く、途中で休憩する人もいたが、終盤には少しアタリが増えて、何とかイカの姿を見ることはできた。底付近にも反応はあったが、ノリ気のあるのは水深30mくらいの中層の個体。

結果、いちばん釣った人で7杯という厳しい釣果だったが、「船長に聞いたらエサ釣りで出船した他船はほとんどオデコ状態だそうです。小さなアタリを取ってアワセが効くイカジグだったから、極シブの条件下でも何とか釣ることができましたが、普通のイカ仕掛けでこのアタリに合わせるのは至難を極めたと思いますよ」とは丹野さんの談。

また、日本海で流行っているのが、リーダーに枝を出してスッテやエギを装着する方法。この日のように活性の低い時だと若干感度が落ちるという難点はあるが、これならダブルも狙えるし、フォールが緩やかになってジグの方にアタックしてくる率も多いとのこと。イカが多く、手返しよく数を伸ばしたいときにおすすめ。枝を出す際は、感度を損ねないようにエダスをできる限り短くするのがキモ。エダスビーズ等を使ってもいいが、薦田さんはチチワを出してそこにエギを付けているそうだ。

釣り上げるやいなや「反則技やっちゃいました~!?」。何かと思えば、薦田さんから伝授された枝バリの方に乗ってきた1杯だった
アタリはあるのだが乗らないことが多く、イカがいてもジグに足1本でパンチしているような感じだった。そのため巻き上げ途中でバレることも多く、足1本で釣れてくるケースも散見された

この日は釣況の悪さが悔やまれたものの、イカさえいれば仙台湾でも十分通用すると思わせてくれる釣行だった。ジグが軽くて操作がラクなため、イカ釣り特有の疲労感は軽減される。タックルがライトだから、スルメイカも大型になると、イカとは思えないような引きを楽しめる点もポイントが高い。

これからは、仙台湾はもちろん三陸や青森など太平洋側の各地で可能性がある。ツツイカ類なら何でも狙えるそうなので、秋から始まる三陸のヤリイカにも有効なはず。エサ釣り船で出来るかどうかはタックル的な問題もあり確認が必要だが、初期投資も少なく抑えられるので、挑戦してみる価値は十分にありそうだ。

激シブなコンディションの中、最後まであきらめずに誘い続けた
終盤にかけてポツポツとイカが乗るようになり、隣同士、連続してヒットする場面も
左)ライトタックルを使用するため、イカが良型になると引き+重量感はかなりのもの。右)ゴミでも掛かったかと思ったら、テヅルモヅルの仲間。触手がウネウネと動くのが気持ち悪く、即リリース
烏賊JIG-EVO(KOMO)のM.Tannno Factoryオリジナル仕様は、いずれもイカに実績のあるグローを取り入れたカラーラインナップ。最大は70gだが、細いラインを使うので100mくらいまでは十分に攻められる
瀬戸船長はお客さんの竿を預かっている間に一発でイカをキャッチ。「他船で釣れている情報があればすぐにでも移動したいんですけど、今日はどこのポイントもダメなようで、本当に困りましたよ」。いつも真剣に釣らせてくれることで、乗船者の信頼も厚い。
【遊漁船データ】第一海友丸(宮城・塩釜港)
■TEL:022-365-7589
■塩釜まがき港駐車場前の岸壁より出船
■仙台湾のアジビシ五目船や青物ルアー船、タラジギング船などのパイオニアで、イカジギングも開拓開始。もちろんマガレイ五目船など定番の釣り物でも出船中
丹野さんが店長を務める、菊田釣センター仙台店では、オフショア関連アイテムが充実しているほか、沖釣り商品も個性的な商品がいっぱい!イカジギング商品をはじめ、他ではなかなか手に入らないオリジナルアイテムをますます充実させ、ビギナーさんから一歩先を目指す中上級者まで幅広くサポート!

【関連】イカジギング動画(YOUTUBE)
福井小浜沖での実釣の模様を見ることができます。本来ならこのように誘って止めるとスグに乗ってくるはずなのですが…。
http://www.youtube.com/watch?v=ugTScpR-5Cg

◆記事に書けない裏話や質問への回答は無料メルマガ(毎月25日発行)で配信中!

※解説/薦田真司、丹野正文
※取材協力/KOMO、菊田釣センター仙台店第一海友丸

[PR]
Amazon堤防Amazon堤防釣り初心者

関連記事

岩手越喜来沖 夏イカジギングの遊び方

三陸岩手の夏イカ(スルメイカ)が堅調。コモジグ代表の薦田真司さんが大船渡市の越喜来湾沖でイカジギングを楽しんだ。 日が傾きはじめ、日中の暑さが和らいだ17時半。小石浜港を出港しポイ...

ジグで狙う三陸スルメイカ&ヤリイカ

三陸沖で冬至スルメとヤリイカがベストシーズンを迎えている。岩手県の釜石と宮古の間に位置する大槌沖も例外ではなく、大型のスルメイカとヤリイカを狙うチャンス!「御箱崎釣具店・美嘉丸」で...

三陸夜イカ2018シーズン好気配

ここ数年、個体数激減による不漁の影響で高級魚に仲間入りしつつあるスルメイカだが、今季の三陸沖は比較的好調に夜イカ釣りが開幕している。大船渡越喜来湾沖のイカジギングを上州屋新盛岡店の...

越喜来湾の夜スルメイカ好季 烏賊JIG駆使して型狙い

夏~秋の三陸スルメイカジギングシーズン。月夜でスルメイカのレンジがばらばらに散らばっている状況で、タナを探りながら拾い釣るテクニックをKOMO代表薦田さんが解説! 目次 夏スルメイ...

イカ専用ジグで狙う!仙台湾のスルメイカ

宮城、岩手の沿岸で夜のスルメイカ釣りがハイシーズンを迎えている。ここ数年は、比較的ライトなタックルを使うイカジギングもすっかり定着。ダイレクトなイカの乗りを楽しめるうえ、少し慣れて...

真夏の夜は・・金華山沖イカルアーで夕涼み

夏の船釣りの定番、スルメイカの夜釣りが各地でシーズンを迎えている。東北太平洋側の宮城、岩手も8月に入って好季に突入しており、宮城仙台湾沖も釣果に若干のムラはあるもののシーズンに入っ...