イカジギングin仙台湾
例年であればスルメイカは盛期のはずだが…
日本海側でライトタックルのイカ釣りが人気急上昇中だ。メタルジグを使ったジギングスタイルの他にも、鉛スッテゲームやイカメタルなどと呼ばれる釣り方があり、日本海各地の遊漁船に広まっている。
ターゲットはスルメイカやヤリイカ、ケンサキイカ(アカイカ)などのツツイカ類全般。繊細なタックルと高感度な細糸を使うことでイカ釣りのゲーム性が高まり、また、テクニック次第で比較的簡単にたくさん釣れる点も、人気の一因になっている。
この日の釣行会は、菊田釣センター仙台店(現トップレンジ)の丹野さんが中心となり開催。イカジギングに詳しいKOMO代表の薦田さんも招いて、講習会的な側面も含めた釣行となった。実はシーズン初期の7月にも同様の釣行会を行っていて、2度目の開催となる今回は、(例年なら)ハイシーズンである8月に爆釣を目論んだワケだが、どういうわけか今シーズンは仙台湾のイカは絶不調。出船前から厳しい釣りになることが予想された。
夕方5時、丹野さんと二人三脚で仙台湾の新しい釣り物を開拓してきた、瀬戸船長の操船する第一海友丸にて出船。網地島沖の水深60~70mラインで釣り始めると、中層から底にかけてイカらしき反応はあるものの、なかなか釣れて来ない。船長によれば今年の仙台湾はイカのエサになるカタクチイワシが少ないそうで、ベイトの反応があってもプランクトン類が主体。イカの群れも薄く、どこの釣り船も軒並み苦戦しているとのことだった。
イカジギングに必要な道具立てについて、タックルはスピニング、ベイトどちらでもOKだが、薦田さんの経験ではスピニングの方が操作しやすいとのこと。ロッドはライトゲーム用。適度な軟らかさがある方がイカを乗せやすく、ライトジギング用、タチウオ用からティップランのエギング用や一つテンヤ用などを流用できる。
ラインはPE0.6~1.0号にリーダー3号前後と、高強度ラインを使用した細糸設定。このタックルシステムがイカの微妙なアタリを乗せることを可能にし、また、ラインが細いため70gくらいのジグでも十分深い水深に対応できる。
ジグを底まで落としたら、まずは底から中層までを広く探る。細かいレンジを探りやすいのもこの釣法の利点であり、狙いダナが決まればそこを集中的に攻める。
アクションは2、3回ほどジャークして、数秒ステイさせることの繰り返し。ジャークでアピールし、寄ってきたイカに食わせるイメージ。使用したイカジグは、シャクったときにしっかりヒラを打ち、フォール中はイカが乗りやすい横向きの姿勢を維持するように設計してあるそうだ。
活性が高いときであれば、イカが乗ると食い上げたようにフッと軽くなったり、ドンッと重みがかかるものだが、この日はチョンチョンとジグに触るようなアタリが中心でかなり渋かった。イカの数自体が少ないので勢いで乗らず、じっくりジグを見られてしまうような状況。そんなイカに何とかノリ気を起こさせるため、大きめのアクションでしっかりアピールをかけた方が有効なようだった。
実釣性は高く、激シブでも何とか釣れてきた
この日はウネリも高く、途中で休憩する人もいたが、終盤には少しアタリが増えて、何とかイカの姿を見ることはできた。底付近にも反応はあったが、ノリ気のあるのは水深30mくらいの中層の個体。
結果、いちばん釣った人で7杯という厳しい釣果だったが、「船長に聞いたらエサ釣りで出船した他船はほとんどオデコ状態だそうです。小さなアタリを取ってアワセが効くイカジグだったから、極シブの条件下でも何とか釣ることができましたが、普通のイカ仕掛けでこのアタリに合わせるのは至難を極めたと思いますよ」とは丹野さんの談。
また、日本海で流行っているのが、リーダーに枝を出してスッテやエギを装着する方法。この日のように活性の低い時だと若干感度が落ちるという難点はあるが、これならダブルも狙えるし、フォールが緩やかになってジグの方にアタックしてくる率も多いとのこと。イカが多く、手返しよく数を伸ばしたいときにおすすめ。枝を出す際は、感度を損ねないようにエダスをできる限り短くするのがキモ。エダスビーズ等を使ってもいいが、薦田さんはチチワを出してそこにエギを付けているそうだ。
この日は釣況の悪さが悔やまれたものの、イカさえいれば仙台湾でも十分通用すると思わせてくれる釣行だった。ジグが軽くて操作がラクなため、イカ釣り特有の疲労感は軽減される。タックルがライトだから、スルメイカも大型になると、イカとは思えないような引きを楽しめる点もポイントが高い。
これからは、仙台湾はもちろん三陸や青森など太平洋側の各地で可能性がある。ツツイカ類なら何でも狙えるそうなので、秋から始まる三陸のヤリイカにも有効なはず。エサ釣り船で出来るかどうかはタックル的な問題もあり確認が必要だが、初期投資も少なく抑えられるので、挑戦してみる価値は十分にありそうだ。
【遊漁船データ】第一海友丸(宮城・塩釜港)
■TEL:022-365-7589
■塩釜まがき港駐車場前の岸壁より出船
■仙台湾のアジビシ五目船や青物ルアー船、タラジギング船などのパイオニアで、イカジギングも開拓開始。もちろんマガレイ五目船など定番の釣り物でも出船中
【関連】イカジギング動画(YOUTUBE)
福井小浜沖での実釣の模様を見ることができます。本来ならこのように誘って止めるとスグに乗ってくるはずなのですが…。
http://www.youtube.com/watch?v=ugTScpR-5Cg
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※解説/薦田真司、丹野正文
※取材協力/KOMO、菊田釣センター仙台店、第一海友丸