釣りに役立つ目の話「偏光サングラスの価格差(2)レンズ編」
岩手県花巻市のメガネのおくやま・奥山剛さんが釣りと偏光サングラスの関係や目についてのイロイロを語ります。今回は第4回の「偏光サングラスの価格差について(1)フレーム編」に続き、レンズの価格差について解説します。
[連載]知っておきたい!釣りに役立つ目の話
偏光レンズも価格差がある
偏光サングラスというものは、『フレーム+偏光レンズ』に分けられますので、価格が決定される要素としては、フレームまたはレンズの質によります。
今回はレンズ編ということでレンズに関しての価格差を紹介します。先に申しますが、この場では「どこのメーカーが良い悪い」、「価格が高いほうが良く安いのは悪い」というようなことは申しません。あくまでも、商品の良し悪しを判断するのはユーザーであり、今お使いのサングラスに満足されているのであればそれがベターとお考え下さい。そのため、一般論として、また、今後お選びになる際のご参考にして頂ければ幸いです。
『偏光サングラス』と言っても様々なものがあり、価格も様々です。ある基準を満たせば、偏光サングラスと名乗ることはできますが、偏光サングラスの場合、価格の差はレンズと言っても良いと思います。
なぜかと言うと、偏光レンズのメーカーは、『偏光レンズの性能を発揮できるフレームを組み合わせる』ということを考えているので、レンズと合わないフレームを組み合わせて販売することはおすすめしておりません。つまりはレンズありきでフレームをどうするか、という順番になります。
有名釣り具メーカーの偏光サングラスは、数千円のラインナップと2万円〜4万円くらいのラインナップがあります。同じメーカーのロゴが入っているのですがかなりの価格差があります。こちらも価格の差はレンズと言えます。もちろん、フレームによる価格差もありますが、高性能なレンズを長期において保持するためにはそれなりのフレームの質が必要になるということです。
偏光レンズの性能の違いを解説
それではレンズの質として具体的にどう違うのか?
・材質
安価なものはトリアセテート、ポリカーボネイトが多い。景色の見やすさではメガネレンズと同じ材質(CR-39、ガラスなど)が勝る。
ただし耐衝撃性(割れにくさ)はポリカーボネイトが強い。
・コーティング
反射防止コートや撥水コートの有無で見え方と手入れのしやすさなどが違う。
反射防止コートがないとレンズ裏面に景色が映り込むため景色がチラついて見える。
・カラーラインナップ
既製品のものは濃い色味が多く選べるカラーが少ないが、こだわりのある偏光レンズメーカーはシーンに応じて10種類以上のカラーを用意している。
・アフターフォローなど
レンズメーカーによってはキズの保証などがあったり、数年使った後でもレンズのみの交換が可能。
など
『偏光酔い』という言葉を聞いたことはあるでしょうか?偏光酔いという現象はレンズを揺らした時にその揺らした以上に景色がブレる現象で、このようなレンズを使い続けると景色が常に揺れている感じになり疲れます。
つまりレンズの価格の違いは、
『景色を鮮明に見ることができ、長時間掛けても疲れにくい』ということにつながります。
これは釣りのシーンでも重要なことではないでしょうか。
クルマの運転やボートの操船にも有用な偏光サングラス
最近では、釣り業界でも有名な偏光レンズメーカー『タレックス』のサングラスを鉄道やバス会社の運転手用に採用する企業もあるという記事が新聞でも紹介されました。
『安全運転、安全輸送』のためのサングラスとしても注目されているということです。もちろん大前提として、企業が採用するということはしっかりとした品質のものであり、見え方の質を求めているタレックスのレンズだからこそということは言えると思います。仕事中のサングラス着用は日本ではあまり馴染みがないことでしたが、サングラスを着用するベネフィットとして『安全運転』、『疲労軽減』ということに関心のある企業が増えているということではないでしょうか。
メガネハウスおくやまでは、釣りではもちろんですが、漁業関係者や操船をされる釣り船、遊漁船関係者の皆様へ、安全のための『保護メガネ』としても偏光サングラスのご相談を承っております。
以下は、当店をご利用頂いている『フィッシングガイド45』船長の千田さんより仕事における偏光サングラスの使用感を教えて頂きました。
[偏光レンズの有用性]
近年、アングラーにとって必要不可欠と言っても過言ではないアイテムの1つ「偏光グラス」
陸っぱりアングラーにとってはシャロー帯で狙うポイントの幅が広り、キャスト精度も上がり釣果に直結する場面が多々見受けられます。オフショアがメインのアングラーにも利点は多く、オフショアといえどシャローゲームで展開される釣り物も多く、陸っぱりアングラーと共通する利点があります。
物理的な危険物、紫外線からの目の保護という面でも非常に有用です。
そして釣り人に限らず、遊漁船の船長や漁業者といった船舶を操船する者にとっても『偏光グラス』は大きな利点を与えてくれます。
船舶を操船する立場にある者は常に『安全に運航しなければならない』義務も生じ、光量の多い夏、光量が減少する曇天時や雨天時、日々色々な様相を見せる海上での操船は非常に気を配る場面があります。
私は天候や場所によって数種類のレンズカラーを使い分けていますが、偏光グラスを通し、目視していたお陰で危険を回避できた場面も少なくありません。
レーダーやGPSといった機器も非常に大事ですが、操船する者にとって安全を確保する為の「目視」という重要な動作を最大限に助けてくれるアイテムが『偏光グラス』だと思います。
メガネハウスおくやま岩手県宮古市出張イベント開催!
[日時]2月10日(土)、2月11日(日)10時〜16時頃まで
宮古市『釣研』にて出張展示会
偏光レンズのお試し、偏光サングラスの展示、販売、オーダーなどご相談承ります。
オーバーグラス、クリップオンタイプ、フリップアップタイプなど度付きメガネをお使いの方もご相談下さい。
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岩手県花巻市出身1982年生まれ
日本眼鏡技術者協会 1級眼鏡作製技能士
釣りやアウトドアシーンでのオーダーメイド偏光サングラスの相談も多く対応している。自身で組み立てする偏光サングラスの製作本数は年間300本以上
メガネハウスおくやまのFacebookにて『メガネ選びの参考に』というタイトルで目とメガネに関する情報も投稿していますので、そちらも参考にしてみてはいかがでしょうか。
※写真・テキスト/奥山剛