背びれだけじゃなかった!オニカサゴの毒棘除去のコツ
みるからに危なそうで誰も好んで触ろうとはしないが、誤って刺されてしまうと激痛とともに病院送りになることもある鬼カサゴの毒トゲ。危険な棘の箇所と処理方法についてオニカサゴ釣りを得意とする田村努さんに教えてもらった。
おいしいものにはトゲがある?
オニカサゴを調理する際、一般に注意すべきとされるのは毒があることが知られている背ビレの棘とエラ蓋の棘、臀鰭の棘。これら以外の鰭にも隠れた小さい棘があり、小棘はそのままにしていることも多いのだが、「毒棘を取ったつもりで安心していたら怪我をしてしまった」という事例が実際に起きている。小棘にも毒があるかどうかは不明だが、隠れた小棘も念のために取り除くのが安心だ。
棘を落とす際は丈夫な万能ハサミ(料理バサミ)やニッパーなどを使い、切り取った棘にも毒は残っているので、そこらへんに飛び散らないよう気を付けて作業しよう。
↓棘を切るとこうなる
■背鰭のトゲ:最も大きい棘で見るからに危険なので、真っ先に切り取られる。
■背鰭のトゲ2:これは背鰭軟条と呼ばれる軟らかい鰭の部分にある隠し棘。背鰭の大棘に目が行って忘れがちだが、鰭の軟らかい部分に1本隠れた棘がある。
■しり鰭:毒棘があることが知られるしり鰭。しり鰭には大きい1棘、2棘のほかに、隠れた3棘目がひそんでいるのでこれも忘れず切り落としておく。
■腹鰭:腹鰭にも小さい棘が1本隠れている。左右にある腹鰭の両方に付いている
背鰭の隠し棘を除去する
しり鰭の隠し棘を取り除く
腹鰭には左右両鰭に一対の棘があるので注意
船上で棘を落とさないよう注意!
オニカサゴの棘は切り取った後も毒が残るので、取った後の処理にも注意が必要だ。切った棘が飛び散ったりしないようにまとめて処分しよう。
船上で棘を切ってしまう人も多いと思うが、揺れる船上では手元が狂って誤って棘に刺さるおそれがあるし、また、不意に飛び散った棘が船上で行方不明になってしまうこともある。実際に「誰かが落とした棘に刺さって怪我をした」という事例も発生しているそうだ。
これだけの作業だと時間もかかるので、船上での作業が貴重な実釣時間を無駄にすることになる。船上では棘に刺さらないよう丁寧にクーラーに入れて、陸に上がってから、あるいは家に帰ってから落ち着いて棘の処理をするのも一つの手だ。
※解説/田村 努