釣行記

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ロッドプランナーのひとり言[第3回]サイファリストグリーン

藤井伸二 2020年8月4日 更新

バレーヒルのロッド開発者、藤井伸二さんが月1回のペースでものつくりへのこだわりを語ります。

ロッドプランナーのひとり言バックナンバー

フィールドテスター千葉正博さんとの出会い

「初代サイファリストHRX」が「現行サイファリストHRX」へモデルチェンジすることになった経緯をお話するにあたり、現在もフィールドテスターとして弊社と関わっている千葉正博さんとの出会いを先ずはお話しなければなりません。今やハードロックフィッシュシーンにおいて定番となったロングレングスのロッドも彼と知り合わなければ誕生していなかったかも知れないからです。

ただしコラムをこんな感じで書き出してみたものの、改めて振り返ってみても彼と初めて出会ったのが何時頃だったか正直覚えていません(笑)。おそらく東北地方で初めて開催された「ルアーフェスタin仙台」(現在のフィッシングショーin東北)にバレーヒルが出展した際にブースへ来てくれたのが最初だったかも知れません。

当時から東北でのハードロックフィッシュトーナメントはもちろんバストーナメントにも出場したりと多方面で活動していた方だったので、ブースで話しているうちに意気投合して「新しいサイファリストHRXを作りませんか?」といった運びになったのだと思います。また弊社の東北を担当していた営業からのバックアップも大きく、市場調査も含めてスムーズに商品開発が進んで行きました。

現行サイファリストHRX」のグリップ周り。初代と違ってリールシートにブラックメタリック塗装が施してあります。ベイトモデルにはACSシート、スピニングにはVSSシートを採用

9ftのロングロッドが誕生

さてモデルチェンジするにあたり、先ずはラインナップの見直しから始まりました。まだ他メーカーでは本格的に展開されていなかった「細分化されたハードロックフィッシュロッド」。当時からボート、防波堤、磯場などロックフィッシュのフィールドは多様でしたが、それに合わせて幅広く網羅して専用設計されているシリーズは市場で少なかったからです。

また同時に次のシリーズでは、ロックフィッシュの実際の釣り方や魚の習性が似ているように感じていたので、アクションにおいて少しバスロッドの味付けを入れようと考えていました。やはりアタリを感知して掛けていく釣りにおいて、バスロッドの持つフィーリングをロックフィッシュロッドのアクションに加えるのはアリだと感じたからです。

そうして全体のラインナップを検討していく中で、千葉さんから提案のあったのが
「9ftヘビーアクションのスピニングモデル」
でした。ただ正直なところ、最初は半信半疑でした。9ftオーバーのレングスは横の釣りに対応するシーバスロッド等であれば未だしも、どちらかと言えばアタリを感知して掛けていくロックフィッシュの釣りにおいては少し長すぎるように感じたからです。

しかし、「必ずロングロッドがくるから」と千葉さんが私を強力に後押ししてくれたおかげで、結果的に発売当初に爆発的なヒットをする「CPHS-90H」というモデルを生み出すことが出来ました。

ちなみに、このモデルはバットパワーが異常に強いシャープなアクションながらティップは繊細というバスロッドをそのまま長くしたようなアクションが特徴です。

特に根周りをテキサスリグ等で丹念に探っていくような状況において、ティップまで硬いアクションよりティップ部分をやや繊細にしたアクションの方がシンカーが勝手に喰い込んで根掛かりしてしまうのを回避できるだけでなく、よりタイトに根周りを攻めることができると考えたからです。そして魚を掛けてからは強靭なバットパワーで根から魚を引き離す・・・・まさにバス用のテキサスロッドに求められるアクションと同じと言えます。

またこの後に発売された「CPHS-910H/Plus」は、さらなるロングロッドの需要を予測して90Hを全体的に硬くしてテーパーをトルク方向に振ることでロングキャスト性能に磨きを掛けてアップデート。こちらも今まで届かなかったポイントを攻略できるモデルとして、90Hに迫る人気モデルとなりました。

ところでご存知の方もいらっしゃると思いますが、この910H/Plusは全国的に有名な 某ロックフィッシュトーナメントのロッド使用規定にある「10ft未満」に対応したスペシャルモデルとなっています。

これ以外のモデルの特徴についてもお話したかったのですが・・・・少し長くなりそうですので次回以降に改めてお話させていただきますので楽しみしていてください。

最後に一つだけ、現行シリーズに採用している「サイファリスト・グリーン」について。

初代からモデルチェンジするにあたって、新しいデザインについて悩みました。前モデルの流れを引き継いでシックなデザインにする案もありました。ただフィールドで使っていただくのであれば、今回は遠目からでも分かるようなデザインにしたいと考えた時に閃いたのが「アイデンティティ(象徴)」とも言えるカラーを採用すること。

そのヒントは、ロッドテストで初めて岩手に行った時に見た青い海にありました。正確に言うと「海のブルーが深みを増して行き、エメラルドグリーンへ変化した色」・・・・。現行シリーズのブランクスカラーとメタルパーツに使用しているグリーンは正にそれらを表現したものとなっています。

というわけで、今回のお話はここまでです。

初代サイファリストHRXから一新したロゴデザイン。印刷部分だけを艶消し仕上げにしているのが特徴で、下地のメッシュカーボン素材は多くのバレーヒルロッドに使用しています
感度アップに繋がる小口径化されたティップセクションのガイド。キャストの際にリーダーの結び目を巻き込まない前提のセッティング
本文の最後にある「サイファリスト・グリーン」のメタルパーツ。イメージの色を表現するために特別に作成したアルマイトカラーです
同じく本文にある「サイファリスト・グリーン」のブランクスカラー。写真では分かりにくいですが、太陽光に当たると鮮明なグリーンがさらに浮かび上がってきます

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PROFILE:藤井伸二(バレーヒル・ロッド開発担当)

15歳よりルアーフィッシングを始める。某ルアーメーカーを経て現在はバレーヒルにて主にロッド開発を担当。得意な釣りはバスとハードロックフィッシュで「ブラックスケール」および「サイファリストHRX」シリーズの開発担当者である。

 

※画像・テキスト/藤井伸二
※協力/バレーヒル

VHソルト サイファリストHRX プロスペック CPRS-911H

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