東海林誠の東北投げ釣り徹底ガイド 1投目 夏キス!
※この記事はプレミアムメールマガジンで2013年7月に配信したものです。
いきなりですが、皆さん、『キスの投げ釣り』を体験したことはありますか?竿を数本並べてのカレイ釣りや夜投げアイナメ、一発大物狙いの投げマダイなども面白いのですが、広いサーフでキスの群れを探しつつ、ポイントを少しずつ移動しながら1本の手持ち竿で狙うキスの数釣り!
日本海側に比べ、宮城など東北の太平洋側は魚影が薄く、なかなかなじみがありませんが、15cmを超えたあたりから魚体の割にアタリが大きく出て、特に、良型キスが1投ごとに連で掛かるキス釣りを体験すると、誰もが必ずハマってしまうジャンルの釣りだと思います!
今年の日本海、特に山形はキスが釣れ始まったのも遅く、6月末時点では釣果は今一つで、場所によっては小型ばかりですが、これから秋にかけてかなり期待出来ると思われます!
キスは、全国各地で数釣りの大会なども数多く開催されていて、東北にも全国大会の常連さんが多く在籍しています。私自身、人が混み合うトーナメントは相変わらず苦手ですが、今回、数釣り用に揃えるタックルと、後半には、数&型狙いのちょっとした裏ワザなども含めて解説してみます。
~~道具編~~
【竿について】
サーフで、竿1本で釣る事を考えると、遠投性能&メンテナンスが楽な『並継竿』が断然オススメで、漁港や防波堤では振出竿も可!メーカーによっては、標準オモリ負荷が40、45号という剛竿もありますが、一般的には長さ4m前後でオモリ負荷30~35号のものが適しています。
値段によって、竿の重さや反発させる力が違うので、これから本格的に揃えるという方は、実際に試投会などで投げてみて、自分の体力にあったものを選ぶのが理想です。もちろん、飛距離を伸ばすためには、体を鍛えたり、キャスティング練習なども必要ですが…!
【リール/ラインについて】
数釣りの場合には、ドラグ機能の無い投げ専リールで、軽量タイプのものが向いています。道糸には、遠投重視ならPEラインの0.6~1号(+PE力糸0.8~6号)で、25mごとに色分けされたものを使うと、カケアガリやアタリがあったポイントの距離がほぼ正確に分かるので、長い距離をダラダラとサビく事も避けられます。大会では0.2~0.3号といった超極細ラインを使う方もいます!(驚)
【テンビン/オモリについて】
オモリは25~35号を使い分け。市販のL型テンビンでもOKですが、私はテンビンのウデを0.8mmのステン材で自作していて、オモリ接続部にローリングサルカンを付け、オモリを取り外し可能な状態にしています。そして、その日の状況に合わせて、タングステンや発泡オモリをセットします。
最近、特に気に入って使っている発泡オモリですが、30号のオモリでも小型のキスのアタリが明確に出て、20cm超だと、竿を引ったくられる快感を味わえます。さらに、巻き上げ時に水面に浮き上がるので、回収時もリーリングが軽く、全くストレスを感じません。
※ただし、誤ってコンクリートに強くぶつけたりすると破損の可能性があるので、防波堤などでの使用時は注意が必要です。
また、テンビンのウデの先には、ホンテロン3号2本撚りのスナズリを20cmほど取り、その先に極超サルカンを付けると、スナズリを付けない場合に比べ、キャスト時の仕掛け絡みを大幅に減らす事が出来ます。
【仕掛けについて】
市販のキス釣り仕掛けなら、ハリ数5~8本、または、好きな本数を選択できる50連仕掛けが向いています。自作する場合は、テンビンのウデから1本目のハリまで、フロロ2号前後のモトスを1~1.2mくらいとると良く、そこから、27~30cmくらいの間隔を目安に、ハリス0.8~1号の5~8本バリ。さらに慣れてきたら10本、12本などの多点バリ仕掛けも面白いです。慣れないうちは、ハリ数が多いとトラブルも増えるので、5本バリくらいから始めると良いかと思います。
大会などの場合は、1つの仕掛け巻きに10セットくらい巻いて、ハリ数や号数別に、30~50セットくらい用意したり、自作の50連仕掛けを使ったりしています。ハリのサイズは、普段は6~7号を主に使っていますが、匹数制の大会に限り、4~5号の小バリを使います。
【エサについて】
数釣りの場合、ジャリメが一般的ですが、チロリや細めのアオイソメも効果的。頭を取り、1.5~2cmに小さくカットして使います。型狙いの時には太めのアオイソメやイワイソメ、スーパーコールデルも実績大で、4~5cmにカットして使いますが、ハリ数が多い場合には、仕掛け絡みに注意が必要です。
【クーラー/その他】
サーフを移動するキス釣りには、竿立て、サイドバッグ、オモリホルダー、エサ箱、ドリンクホルダーなどが全て備わった、12~18Lのキス用システムクーラーが欠かせません!特に、最近の新製品のものは、改良に改良を重ねてあり、とても便利に出来ています。既製品に、さらに自分でカスタマイズしていくのも楽しいですけどね!(笑)
~~実釣編~~
■数狙いのキス釣り!
キスの群れは、必ずしも遠くにいるとは限らないので、まずは2色(1色=25m)程度投げてみて、手前を探ってみます。時折、波口(波打ち際)に溜まっていることもあり、力糸やテンビンが見えてから『ブルブルブルブル…』とアタリが連発することもあります!
アタリが無かったり、小さいキスしか掛からなかったら、次は遠くに投げてみます。アタリが無ければ、まずはカケアガリを探してみて、そこから1~2mほど仕掛けを引いて少し待ってみますが、魚影が濃い時はすぐに反応があるので、1~2色くらいサビいたら一度回収してみます!釣れたキスは下から順に外し、上から順にエサを付けていきます。
道糸の色でアタリが出た距離を覚えておき、次は少し先に投げ、同じ距離をサビきます。何投かやってアタリが止まったら、少し移動してみて、再度その繰り返し。
意外と、ベタ凪ぎの時はあまり良くなく、少し波っ気がある日や、水面に潮目が現れたりした時は大釣りのチャンス!好調時は、半日やっても空バリ無く釣れ続きます!
昨年の7~8月は良型混じりでキスが好調に釣れ、良い時は7時間で5kg以上!過去には、お盆の時期に、8時間くらいやって350匹釣れた日もありました!
キスの魚影が特に濃い場合には、リール1秒1回転の『高速サビキ』が効果的で、常に仕掛けが張られるため、掛かったキスが暴れて仕掛けが絡むといったトラブル&時間のロスも回避できます。
■型狙いのキス釣り!
あくまでも個人的なものですが、所属する団体『全日本サーフキャスティング連盟』のランクサイズ(A=26cm、B=28cm、C=30cm、D=35cm)狙いで、高い実績を上げている2つの方法を紹介します。
【ドラグフリー釣法】
キスの大物は、意外にも夜釣りで良く釣れます!ドラグフリー釣法は、ドラグ付きのリールを使用し、2~3本の竿を並べて、ドラグを全開のゆるゆるにして待つ釣り方!テンビンや仕掛けも全遊動にする事で、魚が食い付いても、テンビンや竿の抵抗が魚に伝わりにくく、違和感なく食い込ませる事が出来ます。
夜釣りと言っても、何も変化の無い砂底より、沈み根やケーソン、テトラのキワや、海藻に囲まれた狭い砂地などへキャストすると、大型キスのヒット率が大幅UP!過去に、30cmUPの『尺ギス』も10数匹上げています。
大型のキスが掛かると、ドラグが悲鳴を上げるので、慣れないうちはビックリしますが、すぐにはアワせず、2回目のアタリで大きくアワせると掛かりが断然良くなります。なるべく明るいうちに偏光グラスで海底の状況を確認しておくと良く、根周りでは、外道でマダイやクロダイなどがヒットする事もあるので、道糸、ハリスともに太めのものを使うと良いでしょう。
【竿尻固定引き釣り】
引き釣りをやっていて、不意に来る大型キスのアタリ!以前は、ついつい竿先を送ったり、アワセを入れてもハリ掛かりしなかった事が多数ありましたが、試行錯誤の末に辿り着いたのが、竿尻をコンクリートやテトラ、またサーフの場合はクーラーに座って砂に竿尻を固定してリールのみでサビくこの釣り方。※決してやる気がなくてクーラーに座って釣りをしている訳じゃありませんので、念のため…(笑)
この釣り方のポイントは、竿先は90度(垂直)から動かさず、リールを1~2秒に1回転のペースで巻き続ける事と、やはり、平坦な砂底より、沈み根や海藻のキワなど、なるべくギリギリを正確にサビく事。
強烈なアタリがあった時、竿先が『ぐぐぐっ!』としなっても、竿を送ったりアワせたりせず、我慢してそのままのペースでリールを巻き続けます。完全に向こうアワセが決まると、大型キスの口にハリが深く刺さって、逃がす事がなくなり、ほぼ100%ゲット出来るうえに、近くにいる大型キスの連掛けの可能性も!
以前、山形でコールデルをエサに、1投で29&27&24cmの良型キス3点掛けの経験もあり、この時竿先に出たアタリは、まさに『激震』でした!荒れ気味の日には日中でも期待できますが、この釣り方は、特に朝マヅメが期待大です。
※今後の注意点など
7月中旬、間もなく海水浴シーズンに突入するため、キス釣り場も限られてしまいますが、海水浴場を少し避ければ、サーフからでも釣りは可能です。また、荒れた後には、漁港内にキスの群れが入っている事もあり、思わぬ良型キスの入れ掛かりを体験する場合もありますが、船道付近の釣りでは、漁船や係留しているロープなどに注意が必要です。
気温が上がる真夏のキス釣りには、熱中症対策として『霧吹き』がオススメです!数分に1度、顔や腕などにかけてやると、気化熱効果で、かなり涼しく過ごせます。もちろん、スポーツドリンクなど水分の摂取もお忘れなく!
まだ一度もキス釣りをやった事が無いという方は、ぜひこの夏、日本海へ出掛けてみませんか?きっとあなたもハマると思いますよ!
とうかいりんまこと。家業である米穀店の仕事と育児の合間に、せっせと釣り場に通う、投げ釣りマスター。北は青森から南は愛媛や有明海まで、大物にかける情熱が足を釣り場に向かわせる。仙台広瀬キャスターズ所属