岩手沿岸で釣りの最中にクマ出没!5mまで迫った動画&体験談
釣りや山菜採り中のクマの目撃例が相次いている。こちらでは2023年4月下旬頃、岩手県沿岸北部の久慈市周辺で様々な釣りを楽しんでいる「はげさき」さんが釣り中にクマに遭遇した動画を体験談とともに紹介する。
大型イワナを釣り上げ撮影した直後の出来事
2023年4月下旬のある日、はげさきさんはドライブ中に見つけた流れの細い沢にエントリー。自己レコードサイズの大物イワナを釣り上げ、撮影を終えた直後に突然クマが近付いてきた。
時間はピーカンの正午ごろ。そこは車が往来する道路からも見えるようなポイントで、道路までの距離も60mくらいの所だった。
「ポイントに着くまでは爆竹や火薬銃を使ったり、大声を出したりなど威嚇していました。ポイントに着いて魚を掛ける前後は魚にバレないように静かに釣りをしていました」
「嬉しい事にいい魚が釣れたので、しばらく見惚れて写真の撮影などをしていました。そのため、威嚇をしていなかった時間が結構あったのだと思います。気配を感じて顔を上げると、前方の山の奥からゆっくり黒いものが降りてくるのが見えましたが、時すでに遅しというような距離でした(直接距離で5mくらいだと思います)」
今回有効だった撃退手段は「お腹から大きな声を出す!」
クマを見たのはこれで4度目というはげさきさん。熊対応のセオリーでは静かに後ずさりするとされているが、ここで頭に浮かんだのは、ちょうど前夜テレビで見た「ヒグマを叱る漁師さん」のドキュメント番組。
[TVで紹介されていた熊に負けない方法]
①腹の底からしっかり声を出す
②決して目を逸らさない
③一歩前に出る気持ちで
※ただし、個人の見解ですので絶対に真似しないでくださいとの注意あり。
とっさにこれが思い浮かび、腹の底から「コラッ!」と叱ること2回。クマはゆっくりと引き返していったそうだ。
春から初夏はオスの若い熊が行動範囲を広げる季節。最近のニュースなどでも、好奇心でヒトに近寄ってくる熊が増えているようだが、はげさきさんの印象は・・。
「興味を持って近寄って来たという様子ではなかったように感じます。水でも飲みに何気なく沢に降りてきたのかなーと思いましたが、私に気が付いても驚く様子はなかったので何とも言えないです」
「以前、熊に遭遇した時も釣りに集中して威嚇を忘れていた時でしたが、その時は私に気付いた瞬間にとてもびっくりした様子で逃げて行ったので、それとは違いました。前夜のテレビ番組で見た熊の様子とそっくりでした。人間には慣れているけど、威嚇すると逃げていくような感じ」
「テレビで見たように目をしっかり見て、動じずに腹の底から声を出して『コラッ!』と2回威嚇したらゆっくり引き返していきました。あまりにも近かったので、恐怖というより逆に腹が座りました(笑)」
熊鈴やクマ除けスプレー、爆竹など十分な対策装備済みだった
はげさきさんがこの日持っていたのは、熊鈴、熊スプレー、爆竹、火薬銃。一般のアングラーに考えられる範囲ではフル装備といっても過言ではないだろう。それでも、こちらからのアピールの間が空いたタイミングや、たまたま熊の警戒心が薄れていて鉢合わせしてしまうケースも考えられる。
今回のクマは幸いにして攻撃してくることは無かった。ただし、一番危険とされる子連れの母熊や興奮状態のクマであれば威嚇した瞬間に襲ってくることも考えられなくはないので、対応は相手(熊)の動きもみながら、刺激しないよう注意した方が良いだろう。
6月上旬現在、山菜は初夏の根曲がり竹のシーズンで、この細竹はクマの大好物でもあるため遭遇事例が急増中。釣り人も渓流、磯にと釣行が活発化するシーズン。梅雨の雨で物音がかき消されやすくなる時季でもあるので、山に入る際は十分気を付けるようにしていただきたい。
※動画撮影・取材協力:はげさきさん
@hagesaki_fishing