[連載]常笑upcoming fishing!☆第4回 東北スルメイカ釣り・基本編
連載:針生秀一さん 第4回 東北スルメイカ釣り・基本編
※この記事は2013年8月にプレミアムメルマガで配信したものです。
イカの沖釣りは全国各地で人気の釣り物ですね。中でもスルメイカは夏のイカ釣りの代表格。東北地方では集魚灯を燈した夜釣りが主体で、日中のイカ釣りに比べて釣りやすく、数釣りできるのが魅力です。
この連載を記している8月中旬現在、仙台湾では後半戦に入ってきていて、9月上旬あたりが終盤です。今年は釣れ始まりが遅めだったので、ラストの盛り上がりになって少し遅くまで出船が続くかもしれません。釣果情報をチェックしておきましょう。
「もう仙台湾は後半戦なのに、いまさらイカ釣りを解説するのか?」と感じられた方も居られるでしょうが、三陸沿岸各地に山形、秋田の日本海側では、晩秋までのロングランで楽しめるのです。日没が早くなるのにしたがって出船時間が早まり、沖揚がりの時間も早くなるので、身体的な負担も軽減します。私は秋にかけて岩手県越喜来湾の夜スルメに通うことが多くなるのですが、それはこの時間的なことも理由のひとつなのです。
夜イカ釣りに踏み出さない釣り人に理由を聞くと
・夜中、ときに朝方の帰りで身体的にきつい。
・100杯なんて釣ってもあとが大変。
・イカは重いだけで釣り味が今ひとつのように思う。
・本数が多いイカヅノ仕掛けを使いこなす自信がない。
・ハリを刺したら痛そう。
・新たにタックルをそろえなくてはならないのか?
などの話が出てきます。こんな敷居を乗り越えるイカ釣りの楽しさ、タックル、釣り方を説明してみます。
イカ狙いの基本の道具立て
まずタックル、竿の選択です。釣具店やネット検索で探してみても、スルメイカ専用や夜イカ用といった竿は少なく、ダイワのAブリッツ夜イカくらいで、あとはスルメイカ電動直結用ですね。これは夜スルメイカ釣りには様々な釣り方があって、各種の竿を流用できるということでもあります。
夜スルメイカの竿釣りの基本的な釣り方を大別すると、シャクリ釣りと電動巻き上げになります。東北の釣り人に馴染み深いカレイ釣りに例えれば、コヅキ釣りと置き竿といった感じでしょうか。
まず、シャクリ中心の釣りには2m前後のヤリイカ竿がマッチします。ヤリイカ竿なんて持っていないという方も、夜スルメで使うオモリは100号前後なので、ムギイカや深場対応のマルイカ竿に、80号負荷程度の7:3、8:2調子のライトゲームロッド、120号負荷程度のビシアジ竿なども良いでしょう。
電動巻き上げ釣法には、胴にかかる若干長めの竿が良くなります。イカ電動乗り調子といった竿や、80号が背負えるヒラメ竿、ドッカン、オキメバルなどに使っている2.4~3mの竿も使えます。オモリ負けするくらいが良く、これが多点掛けに適するのです。
所有しているなかに使える竿があることに気付いた方も多いでしょう。
そしてリールは、中~小型電動リールがオススメ。日中釣りに比べてツノ数が少ない仕掛けがメインになるので、シマノの1000番クラス、ダイワ、アルファタックルの300番程度のサイズが良いでしょう。
慣れて来て10本以上のツノ数を扱いたいときにはシマノ3000番、ダイワ500番といったサイズが必要になります。深場でツノ数が多い仕掛けを使う日中のイカ釣りでは、このサイズがマッチします。イカは噴射などの抵抗で負荷が大きいので、リールにはパワーが必要です。これを目安に選んでみてください。道糸はPE3~5号を巻いておきましょう。
仕掛けはオッパイバリ(手釣り用DXイワシ)、プラヅノ、布巻きスッテといったツノを、ブランコ、直ブラ、直結の結束方法で作られたものを使います。これの使い分け、釣り方の選択が釣果を左右することになります。
ブランコと呼ばれるのは、幹糸にハリス10cm程度でツノを結んだ仕掛けです。イカ仕掛けの基本になるもので、シャクリ、落とし込みでツノが効果的に泳ぎます。ハリスがクッションになって、取り込みのバラシも少ないです。
しかしサバに飲まれやすく、ハリスの絡みも出てきます。サバ対策として、プラヅノなら18cmにして、飲まれても外しやすいシングルカンナ(1段のハリ)にするといった策を取ります。
オッパイバリ、布巻きスッテは多少飲まれにくいのですが、飲まれた際は多くがダブルカンナ(2段バリ)仕様なので、外すのに手間取ります。ヤリイカであれば、ほぼブランコ一択ですが、スルメイカの場合、結束方法を変えることでサバ対策、誘い、多点掛けに効果的になります。それが直結、直ブラといった仕掛けです。
直ブラは幹糸に対して横方向にツノを直接、又は1cmくらいの短ハリスで結んだ仕掛けです。これのメリットはハリスの絡みが少なく、誘いの動作がシャープに伝わり、感度が向上します。しかし反対に不自然な動きも出やすく、取り込みのバラシも増えてきます。
布巻きスッテ、オッパイバリで直ブラなら、ツノの浮力、抵抗で横方向に安定しやすいので、タダ巻き、シャクリともに効果的に誘えます。東北仕様、北のイカといったコメントが付けられている仕掛けは、布巻きスッテの直ブラが多く、この仕様の高い実績があります。まずこれは必携です。
直ブラでもサバの妨害は避けられません。そこで直結タイプの仕掛けです。直結はツノを幹糸に縦に繋いだ仕掛けで、日中のスルメイカ釣りでは多く使われています。
直結のメリットは、落とし込みでイカに止められないので、タナに全層通せて多点掛けが狙えます。サバに飲まれにくく、縦の仕掛けなので要領を掴むと扱いやすく、ツノ数を多くできます。
直結はシャクリでツノを横方向にすることが必須で、そのために中オモリが必要になります。かつては乾電池を使った水中ライトが主流だったので、これが中オモリの役割をしましたが、現在はリチウム電池で軽いものが主に使われています。10~20号くらいの中オモリと組み合わせましょう。
ブランコ、直ブラと違って、落とし込みでイカが受けないので、落としているときの触りを取ると効果的です。これがわかるようになると、そこから即シャクリでイカを乗せられます。
直結は緩めると即バレます。取り込みで緩めないことが肝心。ハリスの絡みが無いので躊躇せずにツノを船内に入れていきましょう。
タックル、仕掛けについて長くなりましたが、基本的な釣り方、取り込みを説明します。
キーパーからトモ側にイカマットをセットします。夜イカはアンカリングの釣りなので投入器の必要はありません。水中ランプのカラーは白、青、緑が良いでしょう。
タックルをセットして、水中ランプを船内に入れた位置から、ツノをマットに浅く刺して順番に並べます。この位置でリールをゼロセットしておきましょう。
投入はオモリから水中に入れて、ツノを順番に一本ずつマットから外して送り入れます。水中ランプを入れてからクラッチオフします。
シャクリの要領は、竿先を下げた位置で糸フケを取り、スーッと目線まで上げて止めます。竿先の変化を確かめて水面まで降ろします。そこからリールをハンドル一回転してシャクリ上げる。例えればジギングのワンピッチジャークの感じですね。
電動巻き上げで誘うときは、まず低速から。30段変速なら5~10くらいで、置き竿にして一定速でタナを通して探ります。
はじめはイカが底から浮かないことが多いので、底から20mくらいの範囲を探ってみます。指示ダナが出されたら、そこから上下10m程度の範囲を探ります。何回か往復させて乗りが無いときは、一旦水面まで巻き上げて落とし直します。一旦見切られた仕掛けをイカの視界から消して入れ直す、マメな入れ替えが重要なのです。
竿が止められ、竿先がグングンと動くのがイカの乗りです。そのままゆっくり巻き上げ、追い乗りを狙います。乗せたタナは記憶しておきましょう。
リールを中速程度で巻き上げ、残り10mあたりでキーパーにセット。たるませないように船べり停止からゼロセットまで巻いて、竿を立てて水中ランプを掴んで船内に入れます。これで水中ランプの重みで道糸が張って安定します。投入時のゼロセットを目安にすれば、適切な取り込み位置が掴めるのです。
手を滑らせないように一番上のツノをつかみ、イカが乗っていたらハリを上に向けるようにしてイカを外して、ツノをマットに順番に置いていきます。幹糸を滑らせながら手を広げて次のツノをつかみ、イカを外してマットに置くという動作を繰り返してオモリまで回収します。ツノを指に挟むように重ねて取り込む方法を取る方も多いですね。ハリを刺さないように気をつけて、自分のやりやすい方でどうぞ。
あの目玉と10本足のヤツがターゲットですから、この釣りは奥深く面白いのです。さらに詳しい攻略方法は次回に説明します。もう夜イカは終わるじゃないかって?まだまだ晩秋のヤリイカに続くまで楽しめるのですよ!
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※取材テキスト・写真提供/針生秀一