釣行記

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三陸スルメイカシーズン到来!ムギイカ好釣中

針生 秀一 2023年6月25日 更新

三陸周辺でムギイカと呼ばれる小型のスルメイカが釣れ始めた。これからスルメイカはぐんぐんサイズアップ!本格シーズンに向けて針生秀一さんに夜イカの基本テクニックをレクチャーしてもらった。
※2020年7月掲載

今年も開幕から好調の吉浜の夜イカ

大船渡市(三陸町)の吉浜湾と越喜来湾

イカ漁の漁火は三陸の夏の風物詩

夏となれば夜釣りのシーズン。宮城、岩手ではハモの地方名で呼ばれるアナゴとイカが馴染みの釣り物。

夏イカといえばスルメイカで、近年は釣り、漁ともに(資源量の)谷間で、最もポピュラーなスルメイカが高値になっています。まぁスルメイカは一年の寿命ですから、こんな好不漁のアップダウンはありますね。

それでも北と南からの回遊がある三陸沿岸では、オカッパリから船釣りまでイカ釣りの人気は衰えず、楽しみにしている釣り人は多いです。近年でも三陸の夜スルメ船では三桁の釣果が出たこともあります。イカジギング、イカメタルに取り組む人も増えていて、イカサビキ組とミヨシ、トモ側に分かれて同船可能な船は多いですよ。そんなスルメイカの釣り方をガイドしてみます。

三桁の釣果が出るのが夜スルメイカなのです
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ムギイカシーズンの基本タックル

まずタックル。開幕初期の越喜来、吉浜ではムギイカと呼ばれる胴長20cm前後のサイズがターゲットで、オモリは40~60号程度です。

これには1.8mくらいの東北カレイ竿やライトゲームロッドが使えます。リールも小型両軸、電動でPE2号を200m巻けるサイズ。手持ちのカレイタックルでオーケーですよ。

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三陸ムギイカ釣りのプラヅノ使い分け

仕掛けは初期のムギイカならプラヅノ11cm 5本ヅノのブランコ仕掛けが標準です。ブランコと呼ばれるのは幹糸からハリスでツノが繋がれる仕掛けで、プラヅノを使った仕掛けの基本形です。水深、タナが浅いのでツノ数を増やさなくても大丈夫。慣れるまでは3本ヅノ仕掛でやってみるのも良いですよ。

イカヅノにはカンナと呼ばれる傘針が組み入れられています。シングルとダブル、一段二段があります。ダブルカンナはバラシを減らすためで、この重みでツノとの相性、バランスに変化が出てきます。三陸の夜イカで人気のサカナバリでは、このダブルカンナによってフォールが絶妙なバランスになるともいわれます。このような扁平タイプのツノはダブルカンナで良くなる傾向が見られます。

夜イカでは水中ライトの反射を拾う扁平タイプのプラヅノが効果的といわれ、実際にこのタイプがアタリヅノになる場合は多いです。しかし明るい月夜の晩などでは乗り渋りが多く、こんな夜には棒ヅノと呼ばれる細軸タイプでシングルカンナ、一段針にするとイカを拾うように乗せられることもあります。

イカがスレて乗り渋りのときも、シングルに替えることで乗りが向上してくることがあります。スルメイカは身が硬めで脚も太いので、ヤリイカに比べてバラシが少ないです。オマツリしたときにダブルカンナは解きにくいので、日中のイカ船ではNGにする船もあります。サバに呑まれたときもダブルカンナは外しにくいです。こんなことからシングル、ダブルのプラヅノを使い分けてみましょう。

7月あたりは胴長20cmクラスのムギイカと呼ばれるサイズが主体、これにはプラヅノ11cmが効きます

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8月以降のスルメイカシーズン

8月あたりからは胴長30cmクラスのスルメイカが乗ってくるようになります。こうなれば釣り場も沖合でオモリも80~120号。使う竿は2m前後で7対3調子くらい、80号負荷程度が標準。ゲームロッドやビシアジ、ヤリイカというタイプが使えます。夜スルメイカという専用竿は少なく、確かダイワでリリースしていたくらいでしょうか?

リールはPE3~4号を300mくらい巻けるサイズの電動リール。スルメイカ多点掛けしたとこの負荷は大きいので、パワーのあるタイプを使いましょう。

仕掛けは布巻スッテやオッパイバリと呼ばれるタイプの直ブラ5~8本ヅノが多く使われています。プラヅノなら14~18cmがマッチします。布巻や柔らかいオッパイバリはイカが離さず深く抱いてくる。プラヅノの18cmはサバに呑まれにくいなどのメリットで使い分けられています。 

直ブラとは幹糸に横方向に直にツノを繋いだ仕掛です。夜スルメでの布巻スッテやオッパイバリに多く使われます。ブランコよりも直ブラは誘いの伝わりが良く、夜イカで多く行われる電動定速巻きという釣り方にも直ブラは良いのです。

直結と呼ばれるのは、ツノを縦に幹糸で連結していく仕掛です。このメリットはサバの妨害が避けられて、取り込みに慣れてくればツノ数を多くできます。オッパイバリは手釣り用DXイワシという名称のツノで、元々イカ漁で使われていて、直結のためにカンナバリにループが付いています。直結仕掛も自作しやすいです。ブランコ、直ブラと比べてハリスを介さず遊びの無い仕様なので、慣れないと取り込み時のバラシが多くなります。誘いとしても電動シャクリなどのアクティブな操作がメインです。日中のスルメイカ釣りではプラヅノの直結が多く使われます。

どんなタイプの仕掛けを使うかは、自分の経験を踏まえて船長に相談しましょう。オモリ号数やタナ、乗りの傾向などを教えてくれますよ。

胴長30cmクラスのスルメイカ主体になってくれば布巻スッテ直ブラの仕掛けが多く使われます
プラヅノに乗りが良い夜もあり、14~18cmのプラヅノ仕掛も用意しておきましょう。

夜スルメイカの基本テクニック

夜スルメイカの手順を説明します。まず釣り座のセットです。キーパーをセットして、その船尾側にイカマットをキーパーで挟んで固定します。80cmくらいの絨毯の切れ端でも良いですよ。

ミチイトに水中ライトを繋ぎます。通常のスナップで繋げないタイプもあるので専用の水中ライトスナップが良いです。水中ライトのカラーは白、青、緑でレインボー変色も良いでしょう。赤発光はアナゴ、タチウオに効果ありですがイカは嫌うといわれ、単色の赤はオススメしません。

仕掛けを水中ライトに繋いで、マットにツノを軽く刺して並べていきます。最後にオモリを付けて完了です。

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集魚灯に集まったイカを効率よく狙う

ポイントに到着して集魚灯が点いて開始です。ヤリイカは夕暮れのマズメ時から乗ってくることが多いのですが、スルメイカは暗くなって集魚灯の効果で周りに小魚などが集まってくるようになってから乗り始める場合が多いです。ポイントの水深は100mくらいが多く、開始時でイカが浮かないうちは底まで落としてイカを誘ってみましょう。シャクリからの落とし込みと電動巻き上げです。

イカの反応が出てくると、船長から指示ダナをアナウンスされます。電動全層巻き上げで乗せた人からタナを告げられる場合もあり、ここからが夜イカ釣りの本番です。

告げられたタナから下には落とさない事が大事です。浮いてきたイカが仕掛を追って沈んでいくと効率が悪くなります。より浅いタナで乗せられれば、巻き上げ、取り込みの効率が上がって数を伸ばせます。

反応は50mより上に集中。崎浜港「荒神丸」は探見丸親機搭載なのでこんな反応を見てタナを定められます

投入中の着乗りも多いスルメイカ

投入して落とし込みのときに、ミチイトに出る触りに注意しましょう。イカがツノを抱いて降下が止められることもあります。

止められるときはオモリ側のツノから乗ってくることも多く、急いで巻かずにミチイトを送り出してみましょう。水中ライトが中オモリの役割をして上側の空いたツノをタナに沈めるという狙いです。潮の状態から送り出す長さと時間を加減します。これで電動スイッチオン。糸フケを巻き取って重さを感じたら低速で10mくらい巻き、徐々に巻き速度を速めていきます。

スルメイカは投入からタナで止められる着乗りが多いので、こんなやり方を覚えておくと効率よく多点掛けができます。

タナを探りながら、追い乗りを誘う

キーパーに置いた状態で、タナを定速で巻き上げて誘い通してくる釣り方も夜スルメ定番釣法のひとつです。

乗りダナを探るときにも使われます。例えばタナが50mというとき。50mまで落として止め、リールの巻き速度を2くらいの超低速から始めて15m程度の範囲を誘い上げてみます。

反応が無ければ再度タナまで落として徐々に速度を上げてみます。竿先、ミチイトの変化に注意。イカが乗って泳ぎ上がると糸フケが出ます。それで速度を上げて巻き上げに入ります。急に速めず、15mくらいは10以下の低速で巻き上げていきましょう。乗ったツノの位置によっては、さらなる追い乗りが期待できます。

追い乗りさせて取り込みましょう

シャクリ上げのテクニック

イカ釣りの基本はシャクリからの落とし込みです。やり方は、まずタナで止めて糸フケを巻き取り、竿先を目線の上までシャクリ上げます。ここで一旦静止して竿先の変化を見ます。

着乗りが多いスルメイカ、ここでドシンとくることもあります。竿先にピクピクとアタリが出る場合は、上げた位置でツノを抱いてきたというよりも落とし込みに反応した場合が多く、ここで振り下ろさずに手巻き、または電動スイッチオン。乗りの重みを感じるまで巻き上げましょう。

こんな着乗りが無ければ、シャクリ上げ一旦停止、それで振り下ろして1mくらい巻いてシャクリ上げという操作。電動リールを中速くらいで巻き上げながらシャクリを繰り返す電動シャクリも効果的です。

電動定速巻きには7対3から6対4くらいで胴にかかるくらいの竿がマッチします。シャクリには胴がしっかりして竿先が柔軟な先調子が良いでしょう。

マットを使った取り込み手順

取り込みの手順は、まず水中ライトが見える位置まで巻いたら、キーパーに置いて竿先を上げてミチイトを掴み水中ライトを船内に入れます。この重みでミチイトが張るのでトラブルが減ります。一手ごと手繰ってツノをマットの上に置いていきます。

イカが乗っていたらカンナバリを上に向けてイカを足元に落とします。外れないときは、そのまま船縁、座席に置いて次のツノに進みましょう。順番に進めてオモリまで入れたら、イカを外して最初の投入の要領で落とし込んでいきます。スルメイカは触腕が長く身質も硬めなので多少緩めても外れにくいです。焦らず順番に取り込んでいきましょう。

私は、このようにマットを使う方法で取り込んでいますが、ツノを指の間に挟んでいく取り込みをする方が多いです。ベテラン風の練度を感じますね。でも落とし込みでカンナバリを手に刺してしまうと痛いです。そしてこのやり方だと取り込み時に片手が自由にならないので、私はマット専門なのです。日中のイカ釣りでは回収から投入器に入れ直す必要があるので、マットを使う取り込みを覚えておくと役立ちますよ。

ベテランさんはツノを指の間に挟む取り込み方が主流。順番に手繰って取り込みます

今季のムギイカ船は好調に開幕

今年も喜福丸(吉浜根白港)のムギイカ釣りに上州屋新盛岡店の富澤さんたちと行ってきました。乗り好調で9cmプラヅノの新製品を使った富澤さんが64杯、イカメタルの上州屋北上店若月さんも48杯を取り込みました。これから胴長30cmクラスのスルメイカの本格シーズンです。夏の夜はスルメイカで楽しみましょう!

吉浜でムギイカを好調に取り込む上州屋新盛岡店の富澤さん
好調に乗せていた吉田さん、このサイズは身が柔らかく食味は抜群
吉浜湾の夜イカは根白港「喜福丸」吉田友成船長が案内してくれます

越喜来湾は崎浜港「荒神丸」江刺茂也船長にお任せ

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PROFILE:針生 秀一

船釣りを中心に、防波堤や河川の小物釣りなど、なんでもこなすオールラウンダー釣り師。全国各地の釣りと釣り具の知識が豊富で、釣りの生き字引的存在。つりえさマリンスタッフ。シマノフィールドモニター

※取材・テキスト/針生秀一

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