釣行記

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[連載]常笑upcoming fishing!☆第14回 中深場の横綱オニカサゴ

針生 秀一 2023年12月7日 更新

連載:針生秀一さん 第14回 中深場の横綱オニカサゴ
※この記事は2014年6月にプレミアムメルマガで配信したものです。

近年、オニカサゴ、アカムツ、アラなどの中深場の根魚釣りが、東北でも注目されてきています。食味の良さはもちろん、独特の釣り味が釣り人を魅了します。これらのターゲットは冬場が旬と認識されていますが、東北地方では、これから晩秋にかけて釣り易く、出船回数も多くなる好シーズンなのです。そんなこだわり系の根魚釣り。今回は片天秤仕掛けを使うオニカサゴ釣りをガイドします。

釣り場は秋田男鹿半島周辺から能代沖、青森深浦、竜飛から津軽海峡、山形酒田飛島から秋田象潟沖など、東北の日本海側全域に点在します。未開のポイントもあり、これからさらなる開拓に期待できるでしょう。

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こだわり系中深場根魚釣りの代表格オニカサゴ。食味の良さに、奥深く味わいのある釣趣が魅力です

ポイントが点在する東北のオニカサゴ

私が初めて東北でオニカサゴを釣ったのは青森津軽海峡三厩沖。2004年に探見丸をリリースしたとき、青森「そふえ釣具」さんから紹介された「曙丸」でした。

そのときはカサゴ釣りと言われたので、通常のカサゴ(これも宮城ではレアな根魚ですね)だと思っていたのですが、どうも指示された仕掛け、タックルがゴツイ。現地に着いてから同船する釣り人、船長と話してオニカサゴとわかりました。オニなら以前に伊豆、相模湾で釣ったことがあったので、それを思い返して1kg前後のオニカサゴを8尾釣ることができて、青森でオニがこんなに釣れるのかと驚いたのです。それから秋田能代沖など各地でオニカサゴを釣り、東北にもポイントが多くあり、魚影の濃さを実感しました。

秋田県能代港「日和丸」で名ポイントの焼山沖を釣る。世界遺産登録、白神山地の沖合です
これも日和丸にて。信太船長が好ポイントに導いてくれます。魚影濃くよく釣れますよ!

東北でのオニカサゴ釣りのタックルは、オモリ150~200号という釣り場が多いので、ビシアジ、ヤリイカ竿などが流用できます。このオモリを背負えるゲームロッド、泳がせ竿もOK。オキメバル釣りが盛んな地域なので、そのタックルが流用されてもいますが、底での誘いがしやすく、アタリが取れる先調子の2m前後がベストです。

リールはPE4~6号の道糸を300mくらい巻けるサイズ。水深80~150mくらいなので手巻きも可能ですが、電動が使いやすいです。シマノ800~3000番、ダイワ270~500番クラスがマッチします。これからよりライトに進んでいくことも予想されます。青森津軽では、メタルジグにエサを組み合わせたジグエサというライトなオニカサゴ釣りも盛んですね。

タックルは全長2m前後で先調子。リールはPE4~6号を300m巻きくらいの電動がオススメ

仕掛けは片天秤の2~3本バリで、使う天秤は腕長50cmくらいで丈夫な弓形がオススメ。ビシアジ、マダイなどに使っている細く弾性のあるタイプだと、絡みなどのトラブルが増えます。

幹糸8号ハリス6号、ハリはムツ16~18号でハリス長は30~40cm、全長2mくらいという仕様が標準。3本バリならカレイに同じく天秤の近くに、または天秤に直接、スナップ親子サルカンなどで1本目を結ぶのが効果的。誘いの伝わりが良く、アピールが効きますよ。夜光ビーズ、タコベイト、水中ライトなど、集魚アイテムはお好みでどうぞ。本命にも効果アリですが、サメなど困ったゲストを寄せてしまう場合もあり、抵抗でオマツリの原因となることも。状況を判断して使い分けましょう。

エサはサンマ、サバ、イカタン、カツオのハラスなどの切り身系に、ホタルイカ、ヒイカ、冷凍イワシ。ほかに外道に強く丈夫で持ちのよいアナゴ、サケ皮に、特エサともいわれるイイダコなど。いろいろ試してみるのも楽しみのひとつです。

切り身は幅1~2cm、長さ10~15cmくらい。オキメバルなどと違い、身を薄く、形が均一のタンザクに切るよりも、大きく長めに、厚み不均等な多少雑なカットが良いです。ヒラヒラとイレギュラーに漂ってアピールが効きます。片天秤仕掛けなので、これでもエダスの絡みは少ないです。切り身の中心、先端にチョン掛けしましょう。ホタルイカと切り身の抱き合わせも良いですよ。

エサは切り身を基本にイイダコ、ヒイカなど
切り身エサは、むしろいびつにカットするのが良策。ホタルイカ、ヒイカなどとの抱き合わせも効果的だ。タコベイトなどのアピールグッズはお好みでどうぞ

釣り場は根の周りの砂地、泥底が主体です。オニカサゴは根の近くの平坦な場所で、小岩などに模してベイトを待ち受けていることが多い。ゆえに比較的根掛かりは少ないです。投入して底を取ったら、オモリを1mくらい底から上げてエサを海底に漂わせ、スローに上下して仕掛けを動かして誘います。ここから上で止めてサミングを入れて落とし込み。この繰り返しが基本のパターンです。自分の仕掛けの長さを憶えて、エサの位置を想定して、底をトレースして歩かせるように誘い探っていきます。

重いオモリで終始手持ちは負担が大きく、誘いすぎも良くはないので、たまに置き竿にします。オニカサゴは動くエサに飛びつくように捕食します。大きな動きに食いつけないこともあるので、食わせる間を取る置き竿も良いのです。エサを底に置くのが基本ですが、まったくのベタ底より、船の上下で元バリが持ち上がるくらいに設定しましょう。適度にエサを動かすことが大切なのです。

ミズガレイ(ムシガレイ)、ソイ類など美味なゲスト多く、おみやげ確実です
コアラサイズから10kg級まで、アラも交じります

オニカサゴはトゲに注意!

アタリはコツンと小さいが明確です。先バリのアタリは取りにくいので、たまに大きく聞き上げます。これが誘いにもなります。重みがかかってゴゴン!と強い引き込みになれば本命オニカサゴです。アワセはスーッと竿を立ててリールを手巻きという操作。口に入ったハリを深く追い掛けするイメージです。強いアワセは必要ないですよ。

オニカサゴは水圧変化に強く、引き込みは強力にガクガクときます。電動巻きは中速で、30段変速なら15前後。大きな負荷がきたときにドラグが滑るくらいにセットしましょう。水面でのバラシもあるので、タモ取りするのが賢明です。外れると一気に泳いで海底に戻っていきます。

ヒレなどのトゲに充分注意してハリを外しましょう。もし刺されてしまったら、局部にお湯をかけると症状が多少和らぎますが、ひどいと病院通いになります。フイッシュグリップにハリ外しのプライヤーは必須アイテムです。

このオニカサゴ、なんといっても食味が抜群。しゃぶしゃぶ、焼き、煮付け、鍋ネタ、そして胃袋のあぶり焼き、キモの湯引きにヒレを干してのヒレ酒など、すべて絶品、極上です。これを味わいたいために釣りにいくというのも納得するでしょう。決して難しい釣りではなく、カレイ釣りの拡大延長、深場版という感覚でやれます。ぜひトライしてみてください!

アカムツもきます。これを専門に狙う釣り方は、また次回にガイドします

※取材テキスト・写真提供/針生秀一
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