釣行記

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追波川に桜咲く!板マス級の63cm[東北の巨匠と北上川水系のサクラマス]

編集部 2021年6月24日 更新

追波川でオライノルアービルダーの村岡博之さんが63cmのサクラマスを釣り上げた。釣れる雰囲気など皆無の日中に、カメラの前で体高のある板マス級を上げるなど、常人にはちょっと考えられません。これが匠の成せる業なのか…。

巨匠は取材開始後 、約15分で仕事を終えた

2012年4月17日の午前10時半、追波川の飯野川橋下流側に到着すると、オライノの村岡博之さんとSearchの戸澤さんがロッドを振っていた。といっても、早朝のラッシュが終わり、周りを見渡してもアングラーはポツポツという状況。

「次に釣れるのは夕方だな」などと話していると、おもむろに巨匠がアワセを入れてヒット!「掛かってるよ!」の呼びかけで、戸澤さんがすぐに駆け付ける。慣れたやりとりで手前に寄せ、きらめいた魚体に、「あれ?銀(ギンザケ)か?」。今シーズンは震災で養殖棚から逃げたギンザケが追波川でも相当数上がっており、体高のある肥えた魚をギンザケかもしれないと思ったわけだが、ネットに収まったのは紛れもないサクラマス。63cm、3.55kgの好サイズだった。

ここで時計を見ると10時50分、取材を始めてわずか15~20分でミッションコンプリート。長年、「30分で結果を出す(出なかったら集中力が切れてお終い)」と公言してきた村岡さんだが、サクラマスでもその通りの結果になった。

釣り場は飯野川橋下周辺。朝方にプチラッシュがあったそうだが、太陽もすっかり昇り、望みは薄そうな状況
ここでは護岸と並行に通称「根」と呼ばれる構造物が通っていて、ほとんどがその付近での実績
オライノ・フィールド手下(テスターのこと)の戸澤直彦さんも村岡さんのすぐ隣でキャストを繰り返していた
 
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直感でルアーチェンジ、そしてヒット

ストラクチャーの手前でアワセが決まって「ドンッ!」

この日、村岡さんはピュア・フィッシング・ジャパンの素材撮影で、9時半過ぎから釣り場に入っていた。7時頃には朝のラッシュがあり、周りのアングラーに何本かヒットしていたそうだが、村岡さんが釣りを始めた頃にはすでに終息。

ここのポイントでは護岸のちょっと先に、岸と並行にストラクチャーが入っており、夜、追波川に入ったサクラマスがそこを通って上流へと向かう。そのため遠投は必要無く、狙うのは手前から10mくらいの範囲。飛びすぎたときはサミングでコントロールする。時間的には夜明けから数時間の朝と、日没前の夕方にヒットが集中し、そのラッシュを過ぎてしまうとヒット率はぐっと下がる。

この日はゆったりと撮影を行うため、あえてラッシュ時を避けたそうで、雑談しながら竿を振る、のんびりとした雰囲気だった。少し流れが強い状況下、フローティングタイプのミッドダイバー彗星90型を投げ続けていたそうだ。

ヒットルアーはシンキングの流星。「途中でフローティングは何か違うような気がしたんですよね。リーリングで手首にかかる、リップが振動する感覚にちょっとした違和感があって。それでフローティングの彗星からシンキングの流星にチェンジしました」。で、流星に交換してからしばらくしてこの魚がヒット。ストラクチャーの手前側に差し掛かったところでルアーが止まり、おもむろにアワセを入れると、しばらく止まってから「ドンッ」と重みがかかったそうだ。

戸澤さんのナイスサポートもあって見事にランディングが決まった。ガッツポーズも自然と出ます
50のネットが小さく見える63cm、3.55kg!
この体高!村岡さんでもこのクラスを手にするのは4、5年ぶり。ヒットルアーはシンキングのオライノ流星90型

オライノのルアーだから釣れた!?

村岡さんと戸澤さんはこの数日前にもフローティングミノーの彗星でサクラマスを釣っているのだが、ミノーで釣れるようになったのは4月に入ってからのこと。2月から3月一杯までは流芯寄りのボトム中心の釣果だったため、スプーンが圧倒的だったそうだ。

それが、4月に入る頃から、魚が手前寄りのポイントを通るようになると状況は一転。増水し、流れが強くなっても確実に潜行し、しっかり泳ぎきるバルサ材のミノーが威力を発揮するようになったそうだ。オライノでは「誰でも釣れるルアーを目指している」とのことなので、状況に合わせて使えば、ニュータイプ的な勘がはたらかない一般アングラーにもサクラマスが釣れるはずだ。

日中いったん釣り人がまばらになったが、夕方になるとマヅメ狙いの人が現れ始めた。巨匠が63を釣ったとの情報を聞きつけて同じポイントに来た人も多く、たまたま通りがかった石巻シーバスフリーク会長の佐藤雄一さんは、「やっぱりオライノのルアーは釣れますね」、「オライノの妖艶な動きがサクラマスには効くんですよね」とオライノルアーを絶賛(!?)するような発言を連発して行った。以上、仙台管区で桜の開花が宣言される前日の出来事でした。

ロッドはアブ・ガルシアの新製品、トラウティンマーキスボロン・桜鱒。全4モデルのラインナップのうち、村岡さんはミノー用に特化したTMBS-832M を使用。スプーンも使いたいという人には、TMBS-862Mマルチプレイヤーもオススメ
村岡さんは自身のハンドメイドブランド・オライノルアーのみ使用する。上から彗星90型深、彗星90型、流星90型、震電65型。いずれもバルサにこだわっており、複雑な流れの中でもしっかり泳ぎきるのが特長。フローティングミノーの彗星は攻める深度によって2タイプを使い分け。63cmのヒットルアーの流星はシンキング。バイブレーションの震電はマスの活性がさらに上がり、広範囲で釣れるようになるこれからの季節に威力を発揮する
ウェーダーは村岡さんがフィールドアドバイザーを務めるリアスのSW WBFウェイダーFS-0200。動きやすさにこだわった透湿モデル。WBFウェーディングジャケット(リアス)とセットで使用
夕マヅメは新たなサクラマスの群れが溯ってくることの多い好機。午後になると一人また一人とアングラーが集まってくる
午後の追波
PROFILE:村岡 博之

石巻を拠点に活動するベテランルアーマン。自称東北の巨匠。シーバスをメインにサクラマスやロック、フラットなど幅広く嗜む。ハンドメイドルアーファクトリーOrynO(オライノ)代表。ピュア・フィッシング・ジャパン、ジャクソン、エクリプスフィールドテスター、リアスアドバイザー他。→ブログ

 

※解説/村岡博之
※取材協力/ピュア・フィッシング・ジャパン、戸澤直彦

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