追波川に桜咲く!板マス級の63cm[東北の巨匠と北上川水系のサクラマス]
追波川でオライノルアービルダーの村岡博之さんが63cmのサクラマスを釣り上げた。釣れる雰囲気など皆無の日中に、カメラの前で体高のある板マス級を上げるなど、常人にはちょっと考えられません。これが匠の成せる業なのか…。
[関連動画] 追波川サクラマス 板マスゲット(YouTube)
巨匠は取材開始後 、約15分で仕事を終えた
2012年4月17日の午前10時半、追波川の飯野川橋下流側に到着すると、オライノの村岡博之さんとSearchの戸澤さんがロッドを振っていた。といっても、早朝のラッシュが終わり、周りを見渡してもアングラーはポツポツという状況。
「次に釣れるのは夕方だな」などと話していると、おもむろに巨匠がアワセを入れてヒット!「掛かってるよ!」の呼びかけで、戸澤さんがすぐに駆け付ける。慣れたやりとりで手前に寄せ、きらめいた魚体に、「あれ?銀(ギンザケ)か?」。今シーズンは震災で養殖棚から逃げたギンザケが追波川でも相当数上がっており、体高のある肥えた魚をギンザケかもしれないと思ったわけだが、ネットに収まったのは紛れもないサクラマス。63cm、3.55kgの好サイズだった。
ここで時計を見ると10時50分、取材を始めてわずか15~20分でミッションコンプリート。長年、「30分で結果を出す(出なかったら集中力が切れてお終い)」と公言してきた村岡さんだが、サクラマスでもその通りの結果になった。
直感でルアーチェンジ、そしてヒット
この日、村岡さんはピュア・フィッシング・ジャパンの素材撮影で、9時半過ぎから釣り場に入っていた。7時頃には朝のラッシュがあり、周りのアングラーに何本かヒットしていたそうだが、村岡さんが釣りを始めた頃にはすでに終息。
ここのポイントでは護岸のちょっと先に、岸と並行にストラクチャーが入っており、夜、追波川に入ったサクラマスがそこを通って上流へと向かう。そのため遠投は必要無く、狙うのは手前から10mくらいの範囲。飛びすぎたときはサミングでコントロールする。時間的には夜明けから数時間の朝と、日没前の夕方にヒットが集中し、そのラッシュを過ぎてしまうとヒット率はぐっと下がる。
この日はゆったりと撮影を行うため、あえてラッシュ時を避けたそうで、雑談しながら竿を振る、のんびりとした雰囲気だった。少し流れが強い状況下、フローティングタイプのミッドダイバー彗星90型を投げ続けていたそうだ。
ヒットルアーはシンキングの流星。「途中でフローティングは何か違うような気がしたんですよね。リーリングで手首にかかる、リップが振動する感覚にちょっとした違和感があって。それでフローティングの彗星からシンキングの流星にチェンジしました」。で、流星に交換してからしばらくしてこの魚がヒット。ストラクチャーの手前側に差し掛かったところでルアーが止まり、おもむろにアワセを入れると、しばらく止まってから「ドンッ」と重みがかかったそうだ。
オライノのルアーだから釣れた!?
村岡さんと戸澤さんはこの数日前にもフローティングミノーの彗星でサクラマスを釣っているのだが、ミノーで釣れるようになったのは4月に入ってからのこと。2月から3月一杯までは流芯寄りのボトム中心の釣果だったため、スプーンが圧倒的だったそうだ。
それが、4月に入る頃から、魚が手前寄りのポイントを通るようになると状況は一転。増水し、流れが強くなっても確実に潜行し、しっかり泳ぎきるバルサ材のミノーが威力を発揮するようになったそうだ。オライノでは「誰でも釣れるルアーを目指している」とのことなので、状況に合わせて使えば、ニュータイプ的な勘がはたらかない一般アングラーにもサクラマスが釣れるはずだ。
日中いったん釣り人がまばらになったが、夕方になるとマヅメ狙いの人が現れ始めた。巨匠が63を釣ったとの情報を聞きつけて同じポイントに来た人も多く、たまたま通りがかった石巻シーバスフリーク会長の佐藤雄一さんは、「やっぱりオライノのルアーは釣れますね」、「オライノの妖艶な動きがサクラマスには効くんですよね」とオライノルアーを絶賛(!?)するような発言を連発して行った。以上、仙台管区で桜の開花が宣言される前日の出来事でした。
石巻を拠点に活動するベテランルアーマン。自称東北の巨匠。シーバスをメインにサクラマスやロック、フラットなど幅広く嗜む。ハンドメイドルアーファクトリーOrynO(オライノ)代表。ピュア・フィッシング・ジャパン、ジャクソン、エクリプスフィールドテスター、リアスアドバイザー他。→ブログ
※解説/村岡博之
※取材協力/ピュア・フィッシング・ジャパン、戸澤直彦
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