ウキフカセ釣りにおける仕掛け選択の考え方を解説
ウキフカセ釣りや磯釣りの基本を亥飼真司さんが解説。今回はポイントごとの地形だけでなく、風や潮などの条件によっても異なるウキフカセ釣りの仕掛けの選択について、基本の考え方から実際の例をまじえた仕掛けの選択方法までを教えていただいた。
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よく仕掛けは[現場合わせ]と言いますが、それはどの様な釣り方でも共通する事だと思います。ルアーフィッシングであればサイズやカラー、レンジ、細かいところまでいけば波動の出方など、etc…。エサ釣りでも仕掛けの長さ、ハリスや幹糸、道糸の太さ、ハリのサイズ等々…その時々の状況に合わせた仕掛けをチョイス出来るかで釣果が大きく変わってくる事が多々あります。
よく釣られる方、名手と呼ばれる方ほどよく仕掛けを変えたり、手を加えたりしています。磯釣り、ウキフカセ釣りをされる方も小さなガン玉一つでガラリと釣果が変わったなんて経験があるかと思います。
しかし、ウキフカセ釣りを始めたばかりの方には海の状況を見定めながらハリ、ハリス、ウキ、道糸やらガン玉など仕掛けをゼロから組み立てるのは中々難しいところもあるかと思いますので、基本的な組み立てから1歩踏み込んだところまで解説して行きたいと思います。
状況を把握して付け餌を魚の前に届ける
■まずは情報収集から
釣り場に着いたら出来るだけの情報を集めましょう。波の高さ、風向きと強さ、サラシがあるのであれば、サラシの出た先で泡が右や左に流れて行くのか。偏光グラスをかけて、水中の地形の変化、コマセを撒き流れる方向や速さ、どの様に沈んで行くのかを見ます。エサ取りの多さ、種類、動きも確認しておきます。
■得た情報から仕掛けを組み立てる
ここから、今分かる範囲の情報を元に仕掛けを組み立てていくのですが、難しく考える事はありません。クロダイであれメジナであれ魚の居るタナに針が付いたツケエサが無い事には魚は釣れません。
釣り始める前から魚の活性が…とか、食い込みの良い仕掛けが…とか考えてしまうと、一番重要な「魚の居るタナにツケエサがある、届く」というところ疎かになったりしてしまうので、まずは「魚の居るタナにツケエサがある、届く」というところを一番に考えて仕掛けを組み立てていけば良いと思います。
魚の食いが良い悪いはツケエサが狙うべき魚のタナに入っている事が前提で、釣りをしながら実際の魚の食い方をみて修正していくやり方のほうが失敗しにくいかと思います。
基本となる仕掛けの組み立て方
では、仮におおざっぱですが、魚の居るタナが5m、ポイントは足元で晴天、無風、ベタ凪ぎ、潮の流れも無し(魚を釣るには最低な条件ですがw)、エサはオキアミだったとします。
仕掛けを組み立てるとすれば…ポイント足元の無風、ベタ凪ぎなのでウキも特に大きなサイズは必要無し、潮の流れも無いので、今のところガン玉も必要無しといったところで…ウキ止めを付けてウキ下5m、エサのオキアミが付いた状態で仕掛けが馴染んだらウキがシブシブくらいで浮いていれば良いので、浮力は小さめのサイズも小さめかレギュラー(M)で充分かと思います。
自然状況下ではツケエサがタナに入るのに邪魔をするのはなにも無し、後は人間が道糸を引っ張ったりと余計な事をしなければツケエサは魚の居るタナに入り、タナをキープし、ポイントからズレる事もありません。
おおざっぱですがこれが仕掛けの考え方の基本となり、仮に潮が流れ始め、ツケエサが浮き上がりタナから外れる、タナに届かないとなれば、ハリスにガン玉を打ち、ガン玉の重さがウキの浮力より大きくなればウキは沈んでいくので、ツケエサはタナをキープ出来なくなります。そうしたらウキの浮力を上げ沈まなくする…となっていきます。
ポイントが遠く小さなウキではポイントまで届かないとなれば大きなサイズに変えればウキの自重も増えるので遠投もしやすくなります。
かなりおおざっぱな話でしたが、実際は風があったり潮が流れたりと色々な状況が絡みあっています。ですが、どの様な状況下でも「ツケエサがタナに入る仕掛け」が基本です。
以上、基本的な仕掛けの組み立て方でしたが、自然状況下が加わった実践的?(プラスα?)の仕掛けの組み立てを話して行きたいと思います。
ミチイトと仕掛けとの関係を考慮する
前の話ではハリスや道糸の抵抗は入れていませんでしたが、実際の釣りではハリスや道糸が付いています。そりぁ当たり前だw、と思われると思いますが、竿先からウキまでの間の道糸が仕掛けの馴染みの邪魔をしたり、釣りを難しくしています。釣行を重ねるにつれ、釣りの中で道糸の影響力の大きさに気付いてくると思います。
風や潮の影響で道糸がはらみ(糸フケ)仕掛けが馴染まない、思いのポイントに仕掛けを流せない等々…道糸が付いていなければどんなに釣りやすいか!と言っても、道糸が無ければ釣りは成立しません。道糸と上手にお付き合いする事で釣果へと繋がります。
ラインメーカーさんもそこを考慮しフロートタイプやサスペンド、セミサスペンドタイプなど状況や釣り方に合わせ色んなラインナップを出しています。その中から状況に合ったライン、道糸を選び釣りをする訳ですが、それだけでは対応仕切れません。ではでは、対応仕切れない分はと言うと釣り人自身と仕掛けでカバーしていかなければなりません。
釣り人が出来る事で言えば、キャストしたら道糸が水面につく前に風上、潮上に竿を倒し出来るだけ風上、潮上に道糸を置く、道糸を出す時は風、潮の上へ上へと道糸を払う様に少しずつ出す。竿先は出来るだけ水面に近付けて、水面と竿先の間の道糸が風ではらまない様にする(糸フケを少なくする)。ウキと竿先の間の道糸を風、潮上へと打ち直す(ラインメンディングする。※しかしこの方法は仕掛けの浮き上がりや、潮の流れを釣るとき流れから外れる原因にもなるので注意が必要)
と、この様な感じなるかと思います。上手な方ほど竿先がアッチコッチに向いたり、道糸のフケ具合を調整したりと、風や潮の対策でちょこちょこと手元が落ち着きないのはwこの為です。
では仕掛けでカバーする…と言っても漠然と仕掛けを重くすればカバー出来るのか?と言うとそうではありません。ポイントが遠くなればなるほど道糸にかかる抵抗(風や潮の流れ水の抵抗)は大きくなっていきます。ではどう仕掛けを組み立てるか?となりますが、私的には道糸にかかる抵抗分(邪魔をしている分)を補える(道糸以上の抵抗)事ができる仕掛けを、と考えて仕掛けを組み立てています。
なんのこっちゃ?となると思いますが、仕掛けの重さや体積で道糸が邪魔をする分の抵抗を補ってもらいましょうという考えです。
仮に足元から近いポイントでそよそよと弱い横風が吹いていたとします。道糸のフケ方も少なく潮の流れも緩い…となればツケエサの水中抵抗と小さなガン玉くらいで対応出来るかと思います。
この状態から横風が、さ~っと抜ける感じで少しだけ強くなったとすれば、ガン玉のサイズを上げるか潮受けゴムのような小さな水中抵抗を足して対応する。
今度は、同じ状況でポイントまでの距離が遠くなったとします。重いガン玉を使えばツケエサはタナまで入るかもしれません…が、道糸の長さが増えた分、道糸の糸フケ(抵抗)は大きくなっていくので道糸に引っ張っられ、ポイントからズレてしまうかもしれません。ズレを極力小さくするためには、仕掛けの重さの他にそれに見合った抵抗も必要になってくるのでウキのサイズアップや水中抵抗(体積)を増やすなどの対策が必要になってくるかと思います。このような感じで道糸に負けない仕掛け(抵抗)で対応するというのが私の考えです。
以上の様に自然状況下では風や潮、波など色々なものが絡み合っています。釣り場での立ち位置が1歩違うだけでも仕掛けの馴染み方は変わってきますし、他の人と同じ仕掛け、タックルを使用していても釣り人個々のスタイル(体格であったり竿の捌き方や道糸の払い方、張り具合等々)でも変わってきます。釣れている人とポイントを入れ替わり、同じような仕掛けにしても釣れない時があるのはこの様な小さなズレが関係している事が考えられます。
仕掛け、仕掛けの組み立て方とはその時々の状況に合わせた(ウキの形状、サイズや浮力。ガン玉の重さや数。その他の水中抵抗等々)の【足し引き】で組み立てると思って頂けると分かりやすいかもしれません。
風や波のある時もあれば…
まったりと穏やかな日も。釣り場の状況は色々です。
道糸色々。磯釣りだけでも状況に合わせ色んなタイプの道糸があります。
状況、釣り方に合わせウキも色々。状況が変われば使うウキもかえていきます。
※画像・テキスト/亥飼 真司(VARIVASフィールドスタッフ)