[連載]常笑upcoming fishing!☆第20回 東北のイカ釣りステップアップガイド!
プレミアム連載:針生秀一さん 第20回 東北のイカ釣りステップアップガイド!
※この記事は2014年10月にプレミアムメルマガで配信したものです。
前にスルメイカ釣りの基本編をやったのですが、ステップアップ編を差し置いて、いろいろな釣り物に飛んで行ってしまいました。今回は改めてイカ釣り、それもちょうどピークシーズンのヤリイカ釣りを中心に、スッテップアップ釣法をガイドしてみます。
東北のイカの沖釣りは夜釣りがメインですが、近年は日本海側で日中船のアオリイカのティップランエギングも盛んになってきていますね。早春の津軽に、山形酒田沖のヤリイカなどは日中にも楽しめます。気候がまだ厳しく、出船チャンスが絞られるのがネックではありますが、ファンが多い釣りです。
太平洋側でも日中のスルメイカ船が出ていますが、まだ浸透してきていないようです。今から20年ほど前に大型魚礁沖でカレイ釣りをしていたとき、イカらしい反応だとプラヅノ仕掛けを追加してヤリイカを釣らせてくれたのは東宮浜「やまさ丸」佐藤正勝大船長でした。今年も終盤になってきたヒラメ釣りで、イワシをヤリイカに取られることも。これを釣らないというのは惜しい。そして初夏のシリヤケイカなど、日中船で楽しめるイカ釣りがまだまだあるのです。
茨城エリアでのヤリイカが瞬時に大人気の釣り物となったように、仙台湾から三陸エリアでの日中のイカ釣りも、始めたところから人気が上がると思っています。これからポイントを探索して釣り方を試していく船が出てくると期待しています。
ヤリイカの仕掛けは、日中、夜釣り、浅場、深場でもプラヅノ11cmのブランコ仕掛をメインに使います。幹糸から8~10cmのハリスでツノを結んだ仕掛け、イカサビキと呼ばれています。幹糸5号、ハリス3号というのが標準スペックです。
カラーの目安は薄めのカラーリングの淡色系です。ピンク、ブルーをメインにケイムラ、イエロー、ライトグリーンといったカラーをアクセントに入れます。三陸の夜ヤリでは濃いブルーに乗りが良い傾向があります。特に越喜来湾に行くときは、アクセントに一本濃いブルーを入れてみましょう。同色が重ならないような配列が良いです。
そして2号の布巻き赤帽のスッテやエギをコマセヅノに一本結ぶと効果的。この仕様の仕掛けは各社から出されていて人気ですね。コマセヅノはオモリの近く、オモリから2本目あたりに結ぶと効果が増します。オモリの近くがシャクリで一番動きますから、その下にアクセントになるカラーのツノを1本という組み合わせがベストです。
プラヅノの形状は棒ヅノと平型のサカナバリなど、カンナバリにもシングル(1段)・ダブル(2段)があります。ダブルカンナならバラシが少なく初めてのイカ釣りにオススメですが、シングルカンナのほうが動きは良いです。
プラヅノの種類によりイレギュラーな泳ぎのツノ、スーッという自然なフォールアクションが生きるタイプのツノ、それにタマゴバリなどの形状に変化を入れたタイプなど、この使い分けの判断は経験しかないです。三陸夜ヤリではサカナバリが定番で、まずこれをパイロットに使いましょう。このようにポイントによって定番のタイプ、傾向があるので船長に聞いておくと良いですよ。
投入から取り込みまでの手順を解説!
タックルについて説明します。まずヤリイカ釣りに向く竿は一般的に先調子です。これはイカヅノを遊び無く操作して誘い、微妙なアタリをキャッチするためです。スルメイカは電動直結シャクリや電動低速巻き上げなど、特に夜釣りでは誘いプロセスが多く適用されて胴調子がマッチする釣り方もありますが、ヤリイカでは基本的にシャクリと巻き落としに絞られます。
例外的に酒田沖での天秤での吹き流し仕掛けの釣りで胴調子の長竿がマッチするような場面もありますが、主流は先調子竿でのシャクリ釣りです。これで50号前後のオモリを使う三陸でのライトな夜ヤリイカに合わせると、30~50号負荷の東北カレイの竿がマッチするのです。80号以上のオモリであれば一般的な2m前後のヤリイカ竿です。
リールは三陸の夜ヤリであればPE2号の道糸を150m程度巻けるもの。つまりカレイタックルがそのまま使えるのです。カウンターがあれば有利で小型電動リールならさらに良いでしょう。深場でヤリイカ竿を使うようなときはPE3号300m巻き程度の電動でシマノ1000、ダイワ300サイズがマッチします。
釣り座のセッティングはキーパーからトモ側にイカマットをセットします。夜ヤリならこれだけで充分です。イカマットは絨毯の切れ端やタイルカーペットで代用できますよ。
夜ヤリはアンカリングの釣りなので投入器の必要はありません。むしろ手返しの支障になります。しかし日中釣りでは必携アイテムなので、使い方を説明します。
通常はキーパーからマットを挟んで船尾側に投入器を置きます。船縁から海側に向けて斜めにセットします。ツノはロッド側からカンナバリを下に向けて順番に収めていきます。全部入れたら揺すって幹糸まで収まるようにしましょう。これで投入のときにカンナバリが幹糸を拾ってしまうトラブルを防げます。ちなみに直結仕掛けではカンナバリを上向きに入れます。投入は前方に5mくらいオモリを投げ入れ、パパッと海中にツノが全部入ったらクラッチフリーにします。
回収は一旦順にツノをマットに置いて投入器に入れ直します。慣れてきたら投入器にツノを入れながら回収、幹糸のヨレに注意してツノを収めていきましょう。一流し一投が多いですが、大流しになって繰り返し投入のときも、投入器に収めてからオモリを投げることでオマツリを減らせます。
夜イカの投入、取り込みの手順は基本編でも解説しましたが、一番重要なことなのでヤリイカ編として改めて説明します。
アンカリングの夜ヤリではマットに浅くカンナバリを刺す程度にツノを並べます。ツノ数は5~8本が良いでしょう。水中ライトが船内に入っている位置でリールカウンターをゼロセットしておきましょう。これが取り込みの目安となります。
投入はオモリから順に、幹糸を滑らすようにツノを送り入れていきます。水中ライトまで入れたらクラッチを切ります。底を取って道糸のカラー、またはカウンターの数値を覚えておきましょう。基本はシャクリ、ポーズで10mくらい誘い、アタリがなければ再度底まで落とすという巻き落としのパターンで誘います。
特に落とし込んだときの「着乗り」が多いので、まず乗りの感触に注意してシャクり上げます。水平より上で止めてポーズ、竿先を見ます。フワフワ震えるといった変化を感じたら、それはアタリです。
手早くリールを手巻きするか、または上げる余裕があればさらに竿を立てて掛けにいきます。これで掛けたら、巻きながら竿を下げて竿を水平に保ち、ゆっくり巻いて追い乗りを狙います。大型であれば明瞭にズンズンと重みが増してきます。
10mくらい巻いたら、リールをスイッチオン。30段変速のリールであれば15から20程度の中速で巻きます。残り5mあたりでキーパーに置き、カウンターのゼロセットを目安に道糸が弛まないように竿先を上げて道糸を掴み、まず水中ライトを船内に入れます。この重みで道糸が張って安定するのです。そして一番上のツノをマットに掛けます。次から順に弛ませないようにマットに置いていきます。
イカが掛かっていたらカンナバリを上に向けてイカを外しましょう。外れにくかったら、あせらずそのまま船内に置き入れましょう。多点掛けのときはイカが重ならないようにして、最後のオモリまで船内に入れます。そこでイカを外して順番にマットにツノを置いて完了です。
取り込んだら最初の手順で再投入しましょう。手にツノを順に挟んでいく人も多いです。私はこの方法だと挟んでいる手が自由にならないので、マットに置くやり方で取り込んでいます。自分のお好みでどうぞ。ヤリイカはスルメイカに比べて身が柔らかく、脚が短いです。取り込み中の身切れ、脚切れに注意しましょう。
ヤリイカではシャクリはソフトが基本といわれます。しかし潮が速めに感じるようなときは、特にキュッと鋭いシャクリにすると乗りが良くなることもあります。でもツノの踊らせすぎは良くないですよ。ヤリイカがツノに乗るタイミングを取るのが大切です。マコガレイ釣りで誘いを止めて食わせることが必要なのと同じ。止め、つまりポーズを入れてシャクリパターンを組み立てていきましょう。
ヤリイカのタナは基本的に底付近です。スルメのように浮いてくることは少ないです。夜ヤリでは中層で活発に乗ることがありますが、これが水面まで上がってくると途端にツノを見切るように乗り渋ることも。こうなるとサミングを入れて段をつけるようなイレギュラーフォールとスローフォールで反射乗りを狙います。
スルメとの違いはスロー&クイックです。脚が短いためか、フワッと落とし込んだほうに乗りがよくなる傾向があります。これはイカメタルでの釣りで顕著に表われます。スルメでは重めのリグの速い落とし込みが効果的ですが、ヤリイカは極力軽いリグを使ってスローフォールによく乗ります。こんなイメージで誘いを組み立ててみましょう。
ヤリイカは奥深い釣り味があって食味も抜群。ぜひトライしてみてください。
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船釣りを中心に、防波堤や河川の小物釣りなど、なんでもこなすオールラウンダー釣り師。全国各地の釣りと釣り具の知識が豊富で、釣りの生き字引的存在。泉区のロックバーラグ(Rag)オーナー。シマノフィールドモニター
※取材テキスト・写真提供/針生秀一