父子でクロダイのっこみ報告
堅苔沢の地磯でノッコミのクロダイを狙う
「ノッコミのシーズンは、まず他より水温の高い磯などで限定的に釣れ始めて、その後、魚が庄内全域に広がって、みんなで楽しめるようになります。地磯では温海など南方面から釣れ出し、徐々に北へ…というのがいつもの年のパターンですね」と教えてくれたのは、今回ガイドをお願いした石塚則一さん。石塚さんの仲間うちでは、ノッコミが始まった第一陣では竿は出さず、広範囲に魚が散らばった頃合いをみてシーズンを楽しむようにしているそうだ。「最初に釣りきってしまったら後が続かないですからね」
取材日はゴールデンウィーク中の5月6日と7日。5月4日には温海の小岩川で1枚釣っているそうだが、この日は堅苔沢漁港脇の磯場で竿を出した。堅苔沢は漁港と隣接するためアクセスしやすく、足場も比較的いいことで人気の釣り場。釣り座が5、6ヶ所ほどあるためキャパ的にもある程度余裕がある。
ここの釣り場の一帯は岩盤と砂地が入り混じった地形をしていて、釣り座から沖目10~15mにある沈み根との中間の通しを丹念に攻める。沖の沈み根と砂地の境目がいいポイントになるほか、砂地の中にある小さな沈み根周りや足下のハエ根周りも狙い目。「ここはアジ釣りでも実績があるので、マヅメから夜は尺アジ狙いの人が多くなります。これからの季節はクロダイを狙っているとアジ釣り師の人が後ろに集まってきて、クロダイ師が竿をたたむと、入れ替わるように釣り場に入る光景が見られます」
低活性でもクロダイがいれば十分に釣れる
結果からいうと、取材日は2日ともサイズは小さめながらもまずまずの好釣果となった。5月6日は石塚さん一人で30~37cmを4枚。7日も30cm台中心に、石塚さん4枚、息子の勇誠くん(中2)が5枚で、合計9枚を釣り上げた。
親子2人での釣行となった7日は、波が無く澄み潮で底がまる見えの状況。1mほど波が上がって濁りが入れば、ハネに乗せて食わせることもできるのだが、このベタ凪ではちょっと厳しい。それでも、魚が入っていると思われるポイントを親子で同じように攻め続け、10時過ぎに1枚目が出てからは18時頃までコンスタントに魚がヒットしたそうだ。
「魚は十分な数が乗っ込みに入っているようです。ただ、水温が低くて食いが渋い。マヅメだけは活性が上がるんだけど、日中、雪シロが入ると食いが落ちてしまいます。時合いが来ると動いて口を使うので、この時合いを逃さないことと、岩陰でじっとしている低活性な魚の目の前にエサを落として、何とか食わせること。この2つのことができれば数は伸びると思います」
第2陣、第3陣の接岸で良型の期待も高まる
タックルは1号-5mのチヌ竿に2500番のLBリール。水深4mに対してタナを2ヒロ半~3ヒロほど取った。根掛かり覚悟で底に仕掛けをハワせ、底べったりに着いた魚に何とか食わせようという作戦。
ウキは感度がよく、アタリが取りやすい遠矢ウキを選択。この日は、立ちウキで1目盛り沈むくらいの小さなアタリがほとんどだったため、魚がエサを咥えただけで反応が出るようにオモリをギリギリに設定。ハリもがまかつのチヌ(黒)の1.5号か2号と小さめを使った。
また、食い込みが浅いため早アワセは禁物。魚がエサを咥えるアタリがあってからじっくり待って、ウキのトップががっちり沈んでからアワせると、ようやくハリ掛かりさせることができたそうだ。
取材日の時点での水温は約11℃。シーズンにしてはまだまだ水温は低く、釣るのは少し大変だが、他では40cmオーバーの良型も上がっている。今後は波が上がるたびに大型が次々と乗っ込んでくる上、太陽の出る日が何日か続けば水も温んで魚の活性もいい状態になるはずだ。そうなれば温海方面に続いて加茂や油戸でもバンバン釣れるハイシーズン。もちろん堅苔沢も長く楽しめることで有名なので今後も有望。シーズン初期の短期間限定で狙える尺アジも、いつ始まってもおかしくない状況だ。
最後に、勇誠くんの方が1枚多い結果になった要因を石塚さんに訊ねてみたところ、「同じ道具で同じ場所を流したんだから、師匠がいいってことだよ。自分が休んでいる間も、息子の方は黙々と釣り続けていたからそのせいじゃないの?」と、はぐらかされてしまいました。
漁港の西側防波堤がある波渡崎周辺の磯が取材時の釣り場。防波堤内側の岸壁に駐車スペースがある
写真・解説/石塚則一
取材協力/フィッシング庄内・鶴岡店(TEL:0235-24-8205)
鶴岡の浜近くで育ち、庄内磯を知り尽くすベテランクロダイ師。気さくな人柄で後進のアングラーからも慕われている。クロダイ、マダイ狙いのフカセ釣りのほか、ダンゴ釣りやアジなどの小物系も大の得意
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