越喜来湾のヒガレイ&夜イカ
岩手県の越喜来湾では秋から冬にかけて、良型のヤリイカとスルメイカを一緒に狙える。また、ヒガレイ(ムシガレイ)も盛期ということで、本格的遊漁船として営業を再開したばかりの荒神丸でヒガレイ&スルメのリレー釣りとヤリイカの試釣に行ってきた。
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東日本大震災によって甚大な被害を受けた大船渡市越喜来湾崎浜港。遊漁船の基地として、東北の沖釣りファンに知られるこの港も復旧が進み、釣り船が徐々に再開して好釣果が聞こえるようになってきました。
船外機船を修復して、7月下旬より営業再開した荒神丸江刺茂也船長。念願の湾外航行が可能な釣り船を北海道から手に入れ、人気の夜イカ用の集魚灯も10月半ばに装着完了。その知らせを聞いて、さっそく釣行計画を練ります。10月19日は午後2時出船でヒガレイ(ムシガレイ)、スルメイカのリレー。そして21日は、上州屋盛岡店スタッフの富澤さんと、恒例となったヤリイカの試釣と決定しました。
午後ヒガレイ~夜スルメイカのリレーで出船
10月19日は横浜在住のアルファタックルフィールドテスター伊井康洋さん、仙台市の田村努さんが同行。釣りえさマリン新港店で、ヒガレイの特エサ、冷凍花エビと活きモエビ、オキアミLLにアオイソメ。そして今回、是非とも試したかった銀兵を購入して出発。三陸道登米IC~気仙沼~陸前高田のルートで越喜来に向かいます。海岸線のR45も復旧が進み、まだ交互通行も数箇所ありましたが、仙台市内から3時間半ほどで崎浜港に到着。ちょうど広進丸が帰港しており、ヒガレイにナメタ、マコガレイ混じりで良い釣果が出ていました。
江刺船長に連絡を入れると、船は北側の堤防に係留しているとのこと。以前の反対側です。指示された駐車スペースに車を停め、堤防を歩いていきます。堤防が地盤沈下し、満潮時には水をかぶる箇所がありますが、船長が鉄パイプを組んで作った桟橋から、荷物を手渡しして乗船します。
船は前の第二荒神丸より若干細身で、船長によれば「波きりが良く、スピードが出る。まだ船ベリにキーパーを掛けづらい形状なので、ラークタイプのキーパーを掛けられるように修正していくよ」とのこと。ミヨシとトモはキーパーが掛けられるので、左舷ミヨシの私はチビラークを装着。予約の7名が揃い、午後2時に出船。大塩崎をまわって80mダチのヒガレイポイントから始めます。
オモリは40号。この深場のカレイに効果的なアイテムがシンカーロボ。特に私の仕掛けは三浦屋直結式なので、オモリから8cmの位置に上バリがあり、その効力を試すのに絶好です。アオイソ、花エビ、銀兵を3本バリに刺して投入。振幅を大きめに取った小突きで誘います。
ヒガレイの食いは活発で、特にエビエサにはガツンと激しく食ってきます。オモリに寄せるイメージで誘うと、上バリにグッともたれる魚信。スッと合わせると、強く振れる小気味良い感触。船中順調にヒガレイが上がり、首崎前の100~120mダチでは、銀兵を下バリに刺して、底を1mほど切った泳がせで誘うと、微妙な前アタリからググッと持ち込む強い引き込み。シマノ電動丸400Cの楽速モードが働き、口切れのバラシなく取り込みます。
ヒガレイは移動の大きいカレイで、秋口には産卵に備えて荒食い、40mラインの比較的浅場にも群れるように乗り込んできます。特に三陸沿岸では通年釣れますが、数が揃い面白くなるのは、産卵直前の10~12月ごろと、深場に落ちる前の4~6月。魚食性もあり泳力があるヒガレイには、底にエサを置くように小突くよりも、むしろ大きくフワッと躍らせる誘いが良い場合があり、このときの強信が面白い。まだ専門に狙ったことの無い方には、越喜来湾のヒガレイ釣りは斬新な感触が味わえ、ぜひオススメです。
ヒガレイを満喫し、スルメイカ狙いにチェンジ!
午後5時までの実釣2時間半で各自10枚ほどのヒガレイを釣り上げ、10分ほど移動してスルメイカにリレーします。ポイントは首崎沖の100mダチ、船長も驚くほどの潮の速さ。120号のオモリで投入すると、トモ側に斜めに糸が走ります。
開始早々に田村さん、伊井さんが胴長30cmほどのスルメイカを取り込み、船中活気づきますが、ここからはポツリポツリの拾い釣り。乗りダナも海面10mもあれば、ベタ底100mもとバラバラ。船長も指示ダナを出せないような魚探反応です。しかし状況は好転せず、午後9時に納竿。3~15杯の釣果でした。
翌々日はヤリイカ試釣に挑戦するも…
10月21日は、シーズン初めのヤリイカ試釣。午後5時に6名の乗船で出船。曇天で月が隠れて期待できそう。オモリは50号なので、タックルは仙台湾カレイで使っているものがフィットします。私はシマノ電動丸400Cに バイオインパクトカレイ165の組み合わせ。プラヅノ11cm7本仕掛けに、オモリは青色のシンカーロボをセットしました。
首崎前に着くと、北東からのうねりで短いピッチで船は揺れます。水深35~50mのかけ下がり。アンカーが入り、集魚灯がともって開始です。予報よりも悪い海況で、大きく揺れて釣りづらい状態。イカ釣りに良い闇夜ですが、厳しい状況です。そんな中で、微妙なサワリを捉えて巻き始めますが、途中でサバが掛かってきて振り落とされてしまいます。ツノをチェックすると、ヤリイカのような短いゲソが残っています。すかさず再投入。底から10mまでシャクリ上げたところで、ズシッという重い乗り、これは胴長25cmほどのスルメイカでした。
続けて富澤さんもスルメの2点掛け。ここからスルメが連発します。通常なら、こんな感じからヤリイカも寄り始める展開に期待ですが、うねりはさらに高くなり、残念ながら午後7時すぎに早上がりです。スルメイカが落とし込みで下ヅノを受けて掛かる感じから、シンカーロボはイカ釣りにも効果あり。多点掛けを狙って、受けてからの送り込みなど、これからいろいろ試したいところ。面白いアイテムです。
ヤリイカの本格シーズンは11月から。初期は小型のメスから始まり、のちに大型のオスが寄ってきます。昨シーズンは3桁の釣果が続いた当たり年。あの産卵期の湧き具合から、今シーズンも有望な予想。冬至スルメと呼ばれる大型のスルメイカが混じることもあり、初冬の夜を熱く盛り上げてくれるでしょう!
★荒神丸(TEL:090-7065-3004)
荒神丸は大船渡市三陸町・崎浜漁港の突き当たり付近の岸壁から出船
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船釣りを中心に、防波堤や河川の小物釣りなど、なんでもこなすオールラウンダー釣り師。全国各地の釣りと釣り具の知識が豊富で、釣りの生き字引的存在。泉区のロックバーラグ(Rag)オーナー。シマノフィールドモニター
※取材・テキスト/針生秀一
※取材協力/荒神丸(TEL:090-7065-3004)
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