釣行記

東北の有名アングラーらによる釣行リポート!最新の釣況情報、テクニックをカバー!!

仕事後ショートプランも可能な宮古沖ヤリイカメタル

編集部 2022年12月5日 更新

11月初旬、ヤリイカシーズン到来の朗報を聞きつけ宮古市日出島漁港より出船する隆勝丸さんへ伺った。今回は助っ人として当メディアでもお馴染みのピュア・フィッシング・ジャパンフィールドスタッフ佐々木健太郎さん、宮古市の釣具店「釣研」の田代代表にも駆けつけていただき実釣。その時の模様をお届けします。
※2022年11月実釣、12月掲載。



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お仕事アフター 19時半出船の夜ヤリイカショート便

今季の宮古湾のイカ釣りは7月のムギイカ(スルメイカ)からスタート。9月に入り一旦、低調傾向も10月に入り復調。そして下旬にはヤリイカの姿が見え始め、好調を持続しながら初冬11月のヤリイカシーズン初期に突入した。

今回の釣行は隆勝丸のショート便に乗船。ショート便とは19時30分に出航し22時30分には納竿と実釣時間が短い便のこと。出船時間が遅いことから仕事を終えてからでも間に合うのが魅力の一つ。通常便だと16時には出船するので休日しか行けないなんて方には、まさに持ってこいの便である。乗船代も通常便の半分とやさしい設定だ。

当日も仕事を終えて駆けつけた面々。仕事を終えてからの開放感か皆さんテンションはかなり高め。そんな中、19時30分に日出島漁港を出港、ポイントを目指した。

片道10分の航程。あっという間に漁場に到着しスタートフィッシングとなった。シーズンインしたばかりのヤリイカについて、釣りの魅力を健太郎さんに聞いたところ「ヤリイカはスルメイカに比べるとレンジがとてもシビアで、アタリが出るレンジを見つけて一杯ずつ大事に釣っていく釣りです」
「タナを見つけ、猫じゃらしのようにイカメタルを操って興味を持って近づいてもらい、間をとって抱かせるという一連の流れが難しくもあり面白いところでもあるんです」

出船場所は宮古湾の北側に位置する日出島漁港。岸壁は駐車スペースも広々。船の近くには外灯もあり周囲を照らしているためタックル準備も楽ちん
仕事を終えてからのイカメタル釣行。皆さん仕事を終えてからの開放感に溢れ釣り談議も盛り上がる

漁港を出航して10分ほどでポイントへ到着。魚探を見ながらベイトの群れを探し、安定した場所でアンカー投入。当日は宮古湾口水深55mラインで勝負することに


[佐々木健太郎さんの釣り方解説動画]

シビアな状況下でヤリイカを誘うテクニック

開始して間もなく予報以上の爆風に見舞われた。次第に波も高くなり釣り人には過酷な状況になっていた。そんな中、感度のいいタックルセッティングが功を奏し、ヤリイカのアタリが頻発するタナを見つけ数を重ねる健太郎さん。

健太郎さんにイカ釣りの基本的な誘いをレクチャーしてもらった。当日の状況によってはいろいろとパターンは変わるものの、イカメタルは2~3回シャクってステイするのが基本の動作。まずは仕掛けを狙ったタナまで落とし、そこから2~3回シャクる
フォールで抱いてくることが多いのでフォール主体の釣り方をイメージ
ゆっくりロッドを降ろしてティップの曲がりを見ながらステイ。この時にフワっと竿先が持ち上がったり、ラインがフケたりする変化があったらアワせを入れてフッキングさせる。アタリがなければシャクリってステイの繰り返し。その一連のアクションの流れでイカの反応の良いパターンを探していくのがベター
健太郎さんが当日使用したベイトリール「MAX DLC H-L」。使用感を伺ったところ「一目でヒットした棚がわかるリールです。群れで行動しているヤリイカは、同じタナでヒットすることが多く、カウンター付きリールを使用することで再現性のある釣りができます」。「ヤリイカが近くにいるときのモワモワ感を手元に感じることができる軽量カウンターリールです」

AbuGarcia
アブ・ガルシア初のデジタルカウンター搭載リール。健太郎さんはハイギアの左巻き使用
ベイトロッドは「OCEANFIELD IKAMETA OFIC-672LS」。「ヤリイカ釣りはメタルのレンジ(タナ)をキープできなければ成立しないことが多く、ソリッドティップで先調子ながら、ベリーまで船の上下に合わせて追従して綺麗に曲がるのでレンジキープがしやすく抱かせる間をしっかり取れるのが特徴です」。「どちらかというと乗せ調子ですが、25号前後のイカメタルとの組み合わせでは、キビキビしたアクションで攻めることもできるオールラウンダータイプのモデルです」


アブ・ガルシア
ロッドのバランスよく、コストパフォーマンスにも優れてイカメタル入門用にも適。

「最初は20号からスタートしましたが、イカのお触りはあるものの、どうも乗り切らずイカメタルの重さを嫌っていた感がありました」
「そんなことから潮が緩く、周りの人とおまつりをしない状況ということもあったので、思いきって12号へ変えたところアタリが明確になりヤリイカが連発し始めました」と満面の笑み。

シーズン初期だったこともあり、またタフコンディションの中でベターな釣り方を探っていた健太郎さん。ポンポンと連釣し、気付けば10数杯の釣果になっていた。健太郎さんが一番気にしていたヤリイカにアピールする際の違和感のないイカメタルの重さがベストマッチした結果だった。

「シケ後だけに今日はどんな感じかな。シケ前のイカのコンディションは良かったんだけどね」と隆勝丸の平子代表。最近の釣況等を聞き入る
スタートフィッシングから20分でファーストヒット。釣り人は隆勝丸平子代表の息子さん、仁海くん

ヒットレンジはボトム付近。潮が効き始めたこともあり丹念に探り攻めていた皆さんも次々とヒット。プチフィーバー突入

「フワっと竿先が持ち上がる感覚があればイカが近くにいる証拠なので、違和感を感じたらとにかく合わせてみるといいと思います」。「もしそこで乗らなくてもヤリイカにロックオンされているので、興味を引くようにアクションさせると抱いてきます」。「アクションもスローフォールか、ステイか、ゆっくり巻き上げか、シェイクか。その日、その時間帯によっても変わってくるので反応の出るアクションを組み合わせながら試すといいと思います」

一緒に実釣した田代さんが代表の釣具店:釣研(岩手県宮古市)でイチオシの浮きスッテ!ヤマシタの「おっぱいスッテ」ピンクとケイムラともに7cmシングルカンナ。アタリが繊細でノリもシビア。サイズが小さい時のヤリイカは掛かり重視のシングルがオススメ。1杯を確実にヒットさせる。その他にも各種商品が充実の品ぞろえ

イカのタナも40mライン位まで上昇してきた。アタリが出るレンジを見つけて一杯ずつ数を重ねる。この頃になると暴風雨に見舞われタフさが増してきた

タフさとともにアタリも遠のいてきた。いくらか潮が緩くなってきたことからイカメタル20号から12号にスイッチ。メタルが軽くなった分、感度は抜群。少しの変化も見逃さない
実釣一時間半程(イカ刺しを作って食べたり、沖漬けを作ったり)の超ショート回。ベイトタックルとスピニングタックルを使い分けて状況に合わせた釣りを堪能

船上で捌いたヤリイカを食す「釣り人の特権!」ってことで健太郎さんに捌いてもらった。釣れたばかりのヤリイカは透明感が半端ない。透かしてみると向こう側がやんわりと見える。皮を剥いて胴身を切り開く。横方向に切り込みを入れて完成

透き通った身とコリコリした食感は絶品。当地の醤油でいただきます。「もう優勝です」!!

ここで健太郎さんイチオシのアイテム投入。「同じタナで釣っているとスレてしまう時間帯がやってきます。今回もアタリが遠のいたタイミングにガルプ!アライブパウダーで匂いを拡散するとイカのあたりが復活しました」。「イカメタルのアクションでは反応しきらないヤリイカに、匂いで食い気を誘うパウダーはヤリイカでも有効でした」

緩かった潮が動き始めるとパタパタとヒットし始めた。38~42mのレンジにヤリイカ、スルメイカはバラけている状況だった。終盤は重めのメタルで大きくアクション、そしてステイの流れが好釣果に結び付いた

蓄光器を用いてイカに猛烈アピール。イカメタルや浮きスッテの発光が見違えるほどに。もちろん釣果に直結!

後半、健太郎さんはタックルをスピニングにスイッチ。なぜ切り替えたのか聞いたところ「連続してヒットしたタナが水面から15mほどと浅かったのでより軽量のイカメタル(8号)をキャストして横引きできるという理由からです」。「横引きすることでヤリイカのいるタナを長く誘える利点があります。今回の釣行ではイカメタルを軽くして長時間ホバリングさせることが正解のようでした」と振り返った。
使用したロッドは「OCEANFIELD VC OFVS-642LS」。バチコン用のロッドながら、10号前後の軽量なイカメタルを操るのにドンピシャな調子。スピニングならではのキャスティングからの横引きができるので、より繊細にヤリイカのレンジを刻むことができる。
リールは「ZENON2500SH」。アブガルシアのハイエンドモデル。「巻き心地が良いのは勿論、感度重視で軽量なセッティングにしたかったのでZENON2500を使用しました。スピニングタックルも状況を読めれば大きな武器になります」
ラインは「スーパーファイヤーラインカラード0.8号」。ちなみにベイトリールにも使用。水切れがよく、潮が速くメタルが流される状況でもヤリイカが触腕でそっと触れるだけのあたりを掛けていける高感度ライン。「軽量リールと併用することでイカにメタルがロックオンされた際のモワモワとした『前あたり』も感じ取れるようになります。ヤリイカ釣りでライン選びは重要なポイントとなります」

釣れたての活イカをそのままタレに漬ける沖漬けは、まさに釣ったイカでしか作れない釣り人の特権。今回は時間がなく市販の麺つゆで漬けることに。タレの味がじっくり染み渡る

ヤリイカシーズンはまだまだ盛期が続く

師走に入りヤリイカシーズン初期から中盤へ。現在もイカ釣りを満喫している健太郎さんに直近のヤリイカ事情を伺ったところ「少し前まではサバが多い状況でした。その時はヤリイカはボトム付近にまとまっていることが多かったのですが、最近はそのサバが抜けたことで、ヤリイカのタナにバラつきのあるシチュエーションが多くなってきたように感じます」

「アタリが頻発するタナ探しに苦労しますね。スルメイカの場合は、どのタナでヒットしてもおかしくありませんが、ヤリイカの場合はタナを意識することが大切ですからね」
「探しきれない時は、連続してヤリイカを掛けている同船者がいるようなら素直に聞いてみるのも一つの手段だと思います」

まだ始めたばかりでヤリイカ釣り自信ないなぁ。でもイカを釣りたい。なんて少し自信のない方は「イカ用のジグを持っていくといいですね。大型のスルメイカも好調に釣れていますので、幅広いレンジを探りながら果敢に攻めてくるスルメイカをヒットさせるチャンスは大きいです。ジギングタックルでも楽しめると思います」とアドバイスをもらった。

ビール瓶級の冬至スルメに良型ヤリイカも見えてきた宮古湾。岩手三陸沿岸のスルメイカ、ヤリイカが冬の好季を迎えている。今季は調子が良く12月いっぱい、状況にもよるが来年1月まで、もうしばらく楽しめそう。

今回お世話になった㈱隆勝丸の平子代表と息子さんの仁海くん。代表の平子さんは気さくな性格でいろいろとフォローしてくれるので、初心者からファミリー、女性の方も安心して楽しめる。カレイ釣りをはじめ根周り五目、青物、マスジギング、ヒラメにオキメバル、そしてボートロックと周年多彩な魚種を釣らせてくれる。現在はイカメタル、カレイ五目、ボートロックで好評出船中。3月1日からはマスジギングも始動。予約受付中!
[遊漁船紹介]㈱隆勝丸
■TEL:0193-65-7910/携帯:080-6042-6263

㈱隆勝丸では遊漁船の他、ホタテやホヤなどの養殖をはじめ観光、直販事業といった海を包括した総合的な事業を行っている。特にホタテは天然採苗の稚貝から育てて純宮古産を提供している

ホタテが養殖されている日出島周辺の海域は、外洋の荒々しさと内湾の静けさを併せ持つ潮通しの良いエリア。ここで育ったホタテは貝柱が厚く、シャキシャキと歯ごたえがあり甘みが強いのが特徴。ホタテの販売も対応している。なお釣り船を利用された方には特別価格にて販売も行っている

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※解説/佐々木 健太郎
※取材協力/㈱隆勝丸
※取材協力/釣研(宮古市)
※取材協力/ピュア・フィッシング・ジャパン



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