三陸に漁火ともす越喜来湾スルメイカ
夏の風物詩、夜のイカ釣り。仙台湾と並び、夜イカ釣りが盛んな三陸沿岸。なかでも大船渡市越喜来湾は、初夏の開幕から冬のヤリイカまで、ロングランで楽しめるイカ釣りのパラダイスです。
荒神丸は崎浜漁港の中央岸壁から出船(かさ上げ済)。越喜来で長年、遊漁船を営んできた江刺船長のキャラクターでも人気の船。イカ乗り合い7,000円(氷付き)。週末はほぼ毎週、平日も気軽にお問い合わせを!
※TEL:090-7065-3004
三陸に夏の訪れを告げるイカの漁火
夏イカといえばスルメイカ。いつも崎浜港「荒神丸」に同船して、越喜来湾の開幕は毎年のように一緒に試釣している、上州屋盛岡店スタッフの富澤さんから、「今年は7月3日にやりませんか」との誘い。この予定で準備して江刺船長に連絡すると、「6月30日にイカ釣りやろうって常連さんから予約入ってさぁ、まずは出てみるから」との話。
そして7月1日の釣果速報を見ると、荒神丸・スルメイカ50匹と出ている。さっそく江刺船長に問い合わせると、「仕掛けはプラヅノ11~14cmに乗りが良かった。オッパイ針はダメだったなぁ。40mあたりで当たって、うまくタナを掴んだ人がよく釣ったよ。型はだいたいペットボトルくらいだね」さすがイカマニアが集う「荒神丸」。この事前情報から仕掛けを用意して崎浜港に向かいました。
午後6時半に、富澤さん、盛岡の三浦さんと私の3名で出船。三浦さんは、新調したシマノ電動丸1000プレイズの筆おろしです。富澤さんもシマノ電動丸フォースマスター3000MK、私は同フォースマスター800MKと電動丸の各サイズ競合。道糸はPE4号に揃えました。
シマノ(SHIMANO) ロッド ベイゲーム X ヤリイカ 175
航程30分ほどでポイント到着。アンカーが入り、安定したところでスタートです。私が最初に選んだ仕掛けは、ヤマシタのプラヅノ14cmのサカナ針にトトスッテが一本入った5本ヅノの直ブラ仕掛け。三浦さんは夜光入りサカナ針14cmのブランコ。富澤さんもピンク、ブルー基本のサカナ針14cmブランコです。
越喜来湾で実績が高く、定番ともいえるサカナ針の各バリエーションで開始しました。まだサバが少ないのでダブルカンナ仕様です。満月の夜ですが、幸い曇天で月が隠れています。水色は表層が若干濁っているくらいで、夜イカに悪くない条件です。
陽も落ちて、集魚灯の明かりに小魚が集まり始めました。ヒラメ釣りに良さそうな15cmくらいのカタクチイワシです。水深は100m、電動シャクリで80mからシャクって、30mまで往復します。イワシがカンナ針にスレ掛かりするほどですが、まだイカは乗らず、談笑しながら時合いを待ちます。濃い霧も出てきて、まさに闇夜。たくさん居たイワシも、海面から見えなくなってきました。
ルミカ(日本化学発光) 水中ライト 小 俊光-緑(1灯)
ヤマシタ(YAMASHITA) イカ釣プロサビキ SK 14-2 5本
すっかり夜も更けた9時頃からイカが乗り気に…
9時をまわったころ、巻き落としからシャクリ上げ、長めの止めで竿先を見ていると、フワフワとツノを触るようなアタリ。チョイ巻き機能を使ってキュッと掛けにいくと、ズシンという手応え。巻き上げて仕掛けを手繰っていくと、一番下のトトスッテに胴長20cmほどのスルメイカが水鉄砲噴射で上がってきました。すぐに「タナは50m!」と声を掛けます。
さっそくタナを合わせて誘った左舷トモの三浦さんが、三点掛けで取り込みます。しかし右舷トモの富澤さんにはアタリなく、すぐに仕掛けを11cmプラヅノに交換。ツノのサイズを落として深い抱き込みを狙う作戦です。これで数杯乗せるも、三浦さんの半分のペースです。
どうも同じサカナ針でも、三浦さんと私はともに夜光仕様を使っており、中でも濃いブルーやピンクによく乗ってきます。そしてオモリは三浦さんが夜光グリーン、私はシンカーロボのグリーン発光でした。このことからツノの組み合わせを変更して、オモリも夜光に変えた富澤さん。これで乗りを向上させて、順調にイカを取り込んでいきます。
発光オモリのメリットを活かすテクニック
イカ釣りに使うオモリの夜光、発光に関しては、むしろデメリットになるというのが、イカ釣りのベテランに多い意見で、私も同意でした。これは…
◆イカがオモリを追ってタナが下がる。
◆落とし込みで下のツノから受けることが多くなるので、タナに仕掛けが全部通りにくく単点掛けが多くなってしまう。
という事例からです。
しかし、イカに注目させる効果があるわけで、この集魚効果(集烏賊?)を活かさないのはもったいない。いかに効率を上げて効果的に使うかを考えて、下記のようなことに注意して釣り方を組み立て、試しています。
◆指示ダナがあるときは、その下限より下には落とさない。
◆乗りダナを掴んだら、次はそれよりツノ間一本分上(2m程度)で止め、そこでタタキを入れて(直ブラ仕掛けなら特に有効)、10秒くらい止めてから上にシャクリ上げる。
◆オモリを追ってくることが多いので、タナに入った最初の誘いが最も重要。受けで乗らなくても、シャクリ上げた竿先に注目して触りを捕らえて掛けていく。
◆乗せたら10m位は手巻きで、イカのサイズが小さいときは遅く、大きければ速めに巻く。
◆落とし込みの受けで乗って止められたら、そのまま糸を仕掛け分くらい送り出してからクラッチを入れ、竿を立ててリールをスイッチオン。これはオモリ側のツノから受けてくることが多いので、その上のツノをタルマセでタナに送り込んで乗りを誘い、一気に掛けるのが狙い。水中ランプが中オモリの役割をします。隣との間隔、潮の流れに注意して行いましょう。
このような釣り方で効果を感じました。オモリのアピール力を信じて、タナを取ってシャクリ上げましょう。
イカマニアもうならせる初夏の若イカ
さて、入れ乗りとはいかないまでも、コンスタントにスルメイカが釣れてきます。型は胴長18~25cmくらいのムギからニセイカと呼ばれるサイズ。このサイズは身が柔らかく、刺身、沖漬けで最高。イカマニアが知る、もっとも美味しいサイズですね。
ツノの抱きが浅く、落とし込みを受ける乗りは少ない。タタキやシャクリ上げで止め、触りのアタリを取って掛けていきます。触手のみでカンナに掛かることも多く、バラシも出ます。コマセヅノに入れたグロウのトトスッテに乗ることが多いので、布巻きスッテとトトスッテを組み合わせた6本ヅノ仕掛けに交換。
闇夜のせいか、濃いピンクと赤白スッテ、それに原色夜光というアピールの強いツノによく乗ります。シンカーロボの効果で、シャクリから止めでオモリ上のツノから乗ってくることが多く、そこから誘い上げて4点掛けも達成です。タナも20mまで上がってきました。
富澤さん、三浦さんはプラヅノで通して、やはり濃い色と夜光入りによく乗ってくるとのこと。最後の30分は江刺船長も手釣り道具を降ろし、オカズ分を手早く釣って午前0時に沖上がり。三浦さんが好調に掛けて44杯、富澤さん24杯、私34杯でした。
乗り始めた時間が遅く、いまひとつ数は伸びませんでしたが、初めとしてはまずまず。反応が濃くなるベストシーズンはこれからです。ズシズシと乗せて、夏の夜ならではの釣趣と食味を楽しみましょう!
大船渡市三陸町・崎浜漁港
■崎浜漁港までのアクセス
【水沢ICから大船渡まで(最短距離)】東北道で最も近いインターは水沢IC。ICを降りたら、水沢東バイパスから国道397号線へ。種山高原を経由して国道107号線に突き当たったらT字路を右折し、終点の大船渡まで進む。
【一関から大船渡市まで(バス路線)】 東北道・一関ICを利用する場合は、国道284号線を気仙沼まで進み、国道45号線で陸前高田、大船渡と北上するのが、路線バスにも採用されている一般的ルート。道幅が広く、直線的で走りやすい。
【一関から大船渡市まで(ループ橋経由)】 一関市街から県道19号を進み、げいび渓を経由して陸前高田に抜ける方法は、一関からの最短コース。途中ループ橋があるなど、ドライブ好きにおすすめ。
【大船渡市街から崎浜まで】 国道45号線を北上。「道の駅さんりく」を過ぎて坂を下ると、「北里大学三陸キャンパス・大船渡市三陸支所」の看板があるので、右折して三陸地区の県道へ(交差点の近くにローソン越喜来店あり)。そのまま県道209号線を道なりに進み、越喜来地区を抜けると崎浜漁港に突き当たる。
※仙台方面からの場合は、三陸道~国道45号線と海岸線を抜けて行く方法もあります。
船釣りを中心に、防波堤や河川の小物釣りなど、なんでもこなすオールラウンダー釣り師。全国各地の釣りと釣り具の知識が豊富で、釣りの生き字引的存在。泉区のロックバーラグ(Rag)オーナー。シマノフィールドモニター
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※取材・テキスト/針生 秀一
※取材協力/荒神丸(岩手・崎浜港)TEL:090-7065-3004