東北地方の釣りは太平洋側と日本海側で大きく様相が異なる。太平洋側はカレイ類やアイナメ、ソイ類など比較的冷水を好む魚種が中心で、これらの魚種は関東以南より大型化する場合が多い。また、黒潮の影響が強まる夏から秋にはサバ、ワラサやスルメイカといった暖水系の魚も北上してくる。
いっぽう、対馬暖流の恩恵を強く受ける日本海側は、ブリやマグロなどの青物が多く回遊。岸からはクロダイやシロギス、アオリイカなど、西日本に多いターゲットと、東北ならではの根魚やカレイの両者を狙える。ただ、冬の日本海は荒れる日が多く、竿を出せる日はマレ。
太平洋、日本海ともに沖合の中深場から深場では、北日本固有のオキメバル(ウスメバル)やタラ、メヌケが人気。
淡水域は、東北全域でイワナ、ヤマメなどトラウト類が狙え、北東北では海の近くまで渓流魚が分布する河川も多い。アユ釣りでは河川環境が良く、食味で高評価を受ける河川も。また、各県の山上湖や汽水湖でワカサギ釣りも盛ん。
日本海、津軽海峡~陸奥湾、太平洋の3方向を海に囲まれる青森。陸奥湾、太平洋側(三八上北)、日本海側(西海岸)で釣りモノが大きく違ってくる。
【陸奥湾】
●船:マダイやカレイなどの魚影が非常に濃く、他地域から遠征して来る釣り人も多い。近年はマダイが圧倒的人気だが、カレイやヒラメも相変わらず健在。ボート釣りも盛んな夏泊周辺や陸奥湾口近くの平舘海峡などが有力ポイントになる。
●陸:防波堤周辺ではソイ、アイナメ、メバル等の根魚やサバ、アジ、イワシといった中小型回遊魚、チャリコ(小型のマダイ)など様々な魚種が狙える。季節によってはイイダコやテクビイカ(ジンドウイカ)も人気。
【三八上北】
●船:八戸沖、階上沖ではアイナメ、マコガレイ釣りが非常に盛ん。根周りのメバル、オキメバルなども人気があり、深場ではタラが狙える。三沢沖や津軽海峡ではナメタガレイ。尻屋崎周辺では冬から初春にかけてサクラマスが回遊する。
●陸:港内のチカやウミタナゴ、防波堤、磯のアイナメ、ソイなどが人気。冬から春はウミアメ、サクラマス。夏から秋はサバやイナダといった回遊魚やスルメイカ、ジンドウイカも現れる。淡水域では、奥入瀬川など大小の河川でヤマメ、イワナが狙える。小川原湖や周辺湖沼が結氷すれば、氷上のワカサギ釣りも楽しめる。
【西海岸】
●船:日本海側から津軽海峡にかけては対馬暖流の終着点にあたり、タイやマグロ、ブリをはじめ、多くの魚種が集まる。特にマグロはメジ級~100kg超まで群れで跳ね回り、全国的に知られる有力ポイント。タイ類はマダイ、チダイを混合で狙える。根魚、ヒラメも良型望め、船キスも楽しめる。
●陸:磯、防波堤のウキフカセ釣りでクロダイが狙え、冬から春はホッケがターゲット。防波堤ではソイ、メバル等の根魚のほか、季節によってアジやイナダが回遊。アオリイカも面白い。鰺ヶ沢周辺サーフはキスの投げ釣りが人気。磯周り、防波堤でクロダイ、マダイ。投げマダイも可能。
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●船:秋田の沖合はヒラメ、ワラサやマダイなどの大型釣種が多く、これら魚種をアジやサバなどと一緒に狙う夜の電気釣りが盛ん。日中の釣りでは、ヒラメサビキ、ブラーマダイ、鯛カブラなども人気がある。また、オキメバルは大型が多く、他では珍しい40cmオーバーも普通。深場のタラも高実績。近場のポイントで手軽に楽しめる船キスも魅力的だ。
●陸:海岸に岩礁帯が広がり、磯や防波堤でクロダイ、ホッケ、アオリイカなど色々な魚が狙える。中でも人気ナンバー1の男鹿半島には、磯のポイントが集中。秋田港から男鹿にかけてはシーバスの魚影が濃く、港湾や河口、サーフ、磯など好ポイントが点在する。県北、県南の砂浜では、夏場は投げ釣りのキスが人気。主要河川の下流域は春先と初夏にサクラマスが狙いのアングラーが集まる。また、中上流域には美しい河川が多く、シーズンにはアユ釣りや渓流釣りで賑わう。八郎潟はワカサギの魚影が濃い。
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県北、県南で釣り物はほとんど変わらない。
●船:三陸リアス式海岸の湾構造が続き、海岸線に岩場と砂地が混在。各湾と港に遊漁船がある、船釣りのメッカ。湾内外のポイントで狙うマコガレイ、ムシガレイ(ヒガレイ)、ナメタガレイなどのカレイ類とアイナメ、ソイの根魚類を同時に楽しめる。夏~秋のヒラメは以前は40cm前後の数釣りがメインだったが、近年は大型化傾向。夏の夜はスルメイカやアナゴ狙いが楽しい。秋冬の夜イカ船はヤリイカメインのスルメイカ混じり。秋から春は湾外深場のオキメバルやタラなどが好ターゲット。ジギングルアー船は青物のほか、春先のサクラマスが近年人気上昇中。
●陸:リアス式の湾構造が続き、大部分は岩場で湾奥などに砂浜が点在する形の地形が連続する。最もポピュラーな釣種は投げ、探り、ルアーでの根魚釣り。防波堤、磯ともに狙い目だ。また、県内ほとんどの漁港でチカ釣りを楽しめる。夏や秋はスルメイカやヤリイカをターゲットにしたイカ釣りも人気だ。淡水域は内陸&沿岸河川でイワナ、ヤマメを狙え、夏場はアユ釣り、冬は岩洞湖や大志田ダムの氷上ワカサギが盛況となる。
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●船:酒田沖、庄内沖、飛島周辺など、広範囲にポイント点在。対馬暖流とともにマグロ、ブリ、ワラサ等が回遊し、青物のジギングやキャスティングが楽しめる。エサ釣り、ルアーのマダイも高人気。その他、ソイ、メバル、オキメバルなどの根魚類やタラも有力な釣り場が広がる。
●陸:江戸時代、庄内藩が磯釣りを奨励していた影響で、庄内地方は磯、防波堤のクロダイ釣りが非常に盛ん。鶴岡~温海地域にポイントが集中し、クロダイ、マダイ、メジナのほか、アオリイカや根魚なども狙える。酒田港の周辺も他魚種が集まる実績釣り場。磯、防波堤の他に、最上川、赤川周辺など大規模な河口と砂浜もあり、シロギス、ヒラメやスズキ狙いが面白い。内陸は、県の中心を貫く最上川水系を柱に、アユやイワナ、ヤマメ、ワカサギなど淡水の対象魚が豊富。
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【県北】
●船:南三陸はリアス式の湾に岩礁帯と砂地が入り混じった複雑な地形をしており、カレイ、根魚、ヒラメが主なターゲット。カレイはマコガレイが中心で、初夏から秋の盛期には湾内の養殖棚周りの掛かり釣りが人気。流し釣りであれば、冬の一定期間を除いてほぼ年中楽しめる。ジギングはブリ、ワラサなど青物に、夏秋はタチウオも。ロックフィッシュブームによりボートロックも人気上昇中。中深場~深場ではオキメバルやタラ、メヌケが狙える。
●陸:磯、防波堤の根魚の魚影濃く、特に牡鹿半島周辺のベッコウゾイは大物期待。投げ釣り師の間では良型カレイを狙えることで知られ、石巻周辺では60cm超のイシガレイや50cm級のマコガレイを陸から狙える。また、河口にやサーフはスズキのポイントも多く、追波川はサクラマスの人気釣り場でもある。内陸には山形、秋田県境に水源を持つ有力河川が多数連なる。
【仙台湾~県南】
●船:仙台湾は大型魚礁周辺のマガレイが非常に有名で、季節にともなう浮き沈みこそあるものの、年中数釣りが楽しめる。イワシの泳がせ釣りやサビキ釣りなどのヒラメ、ソイ、メバル、夏場のスルメイカ、秋にはサバやイナダ、ワラサの青物など対象魚は豊富。金華山周辺の大型のサバはブランドにもなっている。松島湾周辺などのマダイもすっかり定着。奥松島周辺は根魚やヒラメ、コチの好ポイント。
●陸:県南のサーフでは投げ釣りのカレイやイシモチ、ブッコミ釣りのクロダイ、ルアーのスズキやヒラメが狙える。特に近年はフラットフィッシュが大人気。山沿いにはアユ、ヤマメ、イワナの釣り場が多く、七ヶ宿ダムでは陸封型のサクラマスも狙える。
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【浜通り】
●船:相馬周辺の沿岸域にはツブ根が点在し、アイナメやソイ、メバルの根魚の魚影が濃く、アイナメとメバルのリレー船が盛ん。また、カレイ類も良型が多く、活きイワシをエサに狙うヒラメも高実績。冬場はタラが100m以浅のツブ根に接岸し、ジギングが楽しい。小名浜沖は根魚も狙えるが、深場のタラ、メヌケが高人気(タラは小名浜・北茨城沖が事実上の南限)。茨城でメジャーなハナダイ釣りも楽しめ、近年は鯛カブラも流行の兆し。
●陸:小名浜と相馬(松川浦)の南北の2大港湾を柱に、中小漁港が点在する。漁港・港湾とサーフが主な釣り場で エサ釣り、ルアーのアイナメ、ソイや投げ釣りのカレイがターゲット。サーフでスズキ、ヒラメ、イシモチを狙える。
【会津・中通り】
山間に中小の河川網が広がり、アユやイワナ、ヤマメを狙えるポイント多数(阿武隈川水系は依然禁漁の河川あり)。冬は桧原湖などでワカサギ釣りが盛ん。