防波堤から狙う庄内の寒クロ
今冬の庄内は例年以上にシケる日が多く、釣況的にもやや不安定だが、40~50cmの良型クロダイもポツポツ上がっている。取材日も荒れ気味の中、なんとか釣果が期待できそうな防波堤の港内側でクロダイを狙った。
※2012年1月掲載時の情報です。
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まずは荒れていても釣れそうな場所を選ぶ
連日、荒れることの多い冬の庄内。外向きの磯に立てる日は少なく、漁港内や内向きの磯が主な釣り場になる。解説の石塚則一さんは、毎年1月3日に釣友と初釣りをしていて、「どんなに天気が悪くても3日には4人か5人くらい集まって竿を出しています。今年は8人が初釣りに参加しましたが、予報では3mの波との情報。どこで釣ろうか迷った末に、多少の波があっても8~10人くらいは並んで竿を出せる米子漁港に行くことにしました」
米子漁港の先端付近は、磯に立てないときでも釣果が期待できる激戦区。波が上がると大型が防波堤沿いに港内に入り、また港内に濁りが入って、丁度いいポイントが出来上がる。例年、寒クロシーズンには好釣果に期待できるポイントなのだが、今シーズンはコマセを効かせてもあまり魚が騒がず、まとまった釣果はなかなか望めないのが現状だ。
潮を読み、サラシの下に仕掛けを潜らせる
米子漁港の先端部は水深が10mほどと深く、岸壁のキワ付近からケーソンが張り出して段になっている。そのケーソンの崩れた部分やエグレなどにクロダイは着くのだが、前述の通り今冬のクロダイは活性が上がりにくく、ポイントからあまり動かない。そのため、作戦としては、底のポイントにしっかりコマセを効かせて、付けエサを魚の口元まで届けてやることが非常に重要になる。
米子漁港のポイントの攻め方について石塚さんは、「冬の北風が吹くときは波も一緒に北寄りから入ってくるのですが、米子漁港の先端付近には、地元の釣り人が『ステージ』と呼んでいる港内側に張り出した部分があって、外海から入ってきた波はここに当たって反転します。すると、外海からの流れと反転流がサラシを作り、反転流は下にもぐって底潮になるんです」
流れがぶつかってできる潮目は足下から沖に払い出す方向に出るので、通常はこの潮目がポイントになる。だが、今季は水温のせいなのか、クロダイの動きが悪く、払い出しを狙ってもなかなか釣れてこないそうだ。「この日も同様の状況で、本命が着いているポイント付近を直に攻めて、ようやく釣れました。当然、根掛かりは多くなりますが、底潮に乗せてケーソンのキワにエサを届けないと難しかったですね」
クロダイの目の前にエサを届ける!
2枚潮のような状況でケーソンのキワを攻めるには、仕掛けと付けエサを反転流に乗せて下に届けた。といっても、波と反転流のサラシが激しく、水深も10mほどはあるためこれがひと苦労。石塚さんは、竿2本分(10m前後)の仕掛けが底を這うように、やや下を重めにガン玉とスリーブ位置を調整し、さらに2ヒロほどのハリスを底潮に流して食わせる設定。ハリスを自然に流すため、基本的にハリスにオモリは打たないが、そのかわりにハリは軸太で重めの伊勢尼8号を使用した。
石塚さんは普段から立ちウキをメインに使っているのだが、ウキの特性に慣れると水中の仕掛けの状況が手に取るように分かるという。「仕掛け投入直後のウキはサラシにもまれて倒れていますが、仕掛けが潮に乗ってくるとウキが斜めになってきて、糸が張って仕掛けが通るとウキが立ちます。底潮をとらえた後は、仕掛けは斜めに張って底に安定した状態になります。ただし、下が重めの仕掛け設定にしているので、アタリのウキへの反応はすごく微妙。それでも立ちウキの場合は、目盛りの微妙な変化を読み取りやすいので、小さなアタリの変化もいくらかは取りやすいと思います。また、中にはアタリがハッキリと出る活性の高い魚もいて、この日も私の隣の釣り座から、30cmほど横を流していた伊藤さんのウキがスポンと消し込んで、クロダイが釣れてきました」
コマセは適度な粘りを持たせて、拡散しつつもしっかり底に沈むように配合。普通のウキフカセ系のほか、ダンゴ系の集魚材を混ぜるのもアリ。エサ盗りのフグも多いのだが、フグとクロダイのポイントは比較的ハッキリと分かれており、フグの場所から1~2mほど離れるとアタリがあればクロダイというケースも多い。今回のように仲間うちの釣行なら、50cmくらいの間隔に並んで、互いに情報交換しながら釣るといいだろう。
内湾のポイントでは寒波が続くと急激に水温が下がりやすく、クロダイの活性にも大きく影響するが、寒気が緩めばまだ十分にチャンスはある。石塚さんは1月9日にも小岩川で35cm、37cmを釣っているし、フィッシング庄内に持ち込まれた釣果情報では、1月6日に鼠ヶ関で54cmの大型が上がっている。
「鼠ヶ関周辺は波が高くても釣りをできる場所が多くて、米子漁港でも波を被ってしまうような4~5m以上の波でも竿を出せる所があります。寒クロの季節は釣れる人と釣れない人がハッキリ分かれることも多いのですが、その日のコンディションや潮に合わせて、釣れる場所とタイミングさえ読めれば良型を手にできる確率はかなり高まりますよ」
防波堤先端付近に2本突き出している小突堤の先端側(通称ステージ)から防波堤先端までの間がこの日の釣り座。外海側の1段高い部分とテトラ帯はかなりの高さがあるのだが、波高がさらに上がると波を被るので注意が必要
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鶴岡の浜近くで育ち、庄内磯を知り尽くすベテランクロダイ師。気さくな人柄で後進のアングラーからも慕われている。クロダイ、マダイ狙いのフカセ釣りのほか、ダンゴ釣りやアジなどの小物系も大の得意
※写真・解説/石塚則一
※取材協力/フィッシング庄内鶴岡店(山形県鶴岡市)TEL:0235-24-8205
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