宮城&岩手の子持ちナメタガレイ釣りガイド[3]宮古重茂編
宮城、岩手のナメタガレイ釣りについて、針生秀一さんが紹介します。塩釜沖、亘理沖に続くラストは岩手県宮古市の重茂沖。陸、船のナメタガレイ釣りのメッカとしても知られるトドヶ崎周辺は険しい岩礁帯が続き、ナメタガレイ釣りの醍醐味を感じることのできる釣り場です。後半はリレーでヒガレイ釣りも!
本州最東端のとどヶ崎でも知られる重茂半島
2016の竿納め、12月26日に釣行したのは宮古重茂半島。ナメタとヒガレイというリレー釣りです。「上州屋新盛岡店」スタッフの富澤さんと盛岡市で合流して重茂港に向かいました。
午前6時に到着。重茂港の岸壁には数艘の釣り船に明かりが点いて、釣り人が準備しています。私たちも防寒装備を整えて乗船する「さくら丸」へ。木川信保船長に挨拶して乗り込みます。
当日は4名の乗合で、私たちは右舷に。私はミヨシ、富澤さんはトモに席を定めてタックルをセット。まずはナメタからと6時半に岸壁を離れて、10分ほど走ったトドヶ崎の手前のポイントから開始です。
オモリは40号。私は三浦屋式直結2本バリ仕掛けにアオイソメを刺して投入。富澤さんは重茂スタイルと呼ぶトンボ天秤に中通しカメオモリの仕掛けです。
水深は15mから35mという小山のような根です。重茂のナメタ船釣りは、このような険しい岩礁帯を釣ります。ナメタ、アイナメの磯投げ釣りが盛んな重茂半島。その断崖絶壁からの釣りでイメージされる、険しい地形が海中に続いているのです。
こんな険しい根を釣るために生み出されたのが、重茂スタイルと呼ばれる釣法。元々は磯投げ釣りで使われていたトンボ天秤、中通しオモリの仕掛けを船釣りにも転用。2.4~2.7mほどの長めの竿を使い、険しい根の駆け上がりや岩棚に仕掛けを置くようにして探り、流しに合わせるように移動させていくのです。
小突きで誘い釣れば、凸凹の岩礁で根掛かりが頻発してしまうので、磯投げでの攻め方を船釣りにも取り入れた釣り方です。険しい根の起伏を操作の幅が大きい長めの竿で凹凸を越えて仕掛けを移動させる。それで長めの先調子がマッチするのです。トンボ天秤から出たハリがフワッと漂い広くアピールして、カメオモリから出たハリが底で食わせるという組み立て。コヅキで誘い釣るのとは対照的な釣法です。
そんな重茂スタイルで釣る富澤さんは、シマノ「ベイゲームXカレイ180」という短めの竿を使用。マメに底を取り直すように誘って竿の長さを補い、アイナメ、マゾイ(キツネ・タヌキメバル)、ゴイチ(エゾメバル)を取り込んでいます。
当日はうねりも穏やかで潮も速くなかったので、短い竿でも瞬時の操作が十分にできたようです。左舷では50cmクラスの大型アイナメもタモ取りされました。私にもマゾイ、アイナメと釣れ続きましたが、ナメタは上がらず移動します。
トドヶ崎灯台から南沖のポイントで投入。ここも水深30~50mの険しい岩礁帯で、高低差は10m以上あります。電動リールの巻き上げ音に振り返ると、左舷ミヨシの方の竿が強く引き込まれています。タモが出て、取り込まれたのは本命のナメタ。船中一枚目は45cmくらいある良型です。
重茂の良型ナメタガレイ連発!
潮上りして投入。サミングを入れて落とし込んでいると30mくらいで着底、これは根の頂点のあたりか。ギザギザのボトムを撫でるように上下して、オモリを底に置いた瞬間にグッと止まるアタリ。そのまま竿を立てていくと、底に張り付くような重量感から、ズンズンと強く引き込んできました。巻き上げてくると強くうねる引き込み。タモ取りしたのはナメタで43cmのサイズです。
やはり、食い気のあるナメタは根の上に出てきて、エサを待ち受けています。木川船長は一旦流し替え、ピンポイントを狙うように船を立てます。着底して底を取り直すようにすると瞬間に強いアタリ。これは38cmの大型ゴイチでした。続けて左舷ミヨシの方が2枚目のナメタを上げて、再度潮上りすると富澤さんも45cmとナメタが連発です。
好ポイントには釣り船が集まってきます。木川船長の引き出しは多く、重茂半島地磯の断崖を望むところに移動します。以前に重茂の磯投げ釣りにきて、姉吉キャンプ場から自然歩道を歩き、このあたりまできて釣りをしたなぁと思い出しました。
投入するとゴツゴツというボトムです。ナメタを釣るためには仕掛けを底から離すわけにはいかない。窪みのようなところに入れると瞬間にググッとアタリ。引き出すように竿を立て、手早くリールを巻きます。ナメタを思わせる引き込みはサグネサブロウと呼ばれるフサギンポでした…。
すると富澤さんが46cm、左舷で40cmとナメタが続き、撮影している間に、再度、富澤さんが大きく竿を曲げています。水面に見えてきたのは大型のナメタで私がタモ取り。当日最大の52cmという立派なサイズです。重茂のナメタは肉厚の磯ナメタという風貌で迫力ありますね。これでヒガレイ釣りに転向。山田湾側に向かって走ります。
今シーズン絶好調の三陸ヒガレイ(ムシガレイ)
千鶏沖でスローダウン。皆さんヒガレイ仕掛けに替えて投入です。私は片天秤に全長80cmの3本バリで、先バリのサルカンのところに夜光ゴム管2cm、ガン玉2Bという仕様。エサはアオイソメに、「釣りえさマリン」で購入した生きエビとオキアミ2Lを、それぞれのハリに刺しました。ハリはオキアミ、生きエビを使うために、ヒネリのないオーナーの速攻カレイ14号を結びました。
すぐに富澤さんが竿を曲げて電動巻き上げ、ヒガレイを抜き上げました。30cm級の良型です。エサはサンマ切り身で、特に冬場のヒガレイ釣りには食いつき抜群のエサのひとつ。これでヒガレイを連発です。
私も大き目のストロークのコヅキから、底からオモリを1mくらい上げて、エサを潮に乗せるイメージで漂わせて誘うと、ググン!と強いアタリがきました。アワセを入れて巻き始めると、底際でグイグイときます。
魚体を弾ませるような弾力感のある引き込みをするのがヒガレイで、これが魅力です。水面から抜き上げると、これも30cmクラスの良型でした。
底は硬めの砂地で誘いやすく、緩急つけた上下から細かく早いコヅキ、そして底からオモリを上げてフワッと潮に乗せるという組み立て。やはり生きエビ、サンマ切り身に反応よく掛かってきます。アオイソメには小型が多い傾向です。
小型のタコにマガレイも釣れて、皆で数を重ねて午後2時に沖揚がり。富澤さんはヒガレイ18枚にマガレイ2枚。私はヒガレイ16枚、マガレイ2枚でした。2時間足らずでこの釣果、ヒガレイも好調です。ナメタは40~52cmを船中7枚にアイナメ、マゾイ、ゴイチ、メガラにタコでクーラーが埋まりました。
木川船長によれば、ヒガレイはイワシに着いていて、その反応に当てて流すのでポイントの筋は日々変わるが、魚影は相当に濃いとのこと。まだ水温は高めですが、水温が下がってくると、ヒガレイにはサンマ切り身のエサが一番だと言います。
好調のメガラ(オキメバル)とともに、この冬はヒガレイ(ムシガレイ)、ナメタ(ババガレイ)も楽しめるでしょう。本州最東端の重茂半島の釣りはロマンありますよ!
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※取材テキスト・写真提供/針生秀一