旧北上川サクラマスの狙い方を武山重之さんが解説
2023年3月末、前日、旧北上川で4本のサクラマスをキャッチした武山重之さんに同行。釣った時のパターンを再現しつつ、スプーンのエキスパートの釣り方を動画をまじえながら紹介します!
中禅寺湖解禁釣行前の午前中に旧北上川で実釣
2022年度の年度末となる2023年3月31日、年度末の忙しいはずの日に旧北上川のサクラマス釣りの取材を行った。がまかつ・フォレストフィールドスタッフの武山重之さんは前日4本のサクラマスをキャッチ。この日もまだ釣れそうだとの連絡を受け、朝6時過ぎから同行させていただいた。
翌日4月1日は毎年恒例となっている中禅寺湖のレイクトラウト解禁釣行(関連釣行記)の予定が入っている武山さん。午後からは栃木へ移動するため、取材は午前中勝負。
「昨日は朝だけで仕事に行くはずだったんですが8時頃に1本釣れてしまって、コンディション的に『これは釣れるな』と、急遽休んでやったところ、8時から約2~3時間おきに10時、13時、17時と4本を釣りました」
「一昨日はフックにゴミを拾うような状況だったんですけど、昨日いいなと思ったら案の定出ました。今日も運が良ければ出るかもしれません」
場所は旧北上川の脇谷閘門から三陸道下周辺のエリア。前日、最初は右岸側から始めたが、左岸側が釣れ出したのをみてすかさず移動。移動後、左岸で4本をキャッチしたとのことで、この日は前日良かった左岸側からスタート。
脇谷閘門(わきやこうもん)付近の旧北上川。なお、水門から200mのスロープ付近までは周年禁漁なのでご注意を!
かなりの濃霧の中 左岸側から釣りを開始
この日の朝はかなりの濃霧で、対岸側の見通しがきかない条件。
「今日は霧が晴れて太陽が射した瞬間に誰かに釣れると思いますよ。水温は10℃くらいに上がって鱒の活性が上がってきてはいるけど、もう少し時季が進まないと朝マヅメから釣るのは難しいです」
前日の状況として明るくなると魚の動きが活発化し、もじりなども見えるようになった。鱒の活性が上がる目安となる水温が10℃くらい。渓流のヤマメなどもこのくらいの水温から活性が上がることが多く、サクラマスも遡上しやすいのではないか、というのが武山さんの考え。そのタイミングに合わせて魚が入ってくるだろう良いポイントで、魚が差して来るのを待ち構えるのだ。
この日の釣りのイメージを解説
20mくらい先の流れの筋を狙いキャスト。流心の奥側でボトムを取り、クロスからダウンクロスへとスイミング。前日の4本は流れの筋を抜け、スプーンがターンしきって上流側へ上り始めたところでのバイトすることが多かった。
「流れの中をスイミングさせ、流れに着いている魚がスプーンを追って、流れの筋を出た瞬間にバイトするイメージですね。今は20m先ですが、流心が遠くになればより遠投して泳がせます」
3月下旬の釣行記に掲載した春分の日の釣行(参考リンク)で武山さんは、「アップクロスからクロスに入ったところでヒットが多い」と言っていたが、シーズンや魚のコンディションによりヒットするパターンが変化してくるので、その時々の状況をつかむことが必要となる。
水位が下がり始め状況が変化!右岸側へ移動
釣り始めから1時間ちょっとが経過した午前7時半頃、まだ霧が晴れずはっきりみえないが、どうやら対岸側でマスが釣れた様子。
ベストなコンディションだった前日と比べ水が減り始め、川岸をみると5~8cmほど水位が下がっていた。同じポイントでスプーンを流していても、明らかに押しが弱いと感じた武山さん。
「もしかしたら今日は対岸側(右岸)の方が流れが効いているのかも。対岸で掛かっているのは昨夜川に入って、障害物などにステイしているような魚で、ルアーを追っているわけではないかもしれませんけど」
左岸側は回遊して動いている魚を待ち伏せするパターンなので、陽が射して魚が動き出さないことには期待できない。しばらく粘ってみたが霧が晴れず状況も変わらないため、午前9時頃、川を渡りちょうど向かいあたりの対岸側へ移動した。
鱒の警戒心が高まっているのかバイトがあっても渋い
三陸道の下から堰下の周年禁漁区のあたりまで歩いて入れるポイントが点在する(駐車場所は周囲の迷惑にならないよう注意すること)。この日は他の釣り人もほとんど見られなかったので、魚が着いている場所を探してここをラン&ガンした。
「スプーンの釣りはある程度、距離を流す必要があります。私の場合は他の人がやらないような水深が浅い場所を超遠投して狙って釣ることもあります。ただ、釣っているのを見て真似しただけでは根掛かりばかりで、なかなか釣れないと思います」
長年の経験をもとに、根掛かりのしやすさや魚の回遊ルートなどを把握し、そのうえで狙いどころとタイミング等の条件が整わないと釣果は上がらないようだ。
対岸に移動して2か所目で1回アタリがあった。が、その後が続かず。ランガンするうちにすっかり霧が晴れ、当初釣れるはずだった8時を回っていた。
「こんなはずではなかったんだけど」
最初釣った左岸側に戻ってみると、武山さんの居ない間に常連さんが1本釣ったとのこと。やはり陽の射した直後だったそうで、釣りはなかなか思い通りにはいかない。
武山さんが最初のポジションに戻り、1投目。「ドンッ!」とはっきりしたバイトがあったものの、フッキングせず。
「やっぱりここでしたね。流れの筋から出て、ターンしきったところできました。だいぶ手前側の所まで追ってきてバイトする感じ。水が澄んできたうえに、叩かれてプレッシャーもあるから警戒心も高くなってきているんでしょう」
この日はもじりも昼頃に少し見えた程度で魚の動き自体が少なく、もしかしたら前日までの増水で多くの個体が堰の上流側に遡上してしまったようだった。
水位が下がった状態であればゴールド系のカラーを使ったり、18gにサイズを落としたり、釣り方を変えてパターンを探る必要がある。
フッキング率を上げる がまかつフックのセッティング方法
バラシを減らしキャッチ率を上げるため、武山さんは初期貫通が重要と考えている。貫通性の優れたフックがしっかり刺さり、フトコロでホールドできればそう簡単にバレることはないそうだ。
フックをしっかり貫通させてバラシを少なくするには、「バイト反応が出た時にロッドで角度をつけてしっかりフッキングさせることが大切です」
フックは70cmクラスの大物も想定して、がまかつの「ランカートラウト」の12番、14番か「海サクラ」のSを使用している。2本のフックはサイズを少し変えて、外向きに付けることで両方向のバイトをしっかりとらえられるようにしているそうだ。
武山さんは中禅寺湖から戻った後も旧北上川に通い、雨が降った直後の4月13日も釣果を上げている。4月下旬頃も例年であれば実績豊富な盛期であり、旧北上川、追波川(北上川)ともにまだまだ釣れる可能性が高い。武山さんは5月頃からは内陸のランドロックも狙ってみるそうなので、今後の続報も期待したい。
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※解説/武山重之