[シーバス入門ガイド番外編]石巻シーバスの歩みを振り返る
ここでは石巻地域のシーバスゲームの今昔を、東北の巨匠こと村岡博之さんに語っていただいた。まずは、村岡さんがスズキを釣り始めた頃まで時代を遡ります。
ルアーの種類も少なく手探り状態からスタート
シーバスを始めたのは、今から30年くらい前。石巻シーバスフリークの前身の石巻ルアーアングラーズクラブでは最年少の16歳だった。その頃のルアーといったらラパラ。それも5~7cmのCD(カウントダウン)だね。
でも、お小遣いが3,000円くらいの時代だから、高校生にはなかなか買えなくて、かわりに600~700円で買えるバルサミノーがあったんだけど、こっちはちょっとぶつけるとすぐに壊れた。たまたまプラモデルが好きだったから、壊れて残ったボディなんかにリップを付けてルアーを作ったのが、ハンドメイドをするようになった始まりだね。この頃から、スプーン、ワーム以外のルアーはほとんど買っていないと思うよ。
当時よく釣りをしていたのは、石巻工業港と旧北上川の河口。釣れる魚はアベレージが40cmくらいで、60cmまでいかなかった。50cmいけばデカい!って感じ。
当時は専用タックルも無くて、6ft台のトラウトロッドを使っていた。当時、「ラインは細い方が偉い」みたいな美学があってね、みんなナイロンの6Lbくらい。そのうち、夜に狙うようになると魚がデカくなった。合わせてルアーのサイズも7~9cmくらいになったけど、ラインはまだ細いままだったね。
そして釣りキチ三平が始まると、今度はベイトキャスティングのタックルが流行り始めた。当時の一番人気はやっぱりアンバサダーの2500番。でも、当時はなかなか手を出せなくて、シマノのバンタムやリョービのキャスプロ、ダイワのファントムといったあたりを使ってたね。
ロッドの長さも7~8ftくらいまで長くなってきた。このベイトのブームが終わって、スピニングに戻ったのが20歳頃。この頃は、リアドラグのダイヤモンドマイコンとかカーディナル、オリムピックのシャルマンなんていうのが人気だった。
ルアーはまだ、シンキングミノーが主流だったんだけど、いつからか夜にフローティングミノーを使うようになった。そしたら60cm、70cmと釣れる魚がまたデカくなってね、『夜の魚は上ばかり意識している』ということに気付いたのがこの頃だった。
ナイトゲーム、バイブレーション、… シーバスゲームが多様化!
フローティングで釣り始めたのが25、26歳の時で、バイブレーションが使われ始めたのもこの頃から。バイブレーションと言っても、最初はみんなラパラのラトリンラップしか使って無かった。もちろん、当時からバイブレーションは他にもあったんだけど、ラパラからラトリンラップが出た時は、「ラパラなら釣れるだろう」とみんなが思ったわけ。一斉に使い出して、実際によく釣れた。
ラトリンラップを使うと、今まで獲れなかった距離、レンジから魚が出せるようになった。もちろん、ラトリンラップだって(最近のルアーみたいに)そんなには飛ばないよ。それでもCDの飛距離とは全然違うからね。その後、バイブレーションをめぐっては色々ゴタゴタがあるわけだけど‥。
PEラインが登場したのも、バイブレーションを使い始めたのと同じ時期で、ここで細いラインの美学は無くなった。釣れる魚もデカくなっていたしね、
夜に狙うようになってサイズがよくなって、今度はシンペン(シンキングペンシル)を使ってみたら、これが爆発的に釣れた。ただ、だいぶ前からリップレス(ミノー)はあったけど、東北ではあまり流行らなかったんじゃないかな。
リップレスのさきがけと言えばラッキークラフトのワンダーなんだけど、このルアーはバス用からの流用だった。そこで、「ソルト用のシンペンも作りましょう」ということで、ショアインプレスがクーバを作ったワケだけども、あの頃は時代がついて来なかった…。
その後、シンペンが色々と出てくるようになって、今や追波川はほとんどシンペン一色。シンペンは流れに弱いって言われてたけど、それは初期のワンダーなんかの時代の話で、最近は流れに強いモデルが各社からどんどん出てきている。それで実戦でも使えるようになったのが大きかったかな。
リバーシーバスは、捕食のために川に入ったシーバスを狙うことがほとんどだから、デカい魚でも口を使う確率がかなり高い。もちろん、川だって居ても食わないやつはいるけどね。海だと見えてても食わないやつが結構いるのに比べれば、食い気はあると思う。川だとあまり魚が見えないというのもあるけどね。
某SC誌の取材でもよくやったけど、リバーシーバスが流行った時は、結構、川の上流まで調査したね。石巻周辺河川の上の方は大きい魚はいなくて、よくて50~60cmくらいかな。でも、ここで釣れるか?というようなところでも釣ったね。鳴瀬川ではヤマメとシーバスを同じポイントで釣ったこともあった。
シーバスはどこまで溯るのか?追波川は大きな堰(北上大堰)があるから溯上できないけど、堰が無い川であれば、迫川にも入るし、涌谷あたりの江合川にもいるよ。鳴瀬は小牛田の堰堤あたりまでいる。天然の稚アユが溯る場所であれば十分釣れる可能性はあるというのが定説。
確実に言えることは、シンペンで釣るようになってから、シーバスが劇的に面白くなったってことだね。シンペンを使うと、自分で釣ったという感覚が大きくて、何というか、玄人っぽさ?みたいなものがあるんだよね。あの楽しさを、もっと多くの人に知ってもらいたいですよ。
※この記事は携帯版釣りコラムで掲載したものを編集し、再掲載しました(2012年6月初出、2017年9月加筆修正)
※画像・テキスト/村岡博之
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