釣り餌に使うイサダアミ(アミエビ)オキアミとの違いや種類を解説
例年2月末~3月頃になると三陸イサダ漁のニュースが入ってきます。このイサダというのは、サビキ釣りやコマセ釣りなどの寄せ餌に使うアミエビ(赤アミ)のことで釣り人にも魚食魚のベイトとしても重要な種。このイサダや砂浜で獲れるイサダなどのアミの仲間についてまとめてみました。
イサダ・アミエビ(ツノナシオキアミ)
イサダアミ、赤アミ、コマセアミとも呼ばれる赤ピンク色の小エビに似た甲殻類。釣りエサとしては冷凍ブロックや塩漬けで売られているほか、干しエビなどの加工食品や養魚場の飼料用などにも利用されている。
三陸沖で春先に獲れるイサダは正式名をツノナシオキアミという種類。寒流系に生息し、春先の親潮の南下とともに三陸沖に回遊してくる。毎年、決まった時期にまとまって漁獲されることで需要を満たしてきたが、近年は海流、海水温の変化により春先の親潮勢力の南下が弱くなり、不漁に終わるシーズンが多くなっている。
―三陸でイサダが獲れなかった年もアミエビは普通に売っているけど?
‥韓国などから似たような小型のエビ類(同種かは不明)を輸入するなどしてまかなっていたようだ。韓国においても赤アミはキムチの発酵材料などに使われる重要種。需要が高まることで、韓国でのアミエビの価格も上昇傾向にある。
三陸のイサダは親潮系の冷水が強かった2022年の春は好漁だったものの、近年は不漁の年が多くなってきている。世界的な海水温の上昇などに関連し、東北太平洋側でも暖流の影響が強まってきていて、魚種相も暖流系の魚が目立つ傾向にあるのと同様の現象と考えられる。今後は今以上にイサダアミが手に入りにくくなる可能性も。
イサダ類が餌になっている時は魚の目が小さいベイトに向いている。小魚を模したメタルジグなどへの反応が悪くなり、「マイクロベイトパターン」などと呼ばれるテクニックが有効になる。ティンセル、バケや魚皮、点発光などで数mmサイズの小エビの動きを演出してバイトを誘う。
砂浜のイサダ(コクボフクロアミ)
イサダと呼ばれるもう一つのアミ類が、砂浜の波打ち際で獲れるフクロアミの仲間。以前は春のタナゴ釣りのシーズンなどに砂浜に網を入れて、ドンゴロスなどに砂と一緒に入れてコマセに使う釣り人がみられたが、近年はアミエビが手に入りやすいこともあり手間のかかるイサダ採りを行う釣り人の数は少なくなっている。
砂アミがみられるのは砂浜海岸の波打ち際。淡いピンクの沖のイサダとは異なり、生きている時は透明で、波が打ち寄せられる周辺をぴょんぴょんと跳ねている。甲羅の硬いハマトビムシや、横向きに泳ぐヨコエビの仲間なども同じような砂浜の汀線付近でみることができる。
採捕用の網については、以前は三陸沿岸でイサダ網と呼ばれる専用の網が販売されていたが、震災後はあまり見かけなくなった。魚用の市販網は目が大きすぎるので、イサダを狙うために目の細かいネットで自作している人もいる。
オキアミ(ナンキョクオキアミ)
アカアミやイサダより少しサイズが大きく、磯釣りの付けエサやコマセに使われるオキアミ類。南極オキアミの商品名で販売している物があるように、南極圏で漁獲されたものが多いようだ。近年は温暖化による流氷の減少により、ナンキョクオキアミも減少傾向といわれている。