サクラマスとギンザケなど東北で釣れるマス類の見分け方
震災のあった2011年、三陸の養殖イケスで出荷を控えていたギンザケが大量に逃げ出し、東北太平洋側の各地で釣れ盛ることがあった。2015年現在、そのようなことは無くなったものの、復興した養殖施設から逃げ出すなどしたギンザケが釣れることがある。一見するとサクラマスとソックリなギンザケの見分け方をまとめてみた。
[2021年追記]サクラマスと一緒に釣れることのあるシロザケ、マスノスケの項目を加えました。
[2024年追記]近年、養殖されている三陸トラウトサーモン(ニジマス)について追記しました。
ギンザケ
宮城県でみやぎサーモンなどとしてブランド化されているのがこちらの銀鮭。英名Silver Salmonと呼ばれ、銀色の綺麗な魚体の魚だ。
【特徴】
・尾ビレの後縁の切れ込みが少ない。
※養殖ものの尾ビレは崩れ気味になっていることが多い。
・しりビレの縁はまっすぐ直線的。
・脂ビレが大きい。
・尾ビレの銀白色の部分がかなり目立つ。
【参考資料】いわての魚類図鑑「サケ・マス類」(岩手県水産技術センター)
サクラマス
ヤマメの降海型個体。山上のダム湖などには陸封型サクラマス(ランドロックサクラマス)が存在。近縁種(亜種)にアマゴの降海型サツキマスがいる。
【サクラマスの特徴】
・尾びれの後縁の真ん中が切れ込む。
※天然魚のサクラマスは尾ビレの先がピンと尖っていることが多い。
・しりビレの前の方が白く伸びる。
・脂ビレが小さい。
・尾ビレの銀白色の部分はギンザケより小さい。
【別名・地方名】
ママス、ホンマス
※岩手県ではサクラマスをママス、カラフトマスをサクラマスと呼ぶことがあるので注意!
【参考資料】いわての魚類図鑑「サケ・マス類」(岩手県水産技術センター)
カラフトマス
津軽海峡や三陸沿岸に春先に接岸し、サクラマスと混同されることがある(マスジギングでサクラマスと混同されていることも多い)のがこのカラフトマス。三陸地方ではサクラマスが「ママス」と呼ばれるのに対し、このカラフトマスのことを「サクラマス」と呼ぶため注意が必要だ。サクラマスに比べると小型の種類で、見た目は背が青っぽく、ウロコが小さくポロポロと落ちやすい。青緑色っぽい体色から「アオマス」とも呼ばれる。産卵のため遡上したオスの個体はセッパリマス(背が盛り上がる)になり、三陸の閉伊川などにも遡上する。
【参考資料】いわての魚類図鑑「サケ・マス類」(岩手県水産技術センター)
マスノスケ
和名マスノスケ、通称スケマス(英名King salmon、Chinook salmon)はキングサーモンの名の通りサケマス類の王様。最大2mにもなり、ロシア、アラスカの北の海に生息。三陸の河川には遡上しないが、春のサクラマスシーズンに南下回遊したものが漁獲、釣獲されることがある。三陸で釣れるのは1m、10kg程度までだがそれでも大きく太公望を魅了する。
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シロザケ
東北各地の河川には秋に遡上するシロザケ(サケ)。秋に遡上するサケは種苗放流しているもので遊漁の対象ではないが、春のサクラマスのシーズンに回遊中の若い個体が混じることがある。三陸では体に対して目が大きい見た目からオオメマス。北海道でトキシラズ、ケイジ(鮭児)と呼ばれるものと同じで、非常に美味。
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ニジマス(トラウトサーモン)
寿司ネタ、鮮魚のサーモン人気上昇により、三陸トラウトサーモンとしてニジマスの海面養殖が盛んになっている。上記のサーモン養殖(ギンザケ)と同様に三陸沿岸各湾で養殖筏がみられるようになってきたが、イケスから逃げたトラウトサーモンがマスジギングや堤防釣りで釣り上げられるケースが増えてきている。
降海型のニジマス(スチールヘッドトラウト)の形態は他のサーモン、トラウト類と同じ銀色の魚体だが、銀化してもニジマスの特徴である体側部、ヒレの黒点が多数みられる。体の大きさの割に頭は小さく丸みをおび、養殖魚の場合はヒレは短い個体が多い。