東北の岸から釣れるカニ類を紹介(ワタリガニ、クリガニ等)
投げ釣りやカニ網のほか、メタルジグなどのルアーに釣れてくることもあるカニ達。砂地を好むワタリガニ類のほか、東北ではケガニの仲間のクリガニ類もたびたび釣り上げられる。ズワイガニなどと比べるとやや小ぶりながら、汁物などにして非常に美味な沿岸のカニ類を紹介する。
ガザミ
ワタリガニ類の代表種。過去に仙台湾では種苗放流されたこともあったが、目立って増えるようなことはなかった。それが2011年の震災後は海洋環境(底質など)の変化などにより爆発的に増殖。岸から大型のガザミが爆釣状態になるほど個体数が多くなった。関東より西の地方ではより暖かい海を好むタイワンガザミが増えているが、東北でみられるのはほとんどがこちらのガザミ。
2014年、大漁に獲れたガザミを仕分けする七ヶ浜の漁師さん
イシガニ
ワタリガニ類のカニでガザミと混同されることもあるが、最大でも10cm弱とサイズが小さめで、甲羅の左右が突出しないで丸みをおびていることで見分けられる。
砂地を好むガザミやヒラツメガニに比べると岩礁帯に多く、カニ網だと根掛かりするようなポイントからも釣れてくる。食材としてはガザミより小さく、甲羅が硬いことが難点だが、汁物などにしておいしい。
ヒラツメガニ
ヒラガニ(ヘラガニ)、エッチガニ(Hガニ)などの地方名を持つワタリガニの仲間。最大10cm程度と小型で、甲羅の背にH型のような模様がある。浅い砂地を好み、砂浜(サーフ)でよく釣れてくる。
ワタリガニ類では殻が軟らかい方で、半割りにして味噌汁にしたり丸茹でにして食べられる。
クリガニ(トゲクリガニ)
スクモガニやクリ毛ガニなどと呼ばれるケガニによく似た小型のカニ。東北でみられるのはほとんどトゲクリガニ。年中釣れるが、冬から初夏の産卵期にかけて岸壁付近で多くみられるようになる。八戸港などでは冬季、カゴを使ったカニ獲りが盛ん。
ケガニに負けず美味だが、小型のため身がちょっと食べにくいのが難点。味噌仕立の鍋にするとカニミソがおいしい。
[関連]クリガニの魚種別攻略法
モクズガニ
海で産卵し、河川で育つカニで河口域や河口と隣接する砂浜、堤防などで大型が釣れる。四角い甲羅と、ハサミに毛(モクズ)がびっしりと生えているのが特徴。
中国で有名な上海ガニの仲間で茹でたり汁物にして食べられる。殻ごと磨り潰して食べる地域も。
その他のカニ類
・ヨツハモガニ
磯、藻場に生息する小型のカニ。三陸周辺ではアイナメやソイ類の恰好のベイトとして知られ、投げ釣りなどで釣れたこのカニをエサに使うことも。食用にはならない。
・イソガニ
小磯など潮間帯によくみられる小ガニ。クロダイの落とし込み釣りでカニ餌に使われることも多い。
・トゲノコギリガザミ
東北地方では本来みられないトゲノコギリガザミが2024年8月に宮城の七北田川で釣り上げられた(関連記事)。マングローブガニ、ドウマンガニとも呼ばれる高級ガニ。水温の変化などの影響か、タイワンガザミなどと同様に本来みられないカニも出現するようになってきた。
・ショウジンガニ
磯や岩礁帯などでみられる赤色のカニ。関東より南の地方に多く、東北の北部ではあまり見られない。小型のカニながら汁物などで食べられる。