宮城の投げ!2024年秋シーズン後半~初冬の投げ釣り事情
秋の宮城の投げ釣りといえば投げカレイが定番だったが、最近は年々シーズンが遅くなり難しい状況になってきている。かわりに多彩な新魚種を狙えるようになり、良型の本カワハギや太刀魚などが陸っぱりから釣れてくるようになった。2024年秋の釣りを振り返りながら、これから冬場のターゲットについて仙台広瀬キャスターズ・東海林誠さんに解説していただきました。
(2024年12月掲載)
※釣りは工事中や立入禁止の場所に注意し、ルール、マナーを守って楽しみましょう。
【釣りのルール、マナーについて】
仙台広瀬キャスターズ所属&アトミックスライダー投フィールドテスターの東海林です。読者の皆様には、いつも釣行記をお読みいただきありがとうございます。
さて今回は、秋シーズンにおける前半&後半の投げ釣り事情と、毎年11月に開催される『全日本カレイ投げ釣り選手権大会』&『仙台広瀬キャスターズ12月釣行会』の釣況について紹介してみたいと思います。
海水温の変化による影響は年々大きくなっている
初めに、過去記事でもたびたび触れていますが、全国的に海水温の上昇が話題になっており、宮城県に於いても例年より+3~5℃高いとの情報が。
※ちなみに、宮城県南三陸町志津川では、来年春の水揚げに向けた養殖ギンザケの稚魚放流が、あまりに高い海水温のため1ヶ月遅れてようやく11月末に始まったそうです。
高水温の影響で、数年前までは投げ釣りであまり見かける事が無かった良型のカワハギやコトヒキ、マハタやコブダイなどが釣れたり、また、ヒレが極端に長いイトヒキアジや、全身派手なブルーのナンヨウハギ、真っ黄色のチョウチョウウオなど南方系の回遊(死滅回遊魚?無効分散?)も何度も現認しました。
近年はエサ盗りのフグの活性も非常に高く、活性が下がるはずの厳冬期ですら活発に針掛かりし、しかも厄介な事に今まで定番のクサフグ&ヒガンフグに加え、近年はショウサイフグやキタマクラなどもかなり増えてきており、高価なエサのユムシですら数分で完食&針ごと無くなる惨状です。
今年の秋シーズンの振り返り:アジ、キスが好調
さて、今年の秋シーズン前半の振り返りですが、夜釣りでウナギ釣りに数回出撃し、こちらは高水温の恩恵もあってか丸々と肥えた個体が多く見られ、初冬にかけてさらに脂が乗った極太サイズに期待できそう。
また、日本海側のキス釣りも、よほど海が荒れていなければ手堅く数釣りが楽しめ、晩秋~初冬にかけては、産卵を終えて深場へ落ちる前の荒食いと言われる『落ちギス』シーズン突入となり、良いサイズのキスばかり釣れる事も。高水温のため、落ちギスシーズンも例年より少し伸びそうです。
それと、特に今年は宮城県各所でもかなりの数のキスが釣れており、ポイントによってはフグやチャリコ(マダイの幼魚)に邪魔されつつも、12月に入っても数が釣れていて、こちらも高水温のおかげと言えますね。
そして、東北の日本海では良く見られる光景なのですが、近年は宮城県の各漁港でアジの回遊が非常に多くなり、極小ワームの『アジング』も盛んになっています。アジ釣りは、アミコマセを撒いて群れを寄せられればサビキ釣りでサバやマイワシ混じりで子供たちでも手軽に楽しめ、魚影が濃ければ日中でも数が釣れますし、水深のあるポイントでは30cm近い良型も。
また、常夜灯周りの半夜釣りもかなり効率的で、短時間の夜釣りで何度も入れ掛かりを体験し、息子たちもすっかりハマりました。高水温の影響で極寒の2月でも釣れ、近年は通年釣れるようになっていますね。そして、釣れたアジやマイワシを針に掛けてヒラメやマゴチを狙う『泳がせ釣り』にも出撃し、本命のヒラメ数枚と、外道でメーターオーバーのドラゴン級タチウオも❗
青イソメの房掛けで狙うスズキについてですが、こちらは例年なら大型が狙える時期のはずなのに、夏場あたりから15~25cmのセイゴクラスが相当数増えていて、着底からわずか数秒~数十秒で針掛かりしてしまうほどで、ほとんど釣りになりませんでした。ルアー釣りが有効のようです。
産卵を控えたカレイの接岸、いわゆる『乗っ込み』も高水温の影響でやや遅れ気味でしたが、10月の後半には50cmオーバーのイシガレイも釣れ、相変わらずエサ盗りのフグは多いものの、その後も順調に釣れているようです。
【11月17日】第121回 全日本カレイ投げ釣り選手権大会
去る11月17日(日)、所属するクラブの上部団体『全日本サーフキャスティング連盟』が主催し、年に1回開催される上記の大会が、北海道から九州まで全国34会場にて行われました。全日本サーフキャスティング連盟傘下のクラブ会員のみがエントリー可能で、『本賞の部』と『他魚の部』があり、本賞の部では、全国の会場の成績を集計して1番大きなカレイを釣った人が優勝となり、同寸の場合は釣ったカレイの枚数の多い人が上位に。※釣れたカレイの種類は問わず。
また、他魚の部では全日本サーフキャスティング連盟が指定している『大物対象魚』の各魚種に設定されている『大会割数』を実寸で割り算をして、ポイントが1番高かった人が優勝となります。上位入賞者には表彰&副賞があり、それぞれ上位1~3位に入賞すると、副賞として5~8万円の釣具が進呈され、差額を払えば希望する釣具に変更できるシステムです。大会1ヶ月前までの事前申し込みが必要で、参加者は希望する会場を選択します。※締切後のエントリー不可、エントリー後の不参加の場合、参加費の返却不可。
今年は福島県小名浜の会場申請が無くなったため、東北では唯一、石巻会場が設定され、毎年上位入賞を狙える会場とあって、今年も他県から多くの会員さんがエントリー。
大会はAM5:00釣り開始で、PM2:00~2:30に審査会場にて検量となります。※前日釣行および場所取り等は禁止。また、審査に遅れた場合は理由を問わず失格となり、著しい鮮度不良魚の提出も協議の上失格の対象になります。
今年もまた石巻会場の会場責任者を任されておりましたが、あいにく法事で不参加となってしまい、急遽、会場責任者を代行していただきました。
大会当日、スマホには次々と写真が送られてきてかなりハイレベルな展開になっている様子で、検量終了後、何とクラブメンバーのコウキくんが石巻会場1位との連絡が。近年好成績の北海道が荒天で低調だったらしく、後日連盟本部から連絡が入り、見事全日本カレイ優勝❗おめでとう❗
しかも今回、本賞の上位5位以内にクラブメンバーが3人も入り、他魚の部でも同クラブの大野くんが準優勝❗
大会に参加された皆様、早朝より大変お疲れ様でした。密かに優勝を狙っていた息子たちも、今年は大会に参加できず残念がっていましたが、また来年頑張りたいと思います❗
【12月1日】仙台広瀬キャスターズ12月釣行会
去る12月1日(日)、年3回開催される最後のクラブ釣行会を、メンバー32名のうち17名参加にて開催。数名のグループに分かれて、全日本サーフ大物対象魚1匹の大会割数ポイントにて競いました。
今回は息子たちの竿もそれぞれ用意し、カレイ狙いの竿2本ずつと、小針でキスやキュウセンベラでも釣れないかと準備してみました❗
夜明け前の朝マヅメに期待したものの本命のアタリは無く、相変わらず朝イチからフグの猛攻撃。それでも開始から3時間くらい経過してようやく竿尻が浮き上がるカレイらしきアタリがあり、40cmくらいのイシガレイを捕獲❗
その頃、クラブメンバーから50cmオーバーのカレイ捕獲との情報が入り、こちらも30~40cmを追加したものの、結局、狙いの50cmクラスは不発にてPM1:00納竿。
一方、小針(流線8号&ハリス3号)で引き釣りをしていた息子たちですが、フグに針ごと切られたりクロダイの幼魚に邪魔されつつも単発ながらキスが掛かり、しばらくすると強烈なアタリで40cmのシタビラメ(クロウシノシタ)を捕獲❗シタビラメも大物対象魚に含まれており、大会割数が45cmのため0.8ポイント以上(40÷45=0.889)あり、上位を狙えるとあって次男はご満悦♪
審査会場に向かい検量が始まると、次々に良型のカレイが持ち込まれ、 この日最大はイシガレイの57cm(1.14ポイント)
イシガレイの54cmが2位で、3位は同じくイシガレイ45cm。ちなみに、次男のシタビラメは4位で、パパのカレイは6位、長男のキスは11位。参加したメンバーのほとんどが審査魚提出で盛り上がり、来年は新人さんも加わり、クラブ活動もさらに盛り上がりそうです。
息子たちも自分でエサ付けから針外しまで全てできるようになったので、様々な釣りを楽しみたいと思います。
【東海林誠さんの関連釣行記】
連載:東海林誠の東北投げ釣り徹底ガイド
2010年:陸から60イシ!投げカレイ大物獲りの心得
2013年:仙台周辺サーフのヒラメ93cm!
2017年:宮城の投げ釣りで60cmホシガレイ&夜アイナメ・マダラ有望
2017年:山形マダイ投げ釣り 堤防の夜釣りで90cm大真鯛撃破!
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家業である米穀店の仕事の合間にせっせと釣り場に通う、投げ釣りマスター。最近はもっぱら子連れ釣行中心。北は青森から南は九州四国まで、大物にかける情熱が足を釣り場に向かわせる。仙台広瀬キャスターズ所属
※取材・テキスト/東海林 誠