金華山沖マダラジギング開幕ダッシュ!
深場のビッグターゲットに仙台湾で挑む
1~2月頃の産卵期にかけて浅場(といっても水深100m以上だが)に接岸するマダラは、タラキク(鱈菊)と呼ばれる白子がパンパンに詰まった今が旬の釣り物だ。
マダラの食性はとても貪欲で、貝類やイカ、タコ、小魚など、底付近にいる動くものなら何でも口にしてしまう。でっぷりとした体格のため泳ぎは鈍いが、この食性によって、ゲーム性の高いジギングの好ターゲットになっている。タラはお腹の卵巣や白子が大きくなるとあまりエサを摂らなくなるのだが、リアクションバイト(本能的、反射的な捕食行動)を誘えるジギングなら、繁殖に参加する大ダラが比較的よくヒットするのも魅力のうち。
12月5日、菊田釣センター仙台店店長の丹野正文さんは塩釜港の第一海友丸で金華山沖に出船。海友丸の瀬戸船長は丹野さんと一緒に金華山周りのタラジギングを開拓してきた、この道のスペシャリストだ。
深い水深でもしっかりと底を攻めるのが定石
タラジギングで好釣果を上げるためには、押さえておくべきポイントが何点かある。今の季節、金華山沖のマダラポイントの水深は160~250m(200m前後が中心)。この深い水深で、沈船や小さい根をピンポイントで攻めるには、直線的にラインを張って底を取ることが非常に重要となる。ラインが流されて斜めになると根掛かりの原因にもなるので、ジグは軽くても400g以上。500g前後をメインに、潮が速かったり乗船人数が多いときは500g台からさらに重めにするのが無難だ。
ラインはPE4~5号。「タラぐらい3号で十分」という人もいるが、細糸だと高切れが多発し、手返し的にも環境的にもよくない。また、ショックリーダーは80~100Lbを5~8mと長めに取る。金華山周りの高根や沈船ではこのくらいの長さが必要というのもあるし、オマツリ時、PE同士よりリーダーの方が圧倒的にほどきやすいというのもその理由。ジグとリーダーなどを接続するスイベルは、水圧のかかる深場で十分な回転性能を得られる、ジギング用でも大きめのものを使用する。
マダラは根魚。アタリも当然ボトム付近に集中する。ボトムからヒットレンジまでの幅は魚の活性や潮流により変化するが、どんな状況でも常にラインを張ってマメに底を取ることが肝要となる。もちろん底ベタのままでは根掛かりしてしまうので、底を少し切るイメージでリフト&フォール。竿先とラインの動きに注意して、フォール中のバイトに対応しよう。また、金華山沖は高根やカケアガリ(カケサガリ)が多いため、船長が知らせてくれる、ボトム形状についてのマイクアナウンスを聞き逃さないことも大切だ。
そして、初心者にありがちなのが、巻き上げ途中のバラシ。特にエサ釣りから始めた人に多い傾向として、ロッドキーパーに竿を掛けたまま巻き上げる人が散見されるが、これだとウネリをかわせずバラシ率がアップする。巻き上げは必ず竿を手に持って行い、テンションをかけながら、ゆっくり上げるようにする。マダラの口は案外弱く、ハリ穴が広がってジグの重みで外れることがあるので、糸を緩めるのは禁物だ。また、深場を攻めるマダラジギングの特性として、水深100mあたりから水圧の関係でタラが急に浮き始める。タラが浮き上がっても焦らずに、ラインを緩めないように巻きスピードで対応しよう。
寒いけどかなりアツいのがマダラジギング
この日の釣行は、今季初めての金華山マダラジギングだったのだが、丹野さんは11kgを頭に計7本をキャッチ。同行メンバーはタックルを揃えたばかりのビギナーさんが多かったそうだが、14人で計65本を釣り、十分満足の結果となった。「前の日の天候が悪かったので、ゆっくりめの6時に出船して、上がりも予定より早めました。それでも出船できれば、このように釣果は出ますから、これから始める方にはまず、しっかりとした釣り方を覚えていただきたいと思います。ディープゾーンのジギングは他の釣りとはだいぶ異なりますので、ちゃんと深場に対応できる道具立てで臨むことが大切ですよ」
仙台湾のマダラジギングはこれから2月にかけて産卵のピークを迎える。産卵直前には若干食いが渋くなるが、リアクションで食わせられるジギングなら、腹パンの大型も十分ヒットしてくる。そして、産卵が終わった3月、4月は産卵後のメロウドパターン。ライトタックルで楽しめるため、よりゲーム性が高く、こちらもかなり面白いそうだ。
釣行するにはちょっと寒い季節になったけど、シャクり始めればすぐに熱くなるので全く問題なし。キク酢、天ぷらが最高の白子だけじゃなく、身や真ダラコもうまいので、帰ったあともホックホク。「散々いろいろな食べ方を試しましたが、オススメは粕漬けにした身を鍋に入れる粕漬けナベ!真ダラコは酒、ミリン、しょう油漬けにするとご飯の供に最高ですよ」
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取材・解説/丹野正文
取材協力/菊田釣センター仙台店(TEL:022-285-9576)
第一海友丸(TEL:022-365-7589)
菊田釣センター仙台店で店長を務めるオフショアのエキスパート。定休日の水曜日と週末の日曜日はお客さんとの釣行にあてることが多く、メインフィールドの仙台湾のほか、飛島沖、小泊沖など東北各地に足を延ばす