魚は少し寝かせた方がおいしい?[熟成魚]釣った魚をおいしく食べる
TVの旅番組などでお刺身を食べてよく聞かれる、「このお魚、コリコリしてとってもおいしいです!」というセリフ。このコリコリとした歯ごたえは魚が新鮮な証拠に他ならない。もちろん活きのいい魚が手に入ったのなら新鮮なまま頂くのもいいものだが、少し時間を置いて「熟成」させることでおいしさが増す場合も多い。
蛋白質が旨味成分に変わっておいしく
魚を寝かせるとうまくなる理由は、筋肉を作るタンパク質が分解されてグルタミン酸を代表とするうま味成分が生まれるため。ただ、熟成されるということは筋肉が分解されるということなので、コリコリとした食感は徐々に無くなり、フニャフニャとした食感に変わってしまう。そのまま放置するとタンパク質が完全に変質し、腐ってしまうので、食感を残しつつ、うま味も程良く熟成された段階で食べるのがおすすめ。
お刺身を活魚のまま調理するか熟成させるかは魚種にもより、ここらへんは色々試した経験から好みに合った状態を見つける必要がある。サバやイワシなど痛みの早い魚は食中毒の危険もあるので、(プロは寝かせる人もいるが)新鮮なうちにいただく。タイやヒラメ、カレイなどのような白身魚は基本的に数日置いても大丈夫で、好みに合わせて2、3日から長ければ5日ほど熟成された刺身もおいしく頂ける。
魚を熟成させたい場合、新鮮なうちにちゃんと締めて、クーラーや発泡箱でしっかりと冷やしておくことも重要。釣り上げたら全身に悪い血が回る前に血抜き。血の抜けにくい大型魚ならばできれば神経締めを行い、速やかにクーラーに保管する。冷えたクーラー内なら1日くらい置いても大丈夫。だが、刺身用に寝かせるなら帰ったら3枚におろして、乾燥しないように冷蔵庫で熟成させる。冷蔵庫内は乾燥しているので、保管用の容器に入れるかラップなどで乾燥を防ぐ。熟成されるとタンパク質の変性に伴いドリップ(水分)が出てくるので、キッチンペーパー等でドリップを吸い取って臭みが身に残らないようにしよう(水分が抜けてカラカラにならないよう注意)
津本式究極の血抜きとは
熟成魚のエキスパート津本光弘さんが考案した津本式究極の血抜き術というものがある。津本さんはプロの魚仕立て屋さん。仕入れた魚の血抜き、神経抜きを行い、悪い血を除いた状態で熟成させるテクニック。この津本式とハピソンがコラボした商品が第3弾まで出ていて(2022年1月時点)、血抜き、熟成の取材を行っているのでそちらも参考にしてみていただきたい。
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