釣行記

東北の有名アングラーらによる釣行リポート!最新の釣況情報、テクニックをカバー!!
  • 直結仕掛けで楽しむマコガレイのかかり釣り

    針生 秀一 2021年4月30日 更新

    三陸地方のマコガレイのかかり釣りは、湾内の養殖棚に船を固定し、リアス式海岸の絶景を眺めながらカレイのアタリや引きをじっくり味わえる。ここでは、志津川湾に通い込み、直結仕掛けのカレイ釣りに精通した針生さんが、かかりの魅力を語ってくれた。※2010年10月掲載の記事です。

    出港してすぐ目の前の養殖棚がカレイのポイント

    上)釣り始める前に、シュウリ貝を砕いたコマセを狙うイカダに撒くのが三浦屋名物。この効果は抜群だ。下)数種の竿を用意して、感触を確かめながら釣るシマノ ロッド事業部の右京さん

    南三陸・志津川湾は、牡蠣、ホヤ、ホタテ、ワカメなどの養殖が盛んで、かかり釣りに絶好のポイントが広がります。その志津川が釣果上向きとの情報を受け、シマノから来季発売を予定しているロッドの試釣調整を兼ねて釣行しました。釣り船は志津川戸倉港の三浦屋、10月6日、ロッド事業部の右京さん、月原さん、私の3名で当地へと向かいました。

    集合は午前5時。受付、エサを購入して準備を済ませ、タックルを持って戸倉港に出ると、「トントン」とコマセにするシュウリ貝(ムラサキイガイ)を砕く音が聞こえてきます。三浦屋のかかり釣りは、狙うイカダに一通りコマセを撒いてから釣り始めます。釣り人が来る前からコマセを用意して待機している、船長の心意気がヤル気を奮い立たせてくれます。

    当日の船は三浦屋専属「朝日丸」。三浦保文船長に迎えられ、午前5時30分に出船。椿島の東沖のイカダ周りからコマセを撒き始めます。10数ヶ所に撒き入れて、寺浜を臨む30mダチのイカダに船をかかり付けて釣り開始です。

    上)三浦屋オリジナル直結仕掛け。丸めると糸グセがつくので、段ボール紙を切ったものに伸ばして持ち運ぶ。段ボールの仕掛け巻きはロッドのプラケースに収納(※仕掛けはの詳細は三浦屋HPで。通販も可)。下)アタリ即アワセの釣りを目指すなら、アオイソメの付け方は、吸い込みやすくボリュームを損なわないダンゴ状の縫い刺しが◎。ハリはあわせカレイL(がまかつ)。ハリスは3号5cm
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    ポイントに合わせて誘い&小突きを組み立てる

    軽いオモリでじっくり誘えるのが、かかり釣りの魅力の一つ。この日は30cmUPが多く上がり、釣趣は抜群!

    この日の仕掛けは、ここのカレイ釣りを研究して生み出された、三浦屋オリジナル直結式仕掛け。かかり釣りバージョンの2本、3本バリを使用しました。アオイソメはボリュームを出すように縫い刺しにし、20号のオモリを装着して、2本の竿で釣り始めます。

    最初のポイントは、砂地に泥の筋が入っている感じの底質。はじめトントンと硬い感触だったものが、オモリが少し移動するとスッと刺さるように変わります。「この2本竿の小突きは、東京湾のアナゴ釣りと同じ感覚ですね」と右京さん。すかさずアワセを入れ、引き込み、曲がりを確かめながら巻き上げ、23cmほどのマコガレイを抜き上げました。

    続けて私にも同サイズのマコ。「少しカレイが小さいなぁ。ここは尺モノが多いところだけど、うねりが底に効いているようだね」と保文船長。1m程度ですが、波長の長いうねりで泥質に影響が及んでいるようです。ここでは船中4枚のマコガレイが上がりましたが、保文船長は早々に見切り、北西側のイカダに移動します。

    今度は硬めの荒砂で小突きやすい底質。20~25cmのマコガレイが連続で上がり、竿の感触、感度を意見交換しながら釣り続けます。アタリが途切れると、コマセを入れた椿島の沖側のイカダに次々と移動。一ヶ所で当たって枚数を重ねるという展開が、秋のかかり釣りではよくみられるのですが、このような拾い釣りも面白く、底質によって様々な誘いの組み立てを試します。

    硬めの砂地では、仕掛け全体を見せる大きな誘いから、細かく加速するように小突いていくと魚信が多く、中小型ながらマコガレイが連発。いっぽうの泥場では、オモリと仕掛けのビーズをゆっくり引きずって撫でるようなイメージのスローな誘いから、スッと落とし込んで、瞬間に聞きアワせる反射食いの組み立てに良型が掛かりました。また、カレイが船下に多く寄っている場合と、周辺のカレイを誘い寄せて食わせる感じの場所でも、誘いのパターンは使い分けます。アピールと食わせの割合を、状況を判断して組み立てながら釣っていくのが、かかり釣りの奥深さです。

    上左)針生さんは中型のマコガレイを連発。2本竿の釣りは小突いたときのバランスがよく、カレイを寄せる効果も高い。上右)月原さんも試行しながらマコガレイを釣った。下)40cm超は出なかったものの、肉厚なマコガレイが多かった

    釣果は確実に上向き!これからが最高のシーズン

    納竿直前、湾口の深場で月原さんに竿を叩くような段引きがあり、上げてみると良型のハナダイだった。水温が高い時期には定番のゲスト

    午後12時をまわり、「竿を試すのにいい機会だし、ちょっと沖目の深場をやってみましょう」と保文船長が提案して、湾口のイカダに移動します。水深は45mくらい。オモリは変わらず20号ですが、水圧で竿を操作する感触が変わります。

    深場だけに、伝わる魚信は微妙です。わずかなモタレを感じて即刻アワせると、25cmほどのマコガレイ。こんな深場では、私はタフテックソリッドやチューブラーを好んで使うのですが、今回の竿は柔軟な竿先ソリッドです。エサを吸い込む瞬間の魚信はソリッドが吸収するので、コヅキのリズムの微妙な変化でアタリを取ります。穂先が跳ねず、穂持ちがしっかりしているので、誘いながらアワせられる、なかなかいい竿に仕上がりそうです。

    最後に月原さんが30cmの良型ハナダイを釣って、午後1時に納竿。私は20~36cmのマコガレイを26枚の釣果。「うねりの影響か、大きいのが出る泥場でも、型がいまひとつでしたね。まだ水温が高めだけど、これからが面白くなりますよ」と保文船長。一緒に出た三浦友和船長の「第五明丸」は4人で80枚。こちらも枚数が上がりました。

    宿でお茶を頂き、三浦明船長、五目釣り乗合船の皆さんで談笑するのも楽しい。これで得られる情報がまた良いのです。この秋も好調な南三陸のかかり釣り。初冬にかけて、さらに楽しみが広がるでしょう。

    左)戸倉港の防波堤から竹島、椿島を望む。一帯の養殖棚周りは絶好のかかり釣りポイントだ。右)針生さんらが乗船した「朝日丸」三浦保文船長。どんな状況でも楽しく釣らせてくれ、カレイファンに人気
    左)イワシを積み込み、湾外へ根魚五目釣りに向かう、新造船の明丸。右)三浦屋店主の三浦明さん。真面目で熱心、南三陸の全ての釣りを熟知している。直結仕掛けの生みの親としても有名

    写真・テキスト/針生秀一
    取材協力/三浦屋(TEL:0226-46-9339)

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    PROFILE:針生秀一

    船釣りを中心に、防波堤や河川の小物釣りなど、なんでもこなすオールラウンダー釣り師。全国各地の釣りと釣り具の知識が豊富で、釣りの生き字引的存在。泉区のロックバーラグ(Rag)オーナー。シマノフィールドモニター

     
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