釣行記

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  • [連載]常笑upcoming fishing!☆第3回 ビシ釣りとドッカン 2つのコマセ釣り

    針生 秀一 2023年3月28日 更新

    連載:針生秀一さん 第3回 ビシ釣りとドッカン 2つのコマセ釣り
    ※この記事は2013年7月にプレミアムメルマガで配信したものです。

    夏から秋の仙台湾で面白くなるのがコマセ釣り。サバ、イナダのドッカン釣りと呼ばれるコマセサビキ釣りに、マアジをメインとするビシ五目釣りの2種目で、コマセワーク、タナ取りなど、奥深く、釣趣は抜群。釣り上げた旬の食材を、ぜいたくに使って味わえるのも、釣り人ならではの楽しみです。

    まず仙台湾のコマセ釣りといえば、ドッカン釣りが頭に浮かびますね。メインターゲットは、ブランドフィッシュ「金華サバ」とネーミングされた40cm以上のマサバです。これにイナダ、マルソウダ、シイラ、ときにメジマグロという青物五目釣り。仙台湾の青物釣りの代名詞です。

    本来のドッカン釣りとは?と、以前に七ヶ浜東宮浜「やまさ丸」の佐藤正勝船長に聞いたことがあります。

    それは、まだアミコマセが使われていなかったころに、トローリングなどで表層を引いて釣っていたのが、秋になってタナが底際になってくると、タコベイト仕掛けに重いオモリ(300号くらい)で底を叩いて釣っていて、この動作がドッカン、ドッカンという感じなので、そう呼んでいたそうです。これがコマセ釣りになっても、コマセを振り出す動作が同様に見えて、ドッカン釣りの呼び名が継承されたのでしょう。

    このコマセサビキ釣りのタックルは、80号負荷程度の2.4~3mの竿にPE4~6号を200mほど巻いた両軸、電動リールの組み合わせ。カウンター付のリールが便利です。

    コマセは冷凍イサダ(アミコマセ)で、コマセカゴはサブマリンのラージが定番。仕掛けはアミコマセに同調するスキンサビキを主体に、フラッシャーサビキも用意しておきましょう。丸セイゴ16~18号、ハリス8~10号が標準。メーカーから専用サビキが各種出されていますね。

    スキンにもピンク、ホワイトに夜光、紫外線発光ケイムラなど各色あり、目安としては、日中、潮澄みでピンク。早朝や曇天、タナが深めでホワイト、夜光、ケイムラという選択。そして魚皮フラッシャー、タコベイトのサビキは、タナが底近くのときや、イワシなどのベイトに着いているときに大当たりします。

    こんなとき、スキンサビキしか用意がない場合は、まずイワシを掛けて待ち、サバ、イナダに食わせるという、食わせサビキを試みてみましょう。効率よい釣り方は、イワシが追われて上がってくるので、少し上のタナに合わせてイワシを掛けます。イワシを掛けてから、50cm刻みでタナを上下に探り、食いダナを掴みます。掛かったイワシに食いつかせるという、また違った面白い釣り味が楽しめます。

    食いが立てば選ばず掛かってくるように思われていますが、タナだけでなく、サビキの選択でも釣れ具合の差が出ます。状況を判断して使い分けましょう。

    釣りの手順は、まずキーパーにセットして、カゴを船外に出した位置でカウンターをゼロセットします。プラカゴには、最初アミコマセを8分目ほど詰めます。指示ダナは海面からの水深をアナウンスされるので、そのタナから5mくらい沈めて、ピッピッとメリハリをつけてコマセを振り出し、コマセの中に仕掛けを同調させるようにタナを取ります。タナの5m上下を目安にコマセを振り出して回収。これを魚が寄るまで繰り返します。群れが船下に着いて口を使い出すまでは、正確にタナを取り、キッチリとコマセを振り出すことが肝心です。

    アタリが出てきたら、まずタナを記憶します。重要なことは、カウンターは目安に、道糸のカラーで正確にタナを取ることです。道糸の最初を、キッチリと10mの頭にそろえておくと良いです。

    ここから入れ食いとなるのがドッカン釣り。カゴに詰めるコマセを5分目くらいにして、カゴの目も少しずつ閉めます。上のタナにはフグレッコと呼ぶマルソウダが集まってくるので、そのタナはスルーして、その下のサバのタナに合わせてコマセを振り出します。コツとしてはコマセに同調させたら止めてアタリを待つこと。上下に動かしすぎるのはNGです。

    取り込みは、カウンターゼロセットした位置まで巻いたら、キーパーにセットして竿を立て、カゴを持ち上げて魚を船内に取り込みます。このときに竿を持ったままカゴを掴もうとすると、海面で走り回られて大変になるので、まず竿を置いてカゴを取りましょう。あわてずにハリを刺さないように注意して、オモリまで船内に抜き入れます。オモリ側の魚から外して、カゴにコマセを詰め直して投入という流れです。この手返しの早さが重要です。

    昨年は高水温で群れが散り、まとまってサバが釣れずに終了しましたが、今年の金華サバはどうでしょうか?

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    徐々に市民権を得てきたビシ釣り

    ドッカン釣りとともに、近年はビシカゴを使ったビシ釣りをメニューに入れる船も増えてきて、違った釣り味を楽しめるようになりました。この釣りを仙台湾に広めた先駆けのパイオニアは、塩釜まがき港「第一海友丸」の瀬戸慎也船長。これでマアジが釣目として確立されて、ビシアジ五目として人気が高まってきています。

    タックルは、使うビシが80号標準なので、これに合わせた2m前後のライトゲームロッドにPE2~3号を200m巻けるサイズの小型両軸、電動リールの組み合わせが基本。

    ビシカゴは横目のアミ用金網アンドンビシが主流に使われています。特に指定はないのでプラカゴもOKですが、予約時に問い合わせておきましょう。このビシカゴを腕長30~50cmの天秤にセットします。

    仕掛けはハリス2号、ムツ10号の2~3本バリ、全長は2m前後です。このスペックで各メーカーから各種出されていますね。 

    仕掛けを選ぶ目安は、サバなどの妨害を避けてアジに狙いを絞りたいときは、銀バリで夜光玉が無いものを選びます。反対に妨害が少ないときは、金バリで夜光玉付にします。平打ちのハリなら、さらにアピールが上がります。赤ウィリー、ビーズを組み合わせたものなら、エサ付けなく手返しが早くなって、食いが立つ時合に最適です。

    シンプルな仕掛けなので自作も簡単です。ハリ間隔は、3本バリならサルカンから1本目まで80cm、そこから60cmに2本目、そして60cm取って3本目を結びます。2本バリなら120cmに1本目、そこから80cmで2本目。これで全長2mというのがマッチします。枝スは20~30cm。これ以上長く取っても、絡みのトラブルが増えるだけで良いことはないです。

    枝ス接続に回転ビーズなどを使うのは薦めません。仕掛けの漂いが不自然になります。ハリスはフロロカーボンが張り、強度に優れますが、比重が軽くしなやかなナイロンハリスも漂いが良く、効果的になります。

    仕掛けは天秤にクッションゴムを介して接続します。1.5mm、30cm前後が標準です。エサはイカを赤く染めたアカタンを5mm角くらいにカットしたマメタンをメインに、濁り潮などの特エサはアオイソメ。ハナダイにも良い沖アミと冷凍エビなど、回転しないように考えてハリに刺しましょう。アオイソメは2㎝くらいに切って、通し刺しかチョン掛けにします。

    そしてサバの妨害が多いときは、エサをつけない空バリで釣ります。アジはプランクトンイーターなので、銀、金のハリだけでもコマセに同調させれば掛かってきます。

    釣り座のセッティングは、キーパーからトモ側に、1mくらいの間隔でコマセバケツをセットします。足元に物を置かないようにしましょう。

    キーパーに竿を置いてビシをバケツの中に入れます。ここでカウンターゼロセットします。アミコマセを8分目くらい詰めて、まず仕掛けを船外に出して吹流し、次にビシを投入します。

    指示ダナは底から何メーターと出されるときと、海面からの水深で出される場合があります。カウンターはあくまで目安にして、道糸のカラーで取るようにしましょう。

    アジのタナは底近くが多いので、まず底までビシを沈めます。潮で流されるので、一旦底を取り直し、道糸が竿下に真っ直ぐになった位置で底ダチを記憶します。

    底から3mといったときは、まず底から2m上げたところでコマセを振り、1m上げて少し待って、さらに1m上げて振って待ちます。これを基本に、アジの活性、潮の速さに応じて、コマセを振る幅、タナの刻みを試しましょう。

    実際にはアジの反応があって、そのタナに当てるより、そのタナにアジの群れを呼び込むために、コマセを振って群れを寄せるのです。アジはタナが狭く、50cmの違いで差が出ます。確実なタナ取りが肝心です。ビシ仕掛けで横に流すほうが適するわけです。

    ビシを激しく振ってしまうと、コマセが一気に出てしまって良くないです。ビシの動きが警戒されることもあります。ピッとシャープに、スーッとスローなど、この振り方のバリエーション、使い分けが腕の見せ所。釣れてきたらコマセは5分目、またはビッシリ詰めて網目をふさぎ、ポロポロ出るようにするという裏技もあります。

    置き竿にするのが良い場合もあります。船の上下と潮でポロポロと適当にコマセが出て、これに仕掛けが漂って同調するのが良いのでしょう。これは特に、正確な食いダナを掴むことで成り立ちます。

    取り込みは、電動リールなら中速で巻き上げ。残り5mあたりでキーパーに置きます。ゼロセットまで巻いたところで竿を立てて、ビシを取ってコマセバケツに入れます。クッションを掴んで30cm以下なら一気に抜き上げます。大型はタモ取りしますが、食いが立っているときや、船長が操船で離れられないときは、自分でタモ取りします。

    まずクッション、ハリスをたぐってアジを海面に浮かせて掬います。ダブル、トリプルの場合は下の魚をタモに入れてから、上の魚を受けるように上げていきます。タモ取りはバラシが減りますが、ハリが網に掛かって手間取ることもあって、手返しが悪くなります。

    食いが立ってきたときは思い切って抜き上げ、ハリ外しを使って手返しUPがオススメ。船ベリのバラシも出ますが、気持ちを切り替えて次の投入に移りましょう。もちろん渋めのときは、一尾ずつ大事に取り込みましょう。アジは血抜きしてクーラーに収めましょう。サバはサバ折りにして血抜きと、氷水に突っ込む氷締めのお好みで。

    そしてマルソウダ、これは血合いの塊のような魚で、釣ったら即その場でエラを取ってバケツで血抜き。そして洗って、氷水のクーラーに入れます。帰宅したら、3枚におろして濃い血合い肉を取り除き、皮を引きます。耐熱皿に入れてオリーブオイルを回しかけ、500wの電子レンジで半身3分くらい。取り出して冷まし、塩、コショウします。チリソース、マヨネーズを混ぜ合わせたソースで、まるでツナ缶。ビールに最高、サラダにも合います。

    夏の魚を釣りに行きましょう!

    仙台湾のビシアジ五目は80号ビシが標準なので、50号負荷程度のライトゲームロッドにPE2~3号を200m巻ける程度の小型電動がマッチします
    ビシアジ仕掛けは、宮城の釣具店にも各種並ぶようになりました。サバを避けたいときは銀バリ、妨害が少ないときは金バリで夜光玉付、エサ付け不要のウィリーなど。自作も簡単です。ヨレると食いが落ちるので、多めに持参しましょう
    冷凍イサダ(アミコマセ)に横目80号アンドンビシ。30~50cm程度の天秤、クッションは1.5mm、30cmが仙台湾ビシアジの標準
    5mm角に切ったアカタンに濁りや曇天に効くアオイソメ。この2種は定番エサです
    仙台湾のビシアジ五目ではメバルも多く釣れてきます
    アジは口切れで外れやすいので、大型はタモで取り込みましょう
    食いが立っているときは躊躇せず一気に抜き上げ、手返しを早めましょう
    プラカゴの使用もOK!プラカゴは目を調節できるのが良いところです
    昨年9月の「東北丸」にて、アジ、メバル、サバの大釣り!
    どっかん、ビシアジ、ジギングで、仙台湾の青物釣りを楽しませてくれる「東北丸」寺島翔平船長
    「第一海友丸」にて。良型連発!ヒラメのウバ食いもあり
    ビシアジ釣りの先駆け「第一海友丸」瀬戸慎也船長


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    PROFILE:針生 秀一

    船釣りを中心に、防波堤や河川の小物釣りなど、なんでもこなすオールラウンダー釣り師。全国各地の釣りと釣り具の知識が豊富で、釣りの生き字引的存在。泉区のロックバーラグ(Rag)オーナー。シマノフィールドモニター

    ※取材テキスト・写真提供/針生秀一

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