志津川湾の船カレイ再始動!
志津川湾の釣船 三浦屋が4月1日より本格的に出船を再開するということで、カレイ釣りの名手としても知られる三浦明船長とともに試し釣りを取材してきた。陸にはまだまだ震災の傷あとが多く残るが、湾口~湾内には掛かり釣りをする養殖棚も戻ってきている。
※2012年3月掲載の記事です。
出船再開に向け準備は万全!
周知の通り、南三陸町志津川地区は津波により甚大な被害を受けた。地震発生40分後には15mにもおよぶ津波が集落を襲い、一瞬にして全てを流し去った。無論、湾内に隣接する釣船 三浦屋も例外ではなく、自宅や店舗、所有する4隻すべてが被害にあった。
「あの揺れは尋常でなかったね。間違いなく大津波がくると思ったので、必死で裏山へ逃げたよ。ほんと必死だった」と明船長は当時の状況を語ってくれた。震災後は家族全員で佐沼のアパートに一時避難。自宅のあった志津川に瓦礫撤去のため通う毎日だったという(現在は仮設住宅へ移転)。
あれから1年。流木や瓦礫のあった風景も、少しずつ以前の様相に戻りつつある。周辺では仮設のコンビニや集合市場、ガソリンスタンドが営業を再開。また湾内では、漁業者共同でワカメ養殖に従事するなど、復興の兆しが見え始めている。
期待と不安を胸に、久々の志津川湾へ
三浦屋では、震災より1周年の節目が過ぎたことと、ようやく釣り船として稼働できる体制が整ったことから、4月1日からの再出船を決定。今回は、元祖・直結仕掛けでもおなじみの三浦明船長より、再始動を前にカレイ釣りの試し釣りをするとのお声掛けをいただき、同行させてもらった。
波伝谷漁港入口に新設された、受付所に到着したのは午前5時30分。三浦明さんご夫婦が笑顔で出迎えてくれた。「仙台から遠かったでしょう。疲れてない?周辺は灯が少ないから暗かったでしょう。一番近くのコンビニも営業が午前7時からなんだよね。不便じゃなかった」と奥さんが労ってくれた。
受付所で、釣り談議に華を咲かせてから出船場所へ移動。うっすらと日差しが差し込める中、常連の伊藤さん、佐藤さんらとともに乗船し、今回のポイントとなる志津川湾口から神割崎沖の50~62mラインに向かった。
当日は、鏡一面を思わせるほどのベタナギで、水色は澄み。釣行的にはベストな状況であった。しかしながら、直前まで連日続いた荒天に加え、寒冷前線通過後の影響。水温は5℃と今の時期にしては非常に低く、カレイ類の活性が低いことが懸念された。
最初の場所は、志津川湾口付近の60mライン。先週の試し釣りで実績があり、マコガレイやヒガレイ、マガレイが釣れたポイントだ。仕掛け投入後、しばらくアタリが無かったものの、ようやくカレイらしきアタリがあった。しかし、食いが浅いためなかなかハリ掛かりしない。
そんな繊細な状況下の初ヒットは三浦さん。25cmほどのマガレイを釣り上げた。続けて伊藤さん、佐藤さんもマコガレイの釣果にニンマリ。「震災後、初釣りなんだよね。この感触を味わいたくてウズウズしてたんだ」と1年ぶりのご対面に船上は盛り上がりをみせた。
養殖棚が増えれば、かかり釣りも楽しめる
今釣行は、流し釣りとかかり釣りのスタイル。震災により大きく変わったポイントを一つ一つ確認するように、移動しながら釣り歩いた。「昔のポイントだから釣れるって保証は全然ないからね。なにせ砂地だったところが泥場に、泥底のところが砂利底に変わったところもあるくらいだから」と明船長。
その後も数か所ポイントを移動し、良型のヒガレイやマコガレイ、アイナメを追加した。途中、湾口周辺の漁礁でアイナメ釣りにスイッチ。エサ付けするアオイソメのボリュームをアップして投入するや、荒食いモードに突入した黄金アイナメの乱舞。中には50cm級のズッシリサイズも顔を出し、皆さんご満悦の様子。存分に首振りダンスを堪能した。
全体的なカレイ釣りの釣況は、例年と比べて若干遅れているようだ。どうも低水温が一番の要因のようだが、明船長いわく、この時期は日ムラが激しいのが特徴とのこと。前日に大釣りだったからといって、翌日もという期待は皆無らしい。「魚はごっそりいるんだけどね。釣れる時もあれば、釣れない時もある。なにせ自然を相手にしているわけだからさ。だから釣りは楽しいんだよ」と明船長。
藤の花が咲き始める5月には最盛期を迎える志津川湾のカレイ釣り。これからは30~50cmオーバーのマコガレイ、ヒガレイ、ナメタガレイがコンスタントに姿を見せる。型、数ともに実績ある聖地だけに今後の期待は計り知れない。
※住所:宮城県南三陸町戸倉字戸倉5-5
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※取材協力/釣船 三浦屋(宮城・波伝谷漁港)TEL:0226-46-9339
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