仙台湾ナメタ三昧
ナメタ戦開幕は塩釜港から
カレイ五目は冬の仙台湾の沖釣りで、人気の釣り物のひとつ。ナメタガレイは、その一番のターゲット。かつては、ナメタに優先して狙いを絞るには、その個体数の少なさもあって、明確な攻略法が掴めず、運によるところが大きいといわれましたが、ポイント開拓、釣法の研究で、狙って釣るターゲットになりました。今冬は開幕から好釣果が続き、目下、釣り人を熱くさせる展開に進んでいます。
私も今期の開幕から塩釜港、亘理荒浜港へナメタ狙いで乗船。まずまずの良い手応えを味わえました。そこで感じた今年のナメタの状況、対策をレポートします。
最初に訪れたのは、いちはやくナメタ五目のメニューを掲げた塩釜東北丸。その初日の11月28日、「第三十六東北丸」の5時半便に乗船し、終日根周りでナメタガレイを狙いました。
寺島翔平船長の操船で、航程一時間ほどの水深39mのポイントから開始。仕掛けは、志津川の三浦屋式直結カレイ仕掛けの、ナメタ仕様の2本バリをアレンジし、自作したもの。全長50cmに、オモリはシンカーロボのグリーン発光40号を使用。ハリは、あわせカレイ2L(がまかつ)に、ハリスはフロロ4号。エサは定番のアオイソメです。
最初の流しではアイナメが連続で上がりましたが、翔平船長はすぐに小移動します。潮上がりした二流し目、底をなぞるように小突きで探ると、コツンと岩礁に当たったような感触。この起伏に仕掛けを留めるイメージで、細かく小突きで誘うと、微妙なモタレと、等間隔でククッという振幅が続く魚信。
これはナメタに多いアタリ。こんなときは一呼吸送って食わせ、聞き上げで出る本アタリに合わせるというのがセオリーですが、逃げるエサを演出して、瞬間の食い込みを狙ってみます。スーッと誘い上げると、グンと明確なアタリでハリ掛かり。船中最初の、32cmのナメタを取り込みました。
この流しでは、船中で数枚のナメタが一斉に釣れてきました。乗っ込みナメタはある程度の狭い範囲に固まる傾向が強く、船長は、このような狙いでピンポイントに船を立てます。投入合図に遅れないことが肝心です。
開始2時間は潮も程よく効いて、私は3枚のナメタを釣ることができましたが、10時過ぎには潮止まりで、全体的に魚信が減りました。
しかしこんなときこそ、誘い、アピールグッズなどの効力を試す良い機会。アピールを狙って大きめのストロークで仕掛けを歩かせ、根の形状が変化するところで、細かく早めの小突きで注目させて食わせるイメージで、誘いを組み立ててみます。これでナメタ1枚を追加。アピールグッズの、赤のエッグボール、シンカーロボのグリーン発光が魚信を増やし、誘いの効力を高めた感じでした。
午後1時の沖上がり。寺島翔平船長のポイント選択と、ピッタリ立てる操船が好釣果を導き、8名で45~28cmのナメタが15枚。良い開幕初日となりました。
TEL:022-364-2653
有力ポイントの宝庫、亘理沖へ
亘理沖もナメタの好ポイントが広がるところ。12月19日、釣友のアルファタックルフィールドテスター、伊井泰洋さんが横浜からナメタガレイを求めて来仙。釣りえさマリンの和地店長、田村務さんと、亘理荒浜港の拓洋丸を訪れました。常連の樋渡さんが左舷胴の間に入り、5名の乗船で午前6時に出船です。
航程30分ほどでポイント到着。亘理沖は近場にもポイントが点在するところが、北西風の強まる冬場のアドバンテージ。25mダチの根周りから始めます。起伏の小さい岩礁帯。まずは30cmクラスのアイナメ3連発でスタート。アオイソメにイワイソメの併用が、アイナメに好反応です。
船中最初のナメタは、ナメタ挑戦3度目の伊井さん。初物は38cmほど。事前にナメタの誘いと仕掛けについて研究し、岩手三陸・宮古のナメタ仕掛けを参考に、自作した仕掛けで釣ったので、嬉しさは倍増です。
私も集中して誘います。根の落ち込みから引き上げて、岩盤の上に乗せた瞬間に、ググッと反射食いの明確なアタリ。うねるような引き込みで船中2枚目のナメタを取り込みました。
樋渡さんも同サイズのナメタを2連発。箕笹船長はアタリが途切れると見るや、すぐに流し直し。マメに探ってくれます。このおかげで、開始2時間で全員がナメタをゲット。樋渡さんと伊井さんは、3枚のナメタを釣って好調です。
田村さんは、自身初のナメタに続いて、36cmマコガレイも連釣。船中、マガレイ、イシガレイに、アイナメ、ボッケなどが次々と取り込まれます。私の2枚目のナメタは、アオコガネに一発食い。アオコガネはバチ抜けのゴカイのように泳ぎ、アピールの強い効果的なエサ。これのもうひとつの良い点は、食い込みが良好でアタリが大きく出るパターンが多く、アワセのタイミングが取りやすいところ。切らずに下バリに刺すのが良いでしょう。
釣果は、40~26cmのナメタが5名で15枚。マコ、イシ、マガレイにアイナメも多数。楽しい釣りを味わえました。
TEL:090-3755-4496
釣り納めに新鮮な年越し用ナメタを狙う
年越しの祝いナメタを狙いに、12月28日に訪れたのは、塩釜まがき港第一海友丸。一味違う狙いで実績を上げる瀬戸慎也船長。リピーターも多い。良い予報の年末年始休暇の初日ともあって、この日は16名の盛況です。
航程1時間ほどの、砂地に岩礁が点在する45mダチでスタート。まずはマガレイ、マコガレイ主体の狙いです。
開始から30cm前後のマコガレイが連続で釣れてきます。オスが多いのですが、抱卵したメスも入ります。午前9時半までに、各自充分にマコ、マガレイを釣り上げ、「本格的にナメタ狙いにいきます」のアナウンスで10分ほど移動。水深38mほどの根周りです。
5mの高低差のある漁礁です。根掛かりも多いので、慎重に探って誘いを入れます。右舷のトモで上がったナメタに始まり、良い場所に入るとナメタが連発。根掛かりをかわしたくなる、険しいところがナメタの好ポイント。
瀬戸船長は根の高低をマメにアナウンスしてくれるので、注意して険しいところに仕掛けを入れて、小突きで誘います。このパターンで集中して、2枚のナメタを取り込みました。
釣友の助川くんは、1発目のナメタは根掛かりでバラシでしたが、正午過ぎに大きく竿を曲げ、33cm、38cmのナメタをダブルで取り込みました。やはりピンポイントに的確に船を立ててくれる瀬戸船長の操船は抜群。後半3時間のナメタ狙いで、40~25cmを船中21枚という良い釣果。マコ、マガレイにメバル、アイナメも多く釣れて、2011の納竿釣行を楽しめました。
ナメタ狙いの要点を上げていくと…
*根掛かり必至のような険しいところが狙い目。慎重に、そして恐れずに誘いましょう。
*投入は素早く、遅れないように。食いの立つ時合いは特に集中。
*アピールグッズも効果的。仕掛けのバランスを考えて組み込みましょう。今季はイエローのオモリ、エッグボールに実績があり、人気が高まってきています。
*エサのアピールは重要。食い込み、ハリ掛かりも考慮して多めに刺しましょう。
今シーズン好調に上がっているナメタガレイ。これから早春までが、大型の子持ちが出る好機です。三陸沿岸から、八戸、三沢、下北半島の各地の状況も要チェック。寒中に出向く価値があります。いっぱいに抱卵しても食ってくるのがナメタで、寒さも忘れる、熱い感触を味わえますよ!
TEL:022-365-7589
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船釣りを中心に、防波堤や河川の小物釣りなど、なんでもこなすオールラウンダー釣り師。全国各地の釣りと釣り具の知識が豊富で、釣りの生き字引的存在。泉区のロックバーラグ(Rag)オーナー。シマノフィールドモニター
※取材・テキスト/針生秀一
※取材協力/東北丸(塩釜まがき港)、拓洋丸(亘理荒浜港)、第一海友丸(塩釜まがき港)、釣りえさマリン新港店(仙台市宮城野区)
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