間口広く、奥深い楽しみのある宮城の陸っぱり釣行記 2024前半編
仙台市の針生秀一さんより岸壁釣りのレポートが届きました。季節ごとにチョイ投げ、ウキ釣り等で手軽な釣りを楽しんでいる針生さん。今回は2024年の1月から6月まで、冬から初夏にかけての釣行を釣り場とともに紹介します!
※2024年7月掲載
※釣り場の状況が取材時とは異なる場合があります。立入禁止、釣り禁止箇所などに注意し、ルール、マナーを守って釣りを楽しみましょう。
夏至から3日の夕マズメ。6時を過ぎてもまだまだ明るい奥松島の港で、ウキをひったくるような魚信に竿を立てると、ギュンギュンと走る小気味良い引き込み。スパッと抜き上げたのは、釣り人からサーフのクィーンとも呼ばれるシロギス。
宮城県では釣れるフィールド、機会が少なく、遠投でサーフキャスターが狙っているくらいのターゲットですね。これが岸壁から4.5mのヘラ竿で釣れるのですから、初夏から秋にかけては、手軽なタックルでダイレクトにシロギスの引き込みを味わえる絶好機なのです。国産シロギスは今や高級魚、食味も抜群ですよ。
こんな感じで、私は通年オカッパリの釣りを楽しんでいます。今年の釣行で、印象に残っているのを順に上げていきます。
近年は厳しくなったチカ釣り。かわりに釣れてきたのは・・
1~2月はチカの魚影を求めて、気仙沼本吉から二十一浜、南三陸、十三浜、女川、雄勝に牡鹿半島周辺の実績ポイントを探り歩きましたが、残念ながらチカの姿見ずでした。驚いたのは各所でメジナが群遊していて、コマセに集まってきたのです。真冬の十三浜でメジナを釣ったのは初めてでした。
富士沼のワカサギも健在
追波川のサクラマスの釣況を視察していて、富士沼のワカサギはどうか? と巡回しに行くと、ローカルの方から流れ込みで釣れると話を聞きました。すると水路へ繋がる橋のところで数人の釣り人を見つけました。両サイドの狭い範囲に集中して、楽しそうにワカサギを釣っています。
時合いは短時間で終わり、私が竿を出す余裕もなかったのですが、富士沼のワカサギは健在です。一部ではヘラ台、釣り座が設けられていて、ヘラブナの名釣り場は復興してきていましたよ。
女川港の根魚探り釣り
追波川から女川港に行って、岸壁際を探り釣り。道糸PE0.6号リーダー1号のメバリングタックルに7gジグヘッド。それにマルキュー・パワーイソメをセットして岸壁スレスレに落とし込みます。
すると着底即にググッと食い込んできてきて、すかさずフッキング。強力な引き込みにリーダーを3号に結び直していればと後悔しましたが、ウルトラライトなタックルで慎重にヤリトリ。タモ取りしたのは32cmのアイナメでした。
リーダーを結び変えて岸壁継ぎ目などを狙って落とし込み、25~30cmほどのアイナメを4匹。パワーイソメは生エサのアオイソメと変わらないアタリの出方でしたよ。比べて食い込みは良くないので、リグを軽く、バイトに対して素早くフッキングの組み立てがいいでしょう。
女川港の観光桟橋などは立ち入り禁止になっているので注意!
牡鹿半島で春のウミタナゴ釣り
3~4月はウミタナゴ。牡鹿半島周辺の漁港では漁業関係者以外立ち入り禁止が多くなり、ポイント選択肢が少なくなりました。それでも鮎川港内にはウミタナゴの群れが見えて、南側防波堤でウキ釣りを楽しんでいる釣り人が数名。20~25cmクラスのウミタナゴを釣っていました。
ここでもメジナが群れていて、同サイズのウミタナゴよりも引きが強い!水温が下がらずに移行したので、越冬して残ったのでしょう。これから夏に向けて、渓流竿では取り込めないようなメジナも掛かってきそうな予感です。北上十三浜方面では小室、小滝でウミタナゴを釣りましたが、寺浜で私は不発。5月下旬には腹パンになっていて(ウミタナゴは卵胎生)ここでタナゴ狙いを終了しました。
メバル中心にアジ混じりの釣果!毒魚キタマクラに注意
5月頃からメバルの良型が釣れるようになってきました。女川港で夕マズメに、1gジグヘッドにワームでやってみると、15cm前後のメバルが次々にヒット!釣り続けていると、ワームが見切られたのかアタリが出なくなり、0.8gジグヘッドにアオイソメ通し刺しに変えて投入。
カウントして落とし込み、ハンドル秒一回転のタダ巻きから止めのストップ&ゴーで誘ってみると、ググンと魚信。そのまま巻きアワセをするとギューンと持ち込む引き込み。抜き上げたのは15cmほどのアジです。夕暮れになってアジ、メバルを連釣していると、周りにイカ狙いの釣り人が増えてきたので、ここで納竿。6月に入りケンサキイカ主体によく釣れて、女川港岸壁は賑わっていますね。
アジは鮫ノ浦の各漁港に雄勝港、十三浜の相川、小滝などでも釣れました。ワームのアジングよりも、私は渓流竿でのウキ釣りが好きです。夜釣りでは常夜灯まわりなどで、コマセなしアオイソメのエサでよく釣れました。鮫ノ浦でキタマクラが釣れて驚きました、この魚、粘液にも毒素あるので要注意、素手で掴まずにリリースすることです。
春から調子の良いマハゼ釣り
ハゼは5月から狙い始めて、奥松島の陸前富岡周辺、東名運河、宮戸島周辺、浜市から北上運河、そして追波川河口で竿を出しました。5cmほどのデキ(当歳魚)のマハゼを釣ったのがGW明け。5月末には各ポイントで10~15cmのマハゼが釣れて、これから期待できそうです。
手長エビも多く、岡田~深沼周辺の貞山運河で釣れていました。釣り人がダボハゼと呼ぶマハゼ以外のハゼ類も多いのですが、これを上皇陛下が長年にわたり、ご研究対象にしておられます。ダボハゼだ~と即リリースしていましたが、改めて見てみると、ゴリ、チチブ、ヌマチチブなど結構な種類が釣れてきており、中々興味深いものがありますね。
これから秋まで期待!漁港内でシロギスのウキ釣り
冒頭のシロギスは6月24日の釣行です。月浜のサーフからチョイ投げすると、8cmほどのシロギス、イシガレイが釣れてリリース。大浜港内に移って、4.5mヘラ竿にウキはリコーの鹿島で、ウキ下1.5mほどにセット。がまかつ赤ハゼ(キス)8号にアオイソメを通し刺してウキを投入。潮に乗せて流すと、冒頭の展開です。
10~15cmのシロギスを3匹キープ。まだ明るいので松ヶ島でウキ釣り。10~15cmほどのマハゼを7匹キープしたところでエサ切れ納竿。相変わらずエサ盗りのフグ多く、ときにはハリスまで切られる・・・これは高額な税金と思いながら釣っていましたよ。
奥松島でシロギスが釣れるというのは、特に近年の温暖化によって現れたというわけではなく、以前から奥松島の月浜、大浜で釣れていた実績があり、コトヒキ、カゴカキダイなども、このエリアでよく釣れます。
私は25年ほど前に、大浜の港内でシモリウキでのイサダ撒き餌の釣りでシロギスを釣ったのが最初でした。大浜港内にはその当時から小さな砂浜があり、観察すると泳いでいくシロギスの群れを確認しました。
ちょうどその頃に、岩手県陸前高田の気仙川河口~高田松原サーフでのシロギス好釣があって、私が釣り雑誌に寄稿して小さな特集記事になりました。北限のシロギスなんてロマンありましたねぇ。県内では牡鹿半島十八成浜、鮫ノ浦サーフでのシロギスが知られていましたが、それが予想外の奥松島で、しかもノベ竿のウキ釣りで釣れたのですから驚きました。
それで奥松島シロギス探索に周辺のサーフを巡回して狙ってみると、隣の月浜と野蒜海岸でシロギスが釣れるのを確認できました。まずサーフキャスティングの遠投よりも、基本が岸壁、防波堤の雑魚釣り師な私は、リールを使わないノベ竿のウキ釣りシロギスの釣り味にハマりました。近年の私の実釣では2018、2020年は特によく釣れて、2022年はいまひとつ。昨年2023年は好調で11月末までのロングランで釣れました。今年は5月末から釣れ始めて、10cm未満のピンギスサイズだけでなく、15cm前後の良型も釣れています。
※松ヶ島漁港は係留船も多く、リールを使った釣りは禁止!
当たり前のマナー、ルールを守って身近な釣りを楽しんでいきましょう
私は足場が良く安全で、フィーリングに合ったポイントでしか竿を出しません。リスクを背負って釣りをしても楽しめませんから。今回紹介したポイントは、長年私も通っている、釣り人からよく知られるメジャーな港です。マナーを守って、普通にモラルを持って釣りをすれば何も問題はないですよ。
私は遊漁船での釣りも好きですが、基本はオカッパリの雑魚釣り師。極めれば岸壁、防波堤です。この記事を見たことがきっかけになって、少しでも釣りの楽しさを見出していただければ幸いであります。
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船釣りを中心に、防波堤や河川の小物釣りなど、なんでもこなすオールラウンダー釣り師。全国各地の釣りと釣り具の知識が豊富で、釣りの生き字引的存在。フィッシングカンパニースタッフ
※取材・テキスト/針生秀一
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