宮城県亘理沖の新釣種ショウサイフグ釣りの基本を解説!
がまかつフィールドテスター菅野順也さん親子が亘理沖の新釣種ショウサイフグを狙って釣行!フグ釣りの盛んな関東地方の釣り船に乗船して経験豊富な菅野さんに、この釣りの基本を解説してもらった。
宮城県亘理港より出船のきくしん丸にて、ショウサイフグ釣りが新しい釣り物に加わった。釣って楽しく、食べて美味いことを他県の釣り船で学習済の私達親子が早速釣行。今回は新規釣り物の入門編をお伝えしたい。
宮城県でもショウサイフグ釣り船が期待の出船
茨城県などでは定番釣り物としてすっかり定着しているショウサイフグ釣り。東北の宮城県等では専門に狙う船は最近まで存在しなかった。カレイ釣り等で釣れても外道扱いでリリースされていたのが実情であった。きくしん釣具店の菊地慎吾社長は
「スタッフが資格を取るなど、様々な課題がありましたが、ショウサイフグを狙って釣って食べたいとのお客さんからの要望に応えたく準備を進め、ようやくフグ狙いの専門船が出船できました。興味のあるお客さんが多く、問い合わせもたくさんあります。ここ亘理でも定番化することを望んでいます」と新規開拓の意欲を語る。
カットウ釣りが主流だが喰わせ釣りもできる!
午前5時、きくしん釣具店の受付に釣り人が集合。当日はマアジ船・黒メバル船も出船していたが、フグ船にも私達親子含め8名が乗船。当日はフグ船二回目の出船だったが、一回目に乗船したお客さんも再び乗船されていた。
「初出船の時は釣り方も分からずドキドキでした。でもやってみたら難しいことはなく、問題無く釣ることができました。食べても美味かったのでまた来ましたよ」とリピーターになっていた。
菊地伸太郎船長が舵を握る第八きくしん丸は、航程50分で水深37メートルのポイントへ到着。釣り方はアオヤギやホヤを餌としたカットウ釣りかアオイソメやエビを餌にした食わせ釣りが基本。



フグの硬い皮を貫くためのロングテーパー鈎先を採用したカットウバリ
カットウ釣りとは、針に餌を付けてそれを食ってきたフグをカットウ針と呼ばれるスレ針で引っ掛かる釣り方。馴染みの無い人には「引っ掛かけるのか?食わせて釣るのではないのか?」と疑問をもたれるかも。しかし、実際にやってみると釣ったという感覚と手応えは相当なもので、すぐにハマること間違いなしだ。
また、どうしても口に針を掛けないと釣った気にならないという人には胴突き式仕掛けでの食わせ釣りがおすすめ。どちらも準備して気に入った方にしぼるのもありだ。当日は私達親子含め殆どの人がカットウ釣りでスタートとなった。
餌付けはアオヤギ・ホヤ共に針に通したら上方向に押し上げて多目に密に付ける。まばらな付け方よりちぎり取られるのが少なくなり、アタリもはっきりと出るので手返しの早さにもつながるのだ。


宮城県での初フグ釣りに期待を込めて投入。仕掛けが着底したらリール一回転分程巻き上げてからフワリと竿先を軽く動かして多少の誘いを入れてみる。すぐに「コツコツ、コンコン」と竿先を動かすアタリが伝わった。その動きは人差し指の第二関節までが曲がるような繊細なものだ。アワセを入れると竿の胴まで曲がりずっしりと重みが伝わった。アタリと掛かった時のギャップがとても大きく、この釣りの一番の醍醐味だ。
活性が高くてアタリが頻繁なら誘いは不要。アタリが無くても10~15秒に一度は空アワセを入れてみる。この空アワセが誘いにもなるのだ。ただし、アタリがあった時も空アワセも大きく竿を振り上げるのはNG。外道で間違って釣れていた時は気にもしなかったことだが、ショウサイフグは好奇心も旺盛だか警戒心も強い魚であることを忘れずに。強いアワセは魚散らしになってしまうので手首から肘までがベスト。


まずは、カレイ釣りタックルでの挑戦もあり
続いて隣席の息子・真海(17才=高2)も本命を掛けた。「明確なアタリをしっかり見て掛けたよ」と25センチの本命を釣り上げた。
私はフグ・カットウの専用竿を使用したが、息子は愛用のカレイ竿を使用。カレイ竿は専用竿に比べるとアタリの鮮明さではおとるが、調子やオモリ負荷等の基本的なバランスはとても近いので、まずは試してみたい人にはカレイ竿を使用するのがおすすめ。
リールはPE1.5~2号が100メートル程巻ける小型両軸型を使用、リールはカレイ釣り用がジャストなのだ。船上では他のお客さんも次々にショウサイフグをヒット。当日の朝「フグ釣りは全く初めてなので私に釣れるか不安ですよ」と話していた人も30センチオーバーの特大を釣り上げ「思っていたより簡単に釣れますね。針掛かりした時の手応えも凄いです。これはハマりそうです」とすっかり気に入った様子。リピートのお客さんにいたっては「一回目は8匹の釣果でしたが、今日はアワセを入れるタイミングなど、コツが分かってきました。私の定番釣り物になりましたよ」と、当日は25匹の釣果。


私は27匹の釣果で、息子も18匹釣り「次回は専用竿で挑戦したい」と意気込みを見せた。
菊地伸太郎船長によれば「今の時期でも十分な釣果で楽しめますね。暖かい季節ならさらに数が伸びる予想です。新しい釣り物として期待できそうです」とのこと。
身欠き処理で持ち帰り。帰宅後の調理も簡単
当日は中乗りとして乗船していたフグ処理資格を持つ渡辺誉人さんが釣り上げたショウサイフグを処理してくれた。身欠きの状態で持ち帰り、我が家では唐揚げにしていただいた。
唐揚げ粉を付けて180℃の油で5分程(大きさによって加減する)揚げればOK。簡単に美味しくいただける。他にはてっさ(刺身)・鍋等もおすすめ。釣って楽しく食べて美味い、調理も簡単でいいとこ尽くめのショウサイフグ釣り。是非挑戦を!


遊漁船紹介:きくしん丸


小さなアタリも目感度で分かる超高感度なカットウ専用設計!

どうしてもカットウ釣りに抵抗のある方は、胴突き式の喰わせ仕掛けで狙ってもOKだ
カレイ、ヒラメ、メバル、マダイ、深海などの船釣り中心にワカサギや渓流など多様な釣りをこなすオールラウンダー。がまかつフィールドテスター、山豊テグスフィールドテスター、マルキユーフィールドスタッフ、スポニチAPC、日本魚検定(とと検定)2級取得。福島市在住
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※取材・テキスト/菅野 順也
※取材協力/がまかつ、きくしん丸