東北夜イカ(船釣り)ガイド スルメイカ・ヤリイカ・剣先イカ
東北では夏から冬にかけて長く楽しめる夜イカ釣り。灯火を使った夜釣りは釣趣があって食べても美味しく、釣り人に大人気のターゲット。スルメ漁の漁火は夏の風物詩にもなっているが、近年はスルメイカの個体数が少なくなり、徐々に庶民の味から高級魚になりつつある。2023年より本格的に釣れ出したのがケンサキイカ(剣先イカ)、東北よりは南の海に多いイカだったが海水温の上昇などの影響によりよく釣れるようになった。さらに冬から春にかけてメインターゲットになるのがヤリイカ。釣り味は繊細ながら食べて美味しく、冬の極寒の夜でも熱くなる釣り人が多い。
こちらのページでは宮城仙台湾沖から岩手三陸沖にかけての夜船のイカ釣りについてまとめてみました。
[2024年9月追記]ケンサキイカについて加筆、修正しました。
夜イカを楽しめるエリアとシーズン
イカ類はどの種類も1年魚。太平洋側のスルメイカは夏から秋にかけて暖流とともに北上し、秋から冬にかけて南下する。仙台湾のスルメイカは7月ころから釣れ始め、9月に入ると北上して群れが遠ざかる。岩手など三陸沖は夏から秋に釣れ続け、晩秋にいったん群れが薄くなることが多い。その後、水温の下がる冬至のころには沿岸に寄せられた大型の「冬至スルメ」が釣れる。
ヤリイカはエリア毎に沿岸回遊性が強く、三陸では10月から翌年1月頃までがシーズン。3月、4月といった春には、地域によりパラソルヤリイカとも呼ばれる大型のオスヤリイカを狙える。
剣先イカは西日本などでは産卵期の異なるいくつかのグループがあると考えられているが、東北太平洋側で釣れ出したのは最近のためシーズナルパターンはまだはっきりしていない。スルメイカよりちょっと早めの6月頃からマルイカ級の小さめのサイズが釣れ出し、お盆の頃の盛期には大剣と呼ばれる大型が混じるようになる。初秋の頃には数が少なくなり、冬のヤリイカにバトンタッチというのが大体のシーズンの流れ。
三陸~仙台湾のスルメイカ釣り
20年ほど前まで仙台湾で200杯、300杯と釣れた頃は手釣りで狙う人も多かったが、イカの数が少なくなり、エサ釣り(イカサビキ釣り)は負担の少ない電動リールに移行している。また2020年頃から大人気のルアーのイカメタルはメタルにドロッパー1~2本のリグで狙い、サビキのように5杯マンガンなどは無いが、イカのタナを効率よく探るには好適。短いルアーロッドで手軽にできるので、ジギングなど他の釣りからも入門しやすい。
詳細な解説は釣行記をご覧ください↓↓
三陸のヤリイカ釣り
岩手県の三陸沿岸では秋から初冬にかけてヤリイカのシーズンを迎える。シーズン初期はサイズが小さいが、徐々にサイズアップしてくる。イカサビキ釣りの場合、手の短いヤリイカ狙いでは11cmのプラヅノに紅白のスッテが1本混じった5本バリ仕掛けが基本。潮流などの条件次第だが、三陸はポイントが岸から近く、オモリ負荷40号程度のカレイ竿でライトに楽しめる所もある。
近年主流のイカメタルでは初期の小型のイカなどにはシルエットの小さいタングステン製のメタルが高実績。スルメに比べアタリが繊細なため、穂先の目感度でアタリを取れるかも重要になる。
春のパラソルヤリイカ
ヤリイカは春に産卵を終えると死んでしまうが、産卵直前に大型のオスヤリイカが釣れるエリアがある。これまで外房エリアや茨城鹿嶋沖が有名だったが、最近は宮城県沿岸などでも春の大型ヤリイカを狙い始めている。
岩手、宮城のケンサキイカ
ニューフェイスの剣先イカは最近主流のイカメタルで狙う人がほとんど。ボトム中心のヤリイカとは異なり、レンジが浮くことも多いが、スルメイカと一緒に狙う時はスルメイカよりは下のタナから釣れるケースも多い。大型の大剣サイズはボトムに着いていることがあり、型狙いで魚探の反応などを無視してボトム攻略に徹する人もみられる。
ジギングタックルでも出来るイカジギング(イカジグ)
イカを乗せやすいカンナが付いたメタルジグ=イカジグを使った釣法。シンカーと一体になったイカジグにドロッパーを1個から2個付けたシンプルなリグで、トラブルも少なくライト感覚なイカ釣りを楽しめる。
数釣りではイカヅノ仕掛けには敵わないことが多いが、ライトなタックルで1杯1杯釣り味を楽しめ、レンジを素早く攻略できる利点もある。
人気のイカメタル釣法とオモリグ釣法
イカメタルは鉛スッテの上にドロッパーを付けたリグで狙う釣り方だが、潮流が速かったり深場だとイカメタルが重くなるため、メタルのサイズが大きくなってイカが釣れにくくなるケースがある。そんな時、メタルのかわりにシンカーを使用したオモリグ釣法なら、シンカーを重くしやすくイカメタルより有利に狙えるケースがある。オモリグは剣先イカの大物狙いに人気の釣り方だが、状況次第ではヤリイカにも実績あり(スルメイカの場合はあまり使用されない)
食べ方=激うま沖漬けは釣り人の特権!
イカは刺身、煮物、一夜干しなど何に調理してもおいしく、おみやげに配っても喜ばれる。中でも釣り人や漁師さんでないとなかなか出来ないのが、生きたままのイカをタレに漬け込んだ沖漬け。イカ釣りに行った際は試していただきたい。