スルメイカの船釣り(エサ&ルアー)
スルメイカの形態
エンペラがひし形(ヤリ型のヤリイカ、ケンサキイカと区別)。2本の触腕が長い(ヤリイカと区別)。体色は変化するが、釣られた時は赤褐色に見えることが多く、大きいもので胴長30cmほどに成長する。
[関連]東北地方で主に釣れるイカの種類(スルメ、ヤリ、ケンサキ)
スルメイカの生態
イカ類はいずれも一年魚で、スルメイカも生まれて1年で一生を終える。日本近海に繁殖時期の異なるグループが複数存在し、東北地方太平洋側では初夏の頃からムギイカと呼ばれる小型のイカが現れ、秋にかけて北上。晩秋は北の海に移動して三陸沿岸から少し離れるが、冬に大型の南下個体が出現する。日本海側では山形、秋田から津軽周辺にかけて夏イカの回遊がみられる。
スルメイカの釣り場とシーズン
太平洋側の三陸沿岸で非常に盛んに狙われている。仙台湾も6~8月一杯が釣期だったが、近年は海流の関係などから回遊ルートが遠くなり、狙う釣り船が少なくなっている。津軽海峡沖や秋田沖など日本海側でも夏の夜イカ釣りで出船している船がある。
岩手三陸沿岸でのシーズンは6月頃からムギイカが釣れ始め、サイズアップしながら8月頃に盛期を迎える。9月、10月は釣れなくはないものの群れの本隊が離れて数が少なく、年により不安定な季節。11月頃からヤリイカ狙いにスルメイカが混じり、12月半ばから1月上旬頃に冬至スルメと呼ばれる大型が釣れるようになる(冬至スルメは南下中に三陸沿岸に迷い込んでしまった個体で、南下できずにそのまま死滅すると言われている)。昼イカも釣れなくは無いが、ほとんどが夜イカ釣りとなる。
エサ釣りの釣り方
夜のイカ釣りでは5、6本バリのイカヅノ、スッテを搭載した胴突き仕掛けを使用する。上げ下げが多く、イカが乗ると巻き上げが大変なこともあり最近は電動リールのタックルを選ぶ人がほとんどとなっている。水深は三陸なら50~60mから深くて100mくらい。仙台湾など100m以深のポイントもあり、ポイントにより指定オモリが異なるので道具を合わせる。
[関連釣行記]常笑upcoming fishing!東北スルメイカ釣り・基本編
【ロッド】
マルイカ(ケンサキイカ)、ヤリイカ、スルメイカ(ムギイカ)用の船イカ釣りロッドが多数発売されている。以前は2.4~3m以上の沖釣り万能竿を使い、置き竿で狙うスタイルが主流だったが、最近は1.8~2mくらいの短めの竿でシャクって誘うスタイルも広まっている。
【リール】
電動リールを使用する場合、シマノ1000~3000番、ダイワ300~500番くらい。近年は小型ハイパワー化が進んでいるので小型リールでも使えるようになっているが、使用オモリ(釣り場の水深)やイカのサイズに合わせる。複数乗った時など負荷が大きくなるので、ある程度パワーに余裕は欲しい。ラインはこちらも釣り場の指定に合わせる必要があるが、PE3~4号くらいが目安になる。
【仕掛け】
市販の5本バリ、6本バリでOK。仙台湾周辺で昔から人気のオッパイスッテ(ソフトタイプ)やプラヅノ各種が定番。プラヅノはムギイカ中心なら11cm、盛期の良型は14cm。サバが多い日など18cmのデカヅノばかりに釣れる場合もあり、日によって当たりヅノが異なるので複数タイプ用意できると◎
イカヅノのハリはカンナが二重になったダブルとシングルがあり、バラシが少ないダブルとトラブル少なく軽量なシングルを使い分ける。
【水中ライト】
夜のイカ釣りではイカを寄せる水中ライトが有効(消灯したほうが釣果がいい場合もある)。青、白や緑などのカラーがある。
【釣り方の基本】
イカ釣りでは投入、回収の基本動作と、イカのタナに合わせることが主な作業となる。投入はイカヅノが絡まないようにイカマットに並べ、オモリから順に送り込み、水中ライトを入れてクラッチオフ。
釣れているタナ、船長から指定があれば指定のタナに入れ、竿の長さを使ってシャクりながらタナを探る。底から少し上までが基本だが、スルメイカの場合は中層、時に表層近くまで浮いて釣れることも。
イカが釣れたらバラさぬように一定のスピードで巻き上げて、取り込み。取り込み方法は水中ライトを入れた後、釣れたイカをバケツに入れながらイカヅノをマットに並べていく方法と、イカを取り込みながら効き手の反対側の指の間にイカヅノを並べていく方法とがある。後者はややベテラン向きで慣れないと傷だらけになることがあるので注意。
[関連釣行記]三陸スルメイカシーズン到来!ムギイカ好釣中
イカメタル、イカジグでの釣り方
ここのところ圧倒的人気なのがルアーの釣りであるイカメタル釣法。ジギングと同じようなルアータックルを使用し、鉛スッテ、イカジグの上にドロッパー(浮きスッテ)を装着したリグ(イカメタル仕掛け)で狙う。
[関連釣行記]岩手釜石沖のイカメタルフィッシング!
【タックル】
イカメタル専用ロッドのほか、水深、ウエイトを搭載可能なライトジギングロッド等でも十分に釣ることができる。道具を流用可能で、ジギング、ライトゲーム感覚で手軽なのが人気を集める要因となっている。
【リール】
リールは電動でも手巻きでもOK。ラインの色でも大体の水深を把握できるが、タナ合わせが重要な釣りなので、水深カウンターがあった方がかなりラクな釣りを展開できる。
【メタルスッテ(鉛スッテ)】
イカメタル釣法用にウエイトを搭載した鉛スッテは水深、潮流にウエイトを合わせて使用。イカが抱きやすい布巻きなどになっているものが多い。カラーは定番の紅白や赤緑に、グロー、ピンク、オレンジなどアタリカラーを探すのも楽しい。
[関連釣行記]真夏の夜は・・金華山沖イカルアーで夕涼み
【イカジグ】 イカジグの場合、komoイカジグシリーズなどイカ専用モデルのほか、メタルジグのフックをカンナに改造するためのイカジグカンナも発売されている。シーズン、イカのサイズやポイントの水深に合ったウエイト、フォルムのものを選択。
[関連釣行記]イカ専用ジグで狙う!仙台湾のスルメイカ
【ドロッパー(浮きスッテ)】
イカメタルでは鉛1本で狙うのではなく、鉛スッテやイカジグの上に1本か2本の枝スッテを出してドロッパーにするのが普通。活性が低い時など、こちらの浮きスッテの方ばかりに釣れてくるケースもある。
【仕掛け】
鉛の上に浮きスッテを装着するためのイカメタルリーダーなどのアイテムが色々と市販されているので、それをそのまま使用できる。仕掛け作りが得意なら自作するのもアリ!
【釣り方】 釣り方の基本はエサ釣りと同様。三陸沿岸ではエサ釣りとメタルが同船することも多い。スルメイカ狙いでは底から中層まで広いレンジから釣れてくる可能性があるので、ルアータックルの軽快さを活かして広く探ることができる。周りが釣れているタナに合わせたり、サバの多い層を回避したり、状況に対応することで釣果に差がつく。
アタリはロッドに伝わる手感度だけでなく、ティップが動いたり、弾かれるような目感度を判別することも重要。取り込み、再投入は胴突き仕掛けに比べてツノ数が少ないので、ロッドで捌けてかなり手軽に楽しめる。
スルメイカの持ち帰り方
スルメイカは海水の入ったバケツでしばらく活かしておき、ある程度たまったらイカ締め具や指で締め、クーラーで持ち帰る。持ち帰り方はビニール袋やジップパックなどに入れるのが一般的。イカが重なった部分が変色してしまうので、これを防ぐためにはイカ専用アルミケースに並べてからクーラーに入れたり、氷入りの発泡スチロールに氷に直接当たらないように並べて持ち帰る方法がある。
釣り人に人気なのが沖漬け。作り方はタッパーやジップパックに新鮮なイカを入れて、沖漬けのタレに漬け込みながらクーラーで冷やして持ち帰るだけ。タレは市販のものもあるし、メンツユと日本酒などを合わせて自作することもできる。
[関連釣行記]三陸大槌沖イカメタル!津本式密封パック器で沖漬けにも挑戦
スルメイカの食べ方
スルメイカは魚介トップクラスの万能食材!新鮮なものの刺身や肝和えに、ルイベや一夜干し、鉄砲焼きにイカゴロ煮などなど、多様な料理法があるので、大漁に恵まれた日にはスルメ三昧を満喫できる。
【スルメイカの料理レシピ】
■スルメイカの捌き方
■スルメイカのゴロ焼き
■スルメイカの肝のルイベ
■スルメイカの和風サラダ