シーバス(スズキのルアーフィッシング)
スズキ(シーバス)の生態
◆分類
スズキ目スズキ科。
◆通称
シーバス、セイゴ、フッコ、セッパ、セッパッコ
◆生息分布
日本全国の沿岸に広く分布し、砂底、岩礁帯など広範囲を回遊する。汽水や淡水域にも入り、大型河川では夏場に50km以上溯上することも。冬場は深場に落ちるため東北ではほとんど釣ることができなくなる。
◆備考
最大1m前後という大きさと、運動能力の高さで釣り人にはおなじみの魚。魚食性が強くルアーの人気ターゲットになる。ウキ釣りや投げ釣りでも狙え、活きエサを使う船の五目釣りでも太公望を喜ばせる。ルアーではリリースすることが多いが、あらいや塩焼きで食し、脂の乗った外洋のものは特に美味。
シーバスのシーズンと釣り場
本来海の魚ではあるが、優れた浸透圧調整能を持ち汽水から完全な淡水域まで適応可能。水深100m近くまでの沖合から磯、砂浜、河口、港湾、河川などなど、様々なシチュエーションで狙うことができる。
地域によっても動きは若干異なるが、東北でのシーズンごとの動きをまとめると、12~1月の初冬にやや沖合いで産卵。1~3月頃までの冬場は水深のある海域で越冬し、3~4月頃から接岸のための回遊を始める。
春以降は磯やサーフなどでベイトのいる場所を回遊し、水温上昇とともに汽水域、港湾部に侵入。初夏から秋にかけては河口から河川に遡上し、この時季はアユなどが重要なベイトになる(その間もサーフ、磯なども継続して回遊)。秋以降は気温、水温の低下とともに河川から降海し、磯、砂浜などを回遊しながら産卵場所へ移行する。
※港湾、汽水などで水温の安定しているエリアでは陸から年中釣れる場合もある。
シーバスのタックル
釣りをする場所とターゲットのサイズによってベストなタックルは異なるが、ある程度対応幅の広い汎用タイプのロッドもあるので、入門者はバーサタイルモデルを選ぶと良いだろう。
シーバスロッドはボートシーバス用ならば7ftくらいのものもあるが、港湾、河川で8~9ft、河口など少し広いところで9~10ft、砂浜で10~11ft、磯用で11ft以上という感じで、フィールドの広さに合わせてレングスが異なる。
ルアーの負荷も異なるが、初中級者が広い範囲で使えるのはレングスが9ft程度、標準負荷が28g(1oz)程度のもの。フィールドや使うルアーに合わせてロッドを増やすと良いだろう。
リールは2500番、3000番のスピニングリール(磯は4000番も使用)。ラインはPE0.8~1.2号にリーダー14~25Lb。
シーバス用ルアーの使い分け
[バイブレーション系]
デイゲーム、水深のある堤防周りなどで力を発揮するのがバイブレーション。最近は金属ボディのメタルバイブが多用されるようになっている。
[ミノー]
状況に応じで9~12cmくらいのミノーを使い分けることが多い。魚が沈んでいる日中はシンキング、夜間はフローティングというのがセオリーだが、状況によっては例外もある。
港湾部や汽水域などでは9cm程度の小さめのシンキングミノー。サーフや磯では12cmくらいの長さのある遠投可能なミノーが適する。
[シンキングペンシル(シンペン)]
近年、リバーシーバスでは定番化したルアー。夜間、流れの中でベイトを待ち構えるシーバスの食欲に訴えてバイトを誘う。流れ中でルアーの状態を感じ取ることも重要。
シーバスの基本テクニック
[キャスティング]
シーバスゲームでは正確なキャスティングや遠投が必要な場面も多い。基本はダブルハンドのオーバーヘッドキャスト。周囲をよく見て、事故などのないように注意しよう。
[ウェーディング]
防波堤や護岸などから釣りをする場合を除き、シーバスゲームはウェーディングして釣りをする機会が多い。季節に合ったウェーダーと、釣り場に合ったソール。そして、浮力材入りのウェーディングベストもマスト。ベストのポケットにはルアーケースなどを収納できる。
[ポイント]
■防波堤、港湾のポイント
防波堤、港湾などは人工、天然のストラクチャーが重要。流れ込みや常夜灯周りなど、ベイトの動きも要チェック。遠投が必要な場面は少なく、かわりにベイトや時間帯に合わせてレンジに気を付ける。
■河口、汽水域のポイント
まずはシーバスが移動することの多い流れの筋を読む。護岸のテトラや天然の根など、様々なストラクチャーとの複合的な要因も重要。流芯から少しずれたところでもベイトが寄っている場所があるようなら、時合いになると食いだすこともあるから要チェックだ。
■河川のポイント
シーバスはアユなどのベイトを追って河川内に入り込み、河口から50km以上も遡上することもある。ベイトになる小魚がいることと、ある程度の水量がないと厳しい。ポイントは流れの芯から、中州、砂州で流れに変化のあるところ。堰堤や水門の流れ出しも良い。葦際、護岸も周囲にベイトがいれば恰好の捕食ポイントになる。
■サーフのポイント
サーフでは天然の根などのストラクチャーがあればその周辺は有望なポイントになる。流れ込みがあれば、その周囲もベイトが集まっている可能性がある。比較的広い、開けたサーフではベイトが寄せられているようなら、特にストラクチャー等が無くても回遊に期待できる。波が払い出す場所、波の起こるカケアガリをチェックして、シーバスがベイトを待つ場所を狙うようにする。ベイトさえいれば、背中が見えるような波打ち際で捕食モードに入ることも。
[タイミング]
シーバスゲームは釣り場に入るタイミングが非常に重要になる。河川、河口であれば満潮からの下げ潮を狙うのがセオリー(ただし、干満の差が小さい日本海側では潮汐はあまり関係ないことも)。シーバスは上流側を向いて、落ちてくるベイトを待ち構えている。日中はボトム付近に沈み気味だが、夜はベイトを追って浮き気味になる。
海域ではストラクチャーに居着きがいればすぐに釣れることもあるが、回遊待ちというケースも多い。ベイトがいて、実績もあるようなら有望。やはり潮の上げ始め、下げ止まりなど潮の動きがある時間帯にヒットすることが多い。
[ルアーのカラーローテーション]
時間帯やベイトに合わせたカラーローテーションが有効なことも。明白な理由がなくても特定のヒットカラーに偏るケースも。また、シーバスが確実にいる状況では、カラーローテーションすることで今まで見向きのしなかった魚が口を使うこともある。
[ランディングとリリース]
ドラグを強めに締め、ラインが緩まないように注意しながら落ち着いてやり取りする。超大型はハリ穴が広がらないよう、やや強引に対処。ランディングの直前に手前に走ってラインが緩んでバレることがあるので、最後まで油断は禁物。
釣り上げたシーバスは意外に弱く、ヘロヘロ状態になってしまうことも。魚体にあまり触れないように気を付けながら水中で蘇生すると復活することが多い。
スズキは淡泊な白身の魚で、洗いや焼き物、潮汁など、何に調理しても美味。生息する場所とベイトによっては臭みのある場合もあるが、水質の良い河川や、外洋に面した海で釣った回遊性の魚は食べてみるのも大いにあり。食べるなら、鮮度を落とさぬように気を付けておいしく食べてあげたい。
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